ユーノスとは? わかりやすく解説

ユーノス【UNOS】


ユーノス

※「大車林」の内容は、発行日である2004年時点の情報となっております。

ユーノス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/03 21:12 UTC 版)

マツダ > ユーノス

ユーノス (Eunos) は、マツダがかつて展開していた自動車ディーラー1989年平成元年)のマツダ5チャンネル体制(マツダ、ユーノス、アンフィニオートザムオートラマ)化に伴い、高級車志向のブランドとして開設された。

概要

ブランドロゴ

オープンスポーツカーとして世界的なヒット作となったユーノス・ロードスターを筆頭に、世界で唯一3ローターのロータリーエンジンを搭載し、かつ世界ではじめてGPSナビゲーションシステムを装備したユーノス・コスモジョルジェット・ジウジアーロがデザインを絶賛したユーノス500ミラーサイクルエンジンと4WSを搭載したユーノス800、イタリアンテイストあふれるクーペボディに当時世界最小排気量のV6エンジンを搭載したユーノス・プレッソなど、次々に個性豊かな車を販売した。

しかし、ロードスター以外にヒットした車種はなく、1996年のマツダ再建計画に基づく5チャンネル体制の終了により、ユーノスはアンフィニ系列と統合されて「マツダアンフィニ」となった。その際、ロードスターとユーノス800以外の車種は引き継がれなかった。

欧州では「クセドス」(Xedos)ブランドで、ユーノス500(クセドス6)とユーノス800(クセドス9)が販売された。ただし専用ディーラーの展開はなく、既存のマツダの販売網を活用したものであった。このほか、香港オーストラリアにもユーノス店が一時期展開されていた。

ユーノスのエンブレム十二単の襟部分がモチーフとなっている。Eunosはラテン語のEu(喜び)と英語のNumbers(集まり)からの造語で「よろこびのコレクション」の意味である[1]

アマティ計画

当時マツダは、日本国外でもマツダブランドとは別に「アマティ」 (Amati)と呼ばれるプレミアムブランドの展開を計画していた。4.0L V型12気筒エンジンを搭載する「アマティ1000」を中核に、1994年春より北米市場で展開する予定であったが、アマティブランドのシンボルマークを発表していたにもかかわらず、マツダの経営状況悪化のために計画は白紙となった。これに伴い、日本国内でも「ユーノス1000」として販売される予定であったアマティ1000の開発も中止された。

計画中止に前後して、一部自動車雑誌には最終試作に近いであろうアマティ1000のスクープ写真が流出した。また「アマティ500」として北米市場に投入される予定であったユーノス800は、計画中止を受けてマツダ・ミレーニアとして販売されることになった。また、ユーノス・コスモとユーノス500もアマティブランドで販売される予定であった。

ビジネススタイル

全国統括会社として「株式会社ユーノス」を設立し、マツダではなく、あくまでもユーノスからの販売という建前になっていた。車検証においてもマツダではなく、ユーノスの表記になっているものが存在する。

また、ラインナップ補完のためにシトロエンの輸入権を取得[2]し、BXエグザンティアなどを販売した。

店舗展開の際に高級感のある店舗が建てられたが、近年のように統一されたデザインとなっておらず、他にも「アンフィニ店やマツダ店との複合店舗」「ビルやショッピングセンターのテナント」「シトロエン車とユーノス車の展示を分離した店舗」といった展開もあった。また、「オカジオン(occasion)」[3]という名で認定中古車制度も作り、同名の中古車用店舗も全国に設けた。

ディーラー網拡大においては、オートラマの運営で実績のある「異業種資本参入」方式を積極的に進めた。ロードスターの話題性もあって、全国のマツダ販売会社のみならず、様々な異業種がユーノス販売網に参加し、ピーク時には148社が参加していた[5]。しかし、ユーノスブランドの業績不振で撤退が続出し、そして1996年のアンフィニ店統合にてほとんどの企業が撤退した。残った店は、マツダアンフィニ店かフォード店に看板を替えて営業した。

廃止後も1998年までシトロエンの輸入権は継続され、旧ユーノス店だったマツダアンフィニ店での販売で、新西武自動車販売との併売体制が維持された。マツダがシトロエン車の販売を終了しても、一部の旧ユーノス店経営法人が個別に新西武自動車販売の正規ディーラー権を取得しシトロエン車の販売を継続した。しかし2001年シトロエン・ジャポンが発足すると専売店化の施策が推進され、マツダ車と同一店舗でシトロエン車を販売していた旧ユーノス店はシトロエンの正規ディーラー権を返上した。

販売車種

開始当初販売されていた車にはそれぞれ「PROJECT EUNOS」の番号が振られていた。CMやカタログで確認できる。

ユーノス時代のユーノスブランド車種とシトロエン車種
PROJECT
EUNOS
No.
外観 車種名 製造元 販売期間 キャッチコピー 備考
PROJECT
EUNOS 1
ユーノスロードスター マツダ 1989年-1996年
(販売チャンネル終了)
人とクルマは
どこまでひとつになれるか。
マツダアンフィニ店でも同名で販売。モデルチェンジで「マツダ・ロードスター」となり、2020年現在も販売中。
PROJECT
EUNOS 2
BX シトロエン 1989年-1993年 日本のクルマ社会をより
ヒューマンなものにしたい。
-
PROJECT
EUNOS 3
ユーノス300 マツダ 1989年-1992年 「美意識あるスポーツ」
をセダンで問いたい。
ペルソナの姉妹車
PROJECT
EUNOS 4
ユーノス100 マツダ 1989年-1994年 スポーツセダンの
新しいカタチを創りたい。
ファミリアアスティナの姉妹車
PROJECT
EUNOS 5
ユーノスカーゴ マツダ 1990年-1993年 ボンゴの姉妹車。1993年のマイナーチェンジでボンゴの販売に移行した。
PROJECT
EUNOS 6
ユーノスコスモ マツダ 1990年-1996年 最上の「私」であるために、
クーペの頂点を極めたい。
PROJECT
EUNOS 7
AX シトロエン 1990年-1996年
(販売チャンネル終了)
日本のタウン・カーを
愉快にしたい。
PROJECT
EUNOS 8
XM シトロエン 1990年-1996年
(販売チャンネル終了)
日本の高級車に
オリジナリティを問いたい。
PROJECT
EUNOS 9
ユーノスプレッソ マツダ 1991年-1996年
(販売チャンネル終了)
スポーツの新しい
フィールドをつくりたい。
オートザムAZ-3の姉妹車。ユーノス終了後も1998年まで販売された。
PROJECT
EUNOS 10
ユーノス500 マツダ 1992年-1996年
(販売チャンネル終了)
追い求めたのは
10年色あせぬ価値。
マツダ・クロノスの姉妹車。

クロノスファミリー勢では初の5ナンバー車で、本車種を更に派生し6代目カペラ/テルスターⅡが開発された。

ZX シトロエン 1992年-1996年
(販売チャンネル終了)
エグザンティア シトロエン 1993年-1996年
(販売チャンネル終了)
ユーノス800 マツダ 1993年-1996年
(販売チャンネル終了)
マツダチャンネルでも販売され、ユーノス消滅後の1998年にミレーニアに車名変更した。

マツダブランド車

脚注

  1. ^ 車名の由来
  2. ^ 交通タイムス社. “鉄道のJRがボルボ! マツダがシトロエン! スズキがプジョー! ちょっと前までカオス状態だった日本の輸入車販売網”. WEB CARTOP. 2022年2月27日閲覧。
  3. ^ フランス語で「中古」の意味
  4. ^ 日刊自動車新聞1989年9月22日
  5. ^ 1997年10月27日日経産業新聞記事より
  6. ^ 日刊自動車新聞1989年8月31日・9月4日、1990年3月23日、1991年7月4日、1992年3月31日、1993年2月28日、1994年3月11日・12月9日、1996年2月6日・4月3日
  7. ^ 日経流通新聞1990年7月19日



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