CMと視聴者との関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 09:21 UTC 版)
「コマーシャルメッセージ」の記事における「CMと視聴者との関係」の解説
番組中にCMへ切り替わる際、それを一区切りと捉え、視聴者によってはCMを見ずにトイレへ行くなど別の用事を済ましたり、またCM中に他のチャンネルに変える(ザッピング)事で視聴率が低下する傾向がある。またCMにより番組の流れが断ち切られることを不快に思う視聴者も見られる。一方、民放テレビ・ラジオ局にとっては広告媒体費は高額で、スポンサーからの広告媒体費が収入の多くを占めるため、視聴者にCMを見てもらう様々な工夫の他、CMの否定に対し非常に過敏になっている。 1997年8月26日にテレビ朝日の深夜番組「トゥナイト2」で、出演したタレント、乱一世がCMの直前に視聴者に向け「トイレに行かれる方はトイレへ」と、CMやスポンサーを否定する発言をしたため、テレビ朝日は放送の翌日に懲罰委員会を開き、関係者4人を処分するような事例があった。芸能人では徳光和夫(フリーアナウンサー)、井ノ原快彦(20th Century)たちが、過去に同様の発言を行った。放送業界は(たとえ冗談でも)CMを否定する発言はタブー視されている。これらの発言は一種のギャグのネタとして扱われる作品があり、例としてPlayStation 2専用コンピューターゲームソフトの『ラチェット&クランク4th ギリギリ銀河のギガバトル』内で「視聴者の皆さん、コマーシャルまで漏らさないで我慢してくださいね」といった発言が挙げられる。 バラエティ番組を中心に、話題の流れの最中にCMを持って行き、視聴者がザッピングで本編を見逃すと話題の流れを見失う可能性を高くしたり、CM後に1分程度の短い本編を放送し、視聴者の注目を集めてからすぐにCMに突入することによって、結果的にCMを見る機会を増やそうとする「CMまたぎ」「山場CM」と呼ばれる手法を用いる番組も見られる。以前はCM突入前に「○秒後に衝撃の結末が!」とCMの放送時間を事前に告知することもある。これは、視聴者に都合のよいザッピングの機会を与えてしまうことや、遅れネットでCM本数の異なる別時間帯に放送する地域にも配慮してか、後にあまり用いられないようになり、「CMの後に衝撃の結末が!」とCMの秒数がわからない工夫が用いられる。 かつては、音声認識や映像認識などによりテレビCMを識別し、自動的にスキップやカットをして録画する機能を持つ録画機器が発売されていたことがある。たとえば、番組自体がモノラルまたは2ヶ国語放送でテレビCMはステレオ放送の場合、音声フォーマットの違いから番組とテレビCMの区切りがわかる。番組とテレビCM共にステレオなど、音声フォーマットが同じ場合は、映像や音声レベルの変化によってテレビCMを判別する。この機能を使ってCMだけを収集することも可能である。 CMが視聴されない状態はスポンサーを失い、放送業界の収入減に直結する。このことから、日本民間放送連盟元会長でフジテレビ前会長の日枝久は、「テレビ番組はCMも含めて著作物で、CMを飛ばして再生・録画することは著作権の侵害に当たる」と主張していたが、再生・録画は「個人として楽しむための複製」であり、法律上は合法である。2005年5月に野村総合研究所が約540億円の経済損失と試算したが、電通はこれらの機器の購買層はコマーシャルにも関心が高く、今のところ損失につながらないと分析している。 テレビCMは注目を集めるために番組本編よりも音量が大きく設定されることが多く、視聴者の苦情もある。アメリカは2009年12月に「テレビCMの音量を、番組と同程度に規制する」法案が下院で可決した。法案は、米連邦通信委員会(FCC)に対し、「過度に大音量な広告を規制する」内容となっている。法案が成立した場合は、技術的に対応するため1年の猶予期間が設けられている。同様の法案はフランスでも可決され、違反した企業は売り上げの3%相当の罰金が課せられる。 日本は、2012年10月1日からラウドネス値を用いた『NAB技術規準T032 テレビ放送における音声レベルの運用規準』が行われる。
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