4代目・ユーノスコスモ(1990年 - 1996年)
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「マツダ・コスモ」の記事における「4代目・ユーノスコスモ(1990年 - 1996年)」の解説
1990年4月、ユーノスコスモは量産車初の3ローターのロータリーエンジンを搭載した自動車として登場した。キャッチコピーは『クーペ・ダイナミズム』。ボディは2ドアクーペのみ。 当時、マツダは販売チャンネルの拡大戦略を図っており(マツダ、ユーノス、アンフィニ、オートザム、オートラマ)、この車はユーノスブランドのフラグシップであった。歴代コスモの中では、初代であるコスモスポーツ以来のロータリーエンジン専用車であり、エンジンには13B-REW型と、市販車では世界初となる3ローターの20B-REW型の2種が設定された。この車に使用されたユーノスのエンブレムはコスモスポーツのようなローターを象ったものである。 耳目を集めた世界で初めての「CCS」と呼ばれるGPSカーナビ(三菱電機と共同開発)を20B搭載車のTYPE-E.CCSグレードに標準装備した。また、高級クーペらしく内装にも相応のこだわりがあり、イタリアで誂えたウッドパネルをインパネに装着、しかし全面に貼るようなことはせず、効果的に配して品よくまとめられていた。さらに、フルオートエアコンの操作はカーナビディスプレイを兼ねるタッチパネルでのみ操作が可能という当時としては画期的な方式で、以降各社でも高級車を中心に普及することとなった。カーナビが標準装備されない場合は液晶付きフルオートエアコン操作パネルが付く。いずれもシーケンシャルツインターボ、これは日本車としては初の採用であった。グレードはTYPE-ECCS・TYPE-E・TYPE-S(前期・中期型)・TYPE-SX(後期型のみ)。プラットフォームはマツダ・JCプラットフォームを採用している。 マツダエンジニアの夢であった「V型12気筒エンジン並の滑らかさを持つ」と言われる3ローターエンジンである20Bエンジンは非常に高出力で、当初333馬力で設計されていたが、当時の運輸省の行政指導により(後にRX-7用2ローター13B-REWも280馬力を達成する)280馬力の国内自主規制枠内に収めることが必要となり、デチューンのうえ市販された。ターボへの排圧を低くし最高出力を抑えるため13Bに比べ排気ポートが変更されている。 その出力と構造故、メディアによっては「リッター3キロの超高燃費車」と紹介されることもあり、市街地走行での実際の燃費は、2km/Lを維持するのが精一杯で、条件によっては世界一燃費が悪いといわれるブガッティ・ヴェイロン並の1km/L台にまで悪化することもあった。20Bのローターとローターハウジングは13Bと同寸で、排気量も3ローター車は3,500 cc以下区分に該当する。その高燃費ぶりは、バブル景気の時代ですら、買うことをためらわせるに十分な要因であった。 シーケンシャルツインターボは、RX-7(FD3S型)に搭載されているそれとは相違し、プライマリー側とセカンダリー側で異なったサイズのタービンが採用された。20B-REW搭載車のマフラーは高回転域で経路が変更される可変排気機能が採用されており、4本のマフラーが回転により開口ポート数が変化した。外観では13B-REW搭載車のテールパイプが2本出しであるのに対し、20B-REW搭載車のそれは4本出しとなっており、容易に区別が付く。 トランスミッションは全グレード4速ATのみ設定された。 高出力エンジンと、当時としては大柄なボディサイズであったにも関わらず、タイヤサイズは前後とも215/60R15という一般的なものであった。 1991年(平成3年)には、ハードサスペンションやBBSのホイールを装着した特別仕様車、TYPE-SXが登場した。 開発当初はサンルーフの装備が企画されており、液晶を用いた先進的な透過率可変式が予定されていた。生産車にも専用回路が存在していたが、ノイズ処理や耐久性などの問題をクリアできておらず、販売の低迷でコスモ自体の採算が見込めなくなったため断念された。 1995年8月、生産終了。在庫対応分のみの販売となる。 1996年6月、在庫対応分がすべて完売し販売終了。コスモの車名は生産中断期間を含め、29年の歴史に終止符を打った。
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