D.O.C.G.およびD.O.C.認定地域
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/08/12 08:30 UTC 版)
「グレコ (ブドウ)」の記事における「D.O.C.G.およびD.O.C.認定地域」の解説
グレコが主体となっているD.O.C.G.認定地域は2つであるが、ブレンドの一部として認められているD.O.C.認定地域であれば、イタリア南部にいくつか存在する。カンパーニャ州のグレコ・ディ・トゥーフォ DOCGはフィアーノ ・ディ・アヴェッリーノ DOCG (Fiano di Avellino DOCG) の北側に位置し、トゥーフォの町のほか丘陵地にある7つのコムーネを含む。この地域は2003年にD.O.C.G.に昇格した。グレコ・ディ・トゥーフォの広さはフィアーノ ・ディ・アヴェッリーノの3分の1にすぎないが、D.O.C./G.認定の高品質ワインの生産量はカンパーニャ州で最大である。この地域のブドウ畑の土壌(英語版)は、火山灰から形成された凝灰岩 (イタリア語: tufo) が元となっており、トゥーフォ (Tufo) という町名もそこからとられている。同地域のすべてのD.O.C.G.認定ワインは85%以上がグレコでなければならず、ブレンドの残りの部分はたいていコーダ・ディ・ヴォルペ(英語版)が占める。マスター・オブ・ワイン(英語版)のメアリー・ユーイング=マリガン(英語版)によると、グレコ・ディ・トゥーフォのワインは通常収穫年から3、4年後に飲み頃を迎え、優に10年から12年は熟成を続けるだけの力があるという。発泡性であるスプマンテの製法も認められている。 カラブリア州のグレコ・ディ・ビアンコ DOCは、イタリア半島の「つま先」におけるイオニア海側の沿岸部、ビアンコの街の周囲一帯に位置する。使用するブドウ品種はグレコ・ビアンコ (別名グレコ・ディ・ジェラーチェ) で、95%以上を占める。これは半乾燥させたブドウからつくられるデザートワイン的なもので、アルコール度数は17%以上なければいけない (既得アルコール14%) 。このワインの特徴としては、暗い琥珀色を帯び、柑橘類やハーブのアロマをもつ。ブドウの収穫量は1ヘクタールあたり最大10トンまでに制限されている。ワイン専門家のピーター・ソーンダーズによると、グレコ・ディ・ビアンコは最高のイタリア産デザートワインのひとつと評されることが多いという。 グレコ (およびグレコ・ビアンコ) の使用が認められているその他のD.O.C.認定地域は以下の通りである。 アヴェルサ DOC (Aversa DOC) - カンパーニャ州カゼルタ県南部のアヴェルサを中心とし、一部ナポリ県北部までを含むワイン生産地域。白ワインおよび強い酸味を生かしたスプマンテが生産されている。前者はアスプリーニョを85%以上、後者は100%使用しなければいけない。 ビヴォンジ DOC (Bivongi DOC) - カラブリア州のコンソリーノ山(英語版)の斜面、スティラーロ川(英語版)沿岸に位置するワイン生産地域。ビヴォンジの白ワインにおいて、グレコはグアルダヴァッレ、モントニコ・ビアンコ(英語版)、マルヴァジーア・ビアンカ、アンソニカ/インツォリア(英語版)とならんでブレンドの30-50%を占めることがある。 カプリ DOC (Capri DOC) - カンパーニャ州のカプリ島に位置するワイン生産地域。ファランギーナおよびビアンコレッラとならんでグレコはブレンドの50%まで使用することが認められている (ビアンコレッラは20%まで) 。 チレント DOC (Cilento DOC) - カンパーニャ州サレルノ県のチレントに位置するワイン生産地域。白ワインのブレンドはフィアーノを主体とし、トレッビアーノ、マルヴァジーア・ビアンカとならんでグレコ・ビアンコを10-15%使用することが認められている。 チロ DOC (Cirò DOC) - カラブリア州カタンザーロ県に位置するワイン生産地域。白ワインはグレコ・ビアンコを90%以上使用し、トレッビアーノは10%まで使用できる。赤ワインのブレンドはほぼ全てガリオッポ(英語版)で占められている (95%以上) が、トレッビアーノとならんでグレコ・ビアンコもわずかながら (5%以下) 入ることがある。この赤ワインに白ブドウが含まれるているのは、その目的や歴史において、キアンティの赤ワインに白ブドウが含まれている事情と一部共通する。 フィアーノ・ディ・アヴェッリーノ DOCG (Fiano di Avellino DOCG) - カンパーニャ州のワイン生産地域で、2003年にD.O.C.G.認定地域に昇格した。フィアーノを主体 (85%以上) とするブレンドにおいて、グレコはトレッビアーノおよびコーダ・ディ・ヴォルペとならんで15%まで使用することが認められている。 グラヴィーナ DOC (Gravina DOC) - プッリャ州のグラヴィーナの町を中心とするワイン生産地域。ブレンドのうちグレコは50%以上を占める。マルヴァジーア・ビアンカは20%以上を占め、残りの部分にはヴェルデーカ(英語版)、ビアンコ・ダレッサーノ(英語版)、シャルドネを使用することができる。 メリッサ DOC (Melissa DOC) - カラブリア州メリッサ周辺のD.O.C.認定地域。この地域名はギリシャ語で「甘い」「蜂蜜」を意味する言葉(ギリシア語: μέλι)に由来しており、この地域の気候だからこそ達することのできるワイン用ブドウの高い糖度を形容するのに用いられる。赤ワインの場合、グレコ・ネロとグレコ・ビアンコの両方もしくはいずれかを5-25%使用することが認められている (主体はガリオッポの75-95%) 。白ワインの場合、グレコ・ビアンコはブレンドの80-95%を占め、残りの部分にはトレッビアーノやマルヴァジーア・ビアンカを使用する。 モリーゼ DOC (Molise DOC) - この広大なD.O.C.は、アブルッツォ州の南に位置する山がちなモリーゼ州の各地に広がっている。1998年にD.O.C.の認定を受けた同地域は、グレコ・ビアンコのセパージュワインを認めている数少ないワイン生産地域のひとつで、その場合ワインの85%以上がグレコ・ビアンコでなければいけない。 ペニゾーラ・ソッレンティーナ DOC (Penisola Sorrentina DOC) - カンパーニャ州のソレント半島にあるワイン生産地域。このD.O.C.の白ワインのブレンドを構成するグレコ、ファランギーナ、ビアンコレッラのうち、グレコは60%まで使用が認められている (ファランギーナが40%以上のため) 。 サンニオ DOC (Sannio DOC) - カンパーニャ州の丘陵地帯中央に位置するワイン生産地域で、歴史上のぶどう栽培地域であったサムニウムと部分的に重なる。同地域では、グレコはスティルワインにも、伝統的なスパークリングワインの製法で作られたスプマンテ方式のワインにも使われている。白のスティルワインの場合、トレッビアーノを50%以上とし、他はグレコ、コーダ・ディ・ヴォルペ、ファランギーナ、フィアーノ、モスカートのいずれかもしくは複数とのブレンドになる。したがってグレコは50%まで使用することが認められている。ただしグレコのセパージュワインも存在し、その場合グレコは85%以上となる。スプマンテの場合、使用の認められている品種はグレコとファランギーナの2つのみである。 サンタガタ・デ・ゴーティ DOC (Sant'Ágata dei Goti DOC) - カンパーニャ州の町、サンタガタ・デ・ゴーティの周辺一帯に位置するワイン生産地域であり、サンニオの下位区分地区にあたる。グレコとファランギーナとのブレンドで、グレコは40-60%を占めることが認められている。 サンタンナ・ディ・イーゾラ・カーポ・リッツート DOC (Sant'Anna di Isola Capo Rizzuto DOC) - カラブリア州クロトーネ県の南端に位置するワイン生産地域。このD.O.C.の赤ワインのブレンドにおいては、白ブドウのグレコ・ビアンコを35%まで使用することが認められている。 スカヴィーニャ DOC (Scavigna DOC) - カラブリア州カンタンザーロ県のファレルナ付近にあるワイン生産地域であり、歴史上ファレルナでは古代ローマのワイン、ファレルヌムが生産されていた。トラミネール・アロマティコとシャルドネを主体にし、グレコ・ビアンコにかんしては2019年現在の認定基準では特に規定がないが、その他の地元産ブドウ (45%以下) の枠に含まれることが多い。
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