Xプレーンとは? わかりやすく解説

Xプレーン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/14 23:22 UTC 版)

最初のXプレーン、ベルX-1

Xプレーンは、アメリカ合衆国が開発した実験機・記録機シリーズのこと。名称が実験機・記録機を意味するXで始められていることから、Xプレーン(X plane: planeは航空機の意)と呼ばれるようになった。その性格上、製造される航空機の性格は極めて多種にわたり、特異な外形や、世界記録を更新する優秀な性能を示すものが多いことで知られる。

概要

最初のXプレーンは、1946年に製作されたベルX-1である。これは、音速を突破するために造られた機体であった。これ以降もアメリカ航空宇宙局(NASA)、空軍、航空機メーカーを中心に開発されている。

高速性の追求においては大きな成果を挙げている。たとえば、水平飛行で初の音速突破を果たしたX-1の他、マッハ3を超えたX-2、有人航空機としては世界最速を記録したX-15などがある。

Xプレーンは2008年時点でもシリーズは続行されており、たわみ翼実験機のX-53が試験中である。尚、X-52については実験機の母機として使用されているNB-52との混同を避けるため欠番となっている。

Xプレーンの一覧

※キャンセルされ、実際に飛行していないものもある。

名称 製造者
政府機関
画像 初飛行 目的と備考
ベル X-1 ベル・エアクラフト
USAFNACA
1946年1月19日 世界初の超音速機。
ベル X-2
スターバスター
ベル・エアクラフト
USAF
1952年6月27日 後退翼機。
ダグラス X-3
スティレット
ダグラス・エアクラフト
USAF、NACA
1952年9月20日 超音速実験機。
ノースロップ X-4
バンタム
ノースロップ
USAF、NACA
1948年12月15日 無尾翼機
ベル X-5 ベル・エアクラフト
USAF、NACA
1951年6月20日 可変後退翼機。
コンベア X-6 コンベア
USAF、AEC
1953年開発中止 原子力推進機。
技術試験目的でNB-36H1957年まで飛行試験を行った。
ロッキード X-7
"フライング・ストーブパイプ"
ロッキード
三軍共同
1951年4月 ラムジェットミサイル
エアロジェット・ジェネラル X-8
エアロビー
エアロジェット
NACA、USAF、USN
1947年11月24日 観測ロケット。
ベル X-9
シュライク
ベル・エアクラフト
USAF
1949年4月28日 ラスカルミサイル開発用空対地ミサイル試作機。
ノースアメリカン X-10 ノースアメリカン
USAF
1953年10月14日 ナバホミサイル試験用地対地ミサイル実証機。
コンベア X-11 コンベア
USAF
1954年開発中止 アトラスロケット実験機。
コンベア X-12 コンベア
USAF
1954年開発中止 アトラスロケット実験機。
ライアン X-13
バーティジェット
ライアン
USAF、USN
1955年10月10日 VTOLジェット機。
ベル X-14 ベル・エアクラフト
USAF、NASA
1957年2月19日 VTOL機。
ノースアメリカン X-15 ノースアメリカン
USAF、NASA
1959年9月17日 高高度極超音速実験ロケット機。
ベル X-16 ベル・エアクラフト
USAF
1956年開発中止 高高度偵察機
ロッキード X-17 ロッキード
USAF、USN
1956年4月17日 高速大気圏再突入試験機。
ヒラー X-18 ヒラー・エアクラフト
USAF、USN
1959年11月24日 ティルトウィングSTOVL機。
カーチスライト X-19 カーチス・ライト
三軍共同
1963年11月20日 ティルトローターVTOL機。
ボーイング X-20
ダイナ・ソア
ボーイング
USAF
1963年計画中止 初期のスペースプレーン
ノースロップ X-21 ノースロップ
USAF
1963年4月18日 層流制御翼。
ベル X-22 ベル・エアクラフト
三軍共同
1966年3月17日 ダクテッドファンV/STOL機。
マーティン・マリエッタ X-23
PRIME
マーティン・マリエッタ
USAF
1966年12月21日 リフティングボディ試験機。
マーティン・マリエッタ X-24 マーティン・マリエッタ
USAF、NASA

1969年4月17日 リフティングボディ実験機。
ベンセン X-25 ベンセン・エアクラフト
USAF
1968年6月5日 航空機脱出用オートジャイロ
シュワイザー X-26
フリゲート
シュワイザー・エアクラフト
DARPAUS Army、USN

1967年 テストパイロット養成用セイルプレーン
ロッキード X-27 ロッキード 計画中止 軽量戦闘機
ペレイラ X-28
シースキマー
ジョージ・ペレイラ
USN
1970年8月12日 小型飛行艇
グラマン X-29 グラマン
DARPA、USAF、NASA
1984年12月14日 前進翼実験機。
ロックウェル X-30
NASP
ロックウェル
NASA、DARPA、USAF
構想のみ スペースプレーン。
ロックウェル-MBB X-31 ロックウェル、MBB
NASA、DARPA、USAF、USN、BdV
1990年10月11日 推力偏向研究機。
ボーイング X-32 ボーイング
USAF、USN、RAF
2000年9月18日 統合打撃戦闘機計画(JSF)試作実験機。
ロッキード・マーティン X-33 ロッキード・マーティン
NASA
2001年開発中止 再使用型宇宙往還機(RLV)実証機。
ベンチャースター実証モデル。
オービタル・サイエンシズ X-34 オービタル・サイエンシズ
NASA
2001年開発中止 RLV技術試験機。
ロッキード・マーティン X-35 ロッキード・マーティン
USAF、USN、RAF
2000年10月24日 JSF試作実験機。
本機をベースにF-35が開発。
マクドネル・ダグラス X-36 マクドネル・ダグラス/ボーイング
NASA
1997年5月17日 戦闘機機動研究機。
ボーイング X-37 ボーイング
USAF、NASA
2006年4月7日(投下試験)
2010年4月22日(軌道飛行)
スペースプレーン。
フューチャーX パスファインダー(Future-X Pathfinder)。
NASA X-38 スケールド・コンポジッツ
NASA
1998年3月12日 リフティングボディ、乗員帰還機実証機。
X-39 不明
USAF
非公表 開発中止 次世代航空技術強化計画
(Future Aircraft Technology Enhancements, FATE) 。
ボーイング X-40 ボーイング
USAF、NASA
1998年8月11日 X-37の技術試験機。
X-41
Common Aero Vehicle
不明
USAF
不明 軍事機密、スペースプレーン。
X-42
Pop-Up Upper Stage
不明
USAF
非公表 開発中止 軍事機密、液体燃料使用使い捨て型ロケット
NASA X-43
ハイパーX
Micro Craft
NASA
2001年6月2日 極超音速スクラムジェットエンジン試験機。
ロッキード・マーティン X-44
MANTA
ロッキード・マーティン
USAF、NASA
2000年開発中止 無尾翼機。
ボーイング X-45 ボーイング ファントムワークス
DARPA、USAF

2002年5月22日 無人戦闘攻撃機(UCAV)実証機。
ボーイング X-46 ボーイング
DARPA、USN
計画中止 UCAV試験機。
ノースロップ・グラマン X-47A
ペガサス
ノースロップ・グラマン
DARPA、USN
2003年2月23日 UCAV実証機。
ノースロップ・グラマン X-47B ノースロップ・グラマン
DARPA、USN
2011年2月4日 UCAV実証機。
ボーイング X-48 ボーイング
NASA
2007年7月20日 ブレンデッドウィングボディ (BWB)を用いた全翼機
パイアセッキ X-49
スピードホーク
パイアセッキ・エアクラフト
US Army
2007年6月29日 複合ヘリコプター
ボーイング X-50
ドラゴンフライ
ボーイング
DARPA
2003年11月24日 カナード・ローター/ウィング (CRW)実験機。
ボーイング X-51
ウェーブライダー
ボーイング
USAF
2010年5月26日 スクラムジェットエンジン試験機。
X-52 NB-52との混同をさけるため欠番。
ボーイング X-53
Active Aeroelastic Wing
ボーイング ファントムワークス
NASA、USAF
2002年11月 能動空力弾性翼(Active Aeroelastic Wing, AAW)実験機。
ガルフストリーム X-54 ガルフストリーム・エアロスペース
NASA
開発中 開発中 ソニックブーム超音速輸送機研究・実証航空機。
ロッキード・マーティン X-55 ACCA ロッキード・マーティン スカンクワークス
USAF
2009年6月2日 先進複合材輸送機(Advanced Composite Cargo Aircraft, ACCA)実証機。
ロッキード・マーティン X-56 ロッキード・マーティン スカンクワークス
USAF/NASA
2013年7月26日 高高度長時間滞空(High Altitude Long Endurance, HALE)実験機。
NASA X-57
マクスウェル
ESAero
NASA、USAF
開発中 電動航空機実験機。
クラトス XQ-58
ヴァルキリー
クラトスディフェンス&セキュリティソリューション英語版
USAF
2019年3月5日 ステルス無人戦闘航空機(UCAV)。有人機を母機とする編隊運用。
ロッキード・マーティン
X-59
ロッキード・マーティン
NASA
開発中 超音速機実験機。
ジェネレーションオービット
X-60
ジェネレーション・オービット・ローンチ・サービス英語版
AFRL
開発中 空中発射単段弾道ロケット。
ダイネティクス X-61
グレムリン
ダイネティクス英語版
DARPA
2020年1月17日 無人航空機実験機。
ジェネラルダイナミクス
X-62 VISTA
ジェネラルダイナミクスカルスパン英語版
USAF
1992年4月 多軸推力偏向(MATV)実験機。
X-63 ABL スペース・システムズ英語版
AFRL
2023年 RS1に基づくモジュール式リニアエアロスパイクエンジン実験機。
X-64 Invocon Inc.
AFRL
開発中 モジュール式リニアエアロスパイクエンジン実験機。
X-65 CRANE英語版 オーロラ・フライト・サイエンス英語版
DARPA
2025年
(予定)
ノベルエフェクターによる機体制御実験機。
ボーイング X-66英語版 ボーイング
NASA
2028年
(予定)
遷音速トラス支持翼実証機。

参考文献

  • 世界の傑作機Special Edition Vol.3 Xの時代 未知の領域に踏み込んだ実験機全機紹介』(文林堂、2004年) ISBN 4-89319-117-9

関連項目

外部リンク


Xプレーン

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アメリカ合衆国のミサイル一覧」の記事における「Xプレーン」の解説

Xプレーンとして扱われ無人研究機の中にはミサイル範疇含まれるものが存在する研究機であり狭義ミサイルからはやや外れる。 Xプレーンのうちミサイルにみなし得る物の一覧: X-7 X-8 X-9 Shrike X-10 X-11 X-12 X-17 X-41 Common Aero Vehicle X-42 Pop-Up Upper Stage X-43 Hyper-X X-51

※この「Xプレーン」の解説は、「アメリカ合衆国のミサイル一覧」の解説の一部です。
「Xプレーン」を含む「アメリカ合衆国のミサイル一覧」の記事については、「アメリカ合衆国のミサイル一覧」の概要を参照ください。

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