病理診断のプロセス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/12/17 08:15 UTC 版)
「FGSの病理学的分類」の記事における「病理診断のプロセス」の解説
腎生検で分節性硬化病変を観察した場合、光顕、電顕、蛍光抗体法を用いてFSGS以外の糸球体疾患によるものや非特異的な分節性硬化病変を除外する。その上で分節性病変の占める糸球体部位と組織学的な質を光顕で確認し診断を進める。 まずcollapsi ng lesion(係蹄内の細胞や細胞外基質の増加を伴わない係蹄の虚脱。周囲の糸球体上皮細胞の過形成や肥大を伴う)を確認し、ひとつの糸球体でもcollapsing lesionを認める場合をFSGSのcollapsing variantと診断する。このcollapsing lesionはすべての糸球体に全節性に見られる場合が典型像であるが、時に巣状分節性に見られる場合もある。 次にtip lesionを確認する。tip lesionとは糸球体の尿細管極25%の領域に癒着や糸球体上皮細胞の尿細管上皮細胞への合流を伴う分節性病変をいい、collapsing variantが否定され、かつひとつの糸球体でもtip lesionが形成されている場合にtip variantと診断する。tip lesion形成には、高度のネフローゼ症候群の場合の蛋白成分に富んだ濾過液が、尿細管へ流れ込む際に物理的な刺激を引き起こし、その結果糸球体が尿細管極周囲へ逸脱することに関連している。 上記に当てはまらない場合には、次いでcellular lesionを確認する。Columbia分類のcellular lesionとは係蹄内の細胞増加による係蹄の閉塞病変が少なくとも糸球体の>25%を占める場合としており、collapsingやtip variantを否定した後にひとつの糸球体でもcellular lesionを認める場合にはcellular variantと診断する。 これらvariantが否定された上、perihilar(血管極)部に形成されたhyalinosis and/or sclerosisがすべての硬化病変の>50%の頻度で見られる場合はperihilar variantと診断する。少なくともひとつの硬化病変には硝子化を伴う必要がある。 以上collapsing、tip、cellular、perihilar variantに当てはまらない場合、古典的FSGSとして知られるNOSと診断される。
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