2003年アジア冬季競技大会とは? わかりやすく解説

2003年アジア冬季競技大会

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/13 19:10 UTC 版)

第5回アジア冬季競技大会
5th Asian Winter Games
開催地 日本青森県
標語 Asian Beat とどけ世界にアジアの響き
主催 アジアオリンピック評議会
参加国・地域数 29
参加人数 611人
競技種目数 5競技 (51種目)
開会式 2003年2月1日 (2003-02-01)
閉会式 2003年2月8日 (2003-2-8)
開会宣言 皇太子徳仁親王
選手宣誓 木村公宣
最終聖火ランナー 福士加代子[1][2]
主会場 青い森アリーナ
公式サイト
www.net.pref.aomori.jp/awagoc/

2003年アジア冬季競技大会(にせんさんねんアジアとうききょうぎたいかい)は、2003年平成15年)1月30日から2月8日まで日本青森県で開催された第5回アジア冬季競技大会。アジア29カ国、地域から1,016名の選手、役員が参加した[3]。13年ぶりに北朝鮮が出場した。青森県で初の総合的国際スポーツ競技大会の開催となった[4]。大会マスコットには、ウィン太君が決まった[5]

経過

1997年6月19日、日本オリンピック委員会八木祐四郎専務理事が青森県を訪れて、開催の受け入れを要請した[6]。12月のアジアオリンピック評議会で、青森県での開催が決定した。アジアオリンピック評議会に対して青森県は開催地負担金として20万ドルを支出した(2003年に全額返還された。)[7]

1998年(平成10年)度に青森県体育協会理事長、青森スポーツクラブ社長を兼ねる人物が、大会組織委員会事務総長に就任した[8]。同人物は2000年4月に事務総長を退任した[9]

1999年6月の青森県議会第218回定例会で、八戸市選出県議会議員より、屋内スケート場建設の提案がなされたが、既存の長根運動公園スピードスケートリンクで行われることとなった[10]

実行委員会議委員長を務めていた田名部匡省参議院議員は、2002年2月28日に委員長を辞任した[11]

開会式、閉会式会場となる青い森アリーナは、新青森県総合運動公園内に2000年(平成12年)度に着工[12]、2002年11月に完成した。

アルペンスキーダウンヒルは、当初から予定種目に入らなかった。アルペンスキー会場の大鰐スキー場国際コースは、国際スキー連盟の公認規格を満たしているため、改修の必要はなかったが、クロスカントリー会場の大鰐スキー場クロスカントリーコースは高低差が不足していることから、コース整備が必要となった。競技会場での記録速報用の電光掲示板は経費節約のため、レンタルで準備がなされた。

大鰐町のジャンプ台では、選手搬送設備、インラン整備機及び転倒防護板等の設置がなされた。また八戸市三沢市のアイスホッケー会場ではフェンスボードの改修が行われた[13]

屋内施設で行われるアイスホッケー、ショートトラック、フィギュアスケートについては日本スケート連盟などからの意見もあり、JOCなどとの協議の結果、入場料が有料となった。その一方で平日の昼間に行われる競技については、無料の青少年優待席も設けられた[14]。入場券の発売は、大会スポンサーに選定されている大手コンビニエンスストアの発券システムが活用され、開会式、閉会式のチケットも有料販売された[12]

三沢アイスアリーナで行われたスピードスケートショートトラックのリハーサル大会は、氷の中に異物があり競技実施に支障が出るため、2日目を急遽中止した[15]

各国のトップレベルの選手が出場できるよう、各国際競技連盟に要請がなされ、ショートトラック、バイアスロンを除き、競技日程は重ならなかった[16]

当初のエントリー締切時点では10カ国713名しかエントリーしていなかったことから、エントリー期間の延長がなされた[17]

大会には8,000人のボランティアが協力した[18]

大会経費は当初の試算では8億円と見込まれたが、1997年8月の臨時県議会で、大鰐にリフト分1億円を含めた9億円が全会一致で承認された後、1999年11月17日、約56億円になることが発表された[19]。その後特別委員会での議論により38億9400万円となり、県費負担額は22億700万円となることが2000年9月に公表された。大会終了後取りまとめられた最終収支見込では、大会歳入歳出は35億3500万円、県費負担は17億1200万円に減少した[20]。この内、青森県民、企業、団体などからの寄附金が11億円以上、協賛金が2億円以上、助成金が2億5000万円であった[15]核燃料サイクルを進めている電気事業連合会日本原燃などから5億5000万円が寄付された[21]。青森県出身の吉幾三は2002年10月14日、五所川原市でチャリティーショーを2度に渡って行い、その収益を全額寄付した[22]

ハイライト

  • 開会式に先立つ1月30日からアイスホッケー女子の予選ラウンドが開始された。
  • 開会式は当初、当時の天皇皇后が出席する予定だったが、手術のため代理として皇太子徳仁が出席した[23]。歌舞伎役者の市川笑也が開会式の演出を行った[12]
  • 開・閉会式では韓国と北朝鮮が半島旗の下合同行進を行った。
  • 女子のスノーボードは日本以外の国からエントリーが無く、デモンストレーション競技となった。
  • スピードスケート女子の白恩妃(韓国)がドーピング検査で興奮剤ストリキニーネ陽性を示したが、不注意にも服用した胃薬にこの成分が含まれていたものとして厳重注意処分に留め、失格・メダル剥奪などは行わないこととした。
  • 大選手団を送り込んだ開催国の日本が51種目中金24、銀23、銅20、計67個のメダルを占めた。
  • 観客は当初見込みの6万人を大きく上回る約9万4千人が各会場を訪れた。

大会マスコット

マスコットは、白神山地に生息するクマゲラをモチーフにした「ウィン太」[24]。名前は、冬を意味するWinterと、勝利を意味するWinにちなむ。

この大会の影響

アジア冬季大会ということで日本国内の認知度も低く、開催地である青森でも盛り上がりはいまひとつであった。障害者の冬季スポーツのアジア大会開催への期待の声もあるが、まだ検討段階の域を出ていない。 しかし、この大会をきっかけに国内に数少ない専用カーリング場(青森市スポーツ会館)ができたことにより、「チーム青森」が誕生するきっかけとなった。

参加国・地域

カッコ内は参加人数:選手数:役員数

以下は選手の参加は無し

参加国・地域人数

この一覧は未完成です。加筆、訂正して下さる協力者を求めています
IOC 参加国・地域 人数

実施競技と日程

競技名 / 日付 1/30 1/31 2/1 2/2 2/3 2/4 2/5 2/6 2/7 2/8
開会式
スキー アルペンスキー
クロスカントリースキー
スキージャンプ
フリースタイルスキー
スノーボード
スケート スピードスケート
ショートトラックスピードスケート
フィギュアスケート
アイスホッケー
バイアスロン
カーリング (詳細)
閉会式

競技・会場

国・地域別メダル受賞数

国・地域
1 日本 24 23 20 67
2 韓国 10 8 10 28
3 中国 9 11 13 33
4 カザフスタン 7 7 6 20
5 レバノン 1 1 0 2
6 北朝鮮 0 1 1 2
7 ウズベキスタン 0 0 1 1

競技結果

アルペンスキー

Event
男子回転
2月2日
木村公宣 ニコラス・フルスタウエル 大瀧徹也
男子大回転
2月7日
ニコラス・フルスタウエル 大瀧徹也 工藤昌巳
女子回転
2月3日
武田千夏 湯本浩美 オ・ジェウン
女子大回転
2月5日
梅原玲奈 湯本浩美 福島のり子

クロスカントリースキー

Event
男子10kmクラシカル
2月2日
アンドレイ・ゴロフコ マクシム・オドゥノドゥボルツェフ ドミトリー・エレメンコ
男子15kmフリー
2月3日
マクシム・オドゥノドゥボルツェフ 神津正昭 チョウ・セイヨウ
男子30kmフリー
2月5日
マクシム・オドゥノドゥボルツェフ チョウ・セイヨウ ドミトリー・エレメンコ
男子4×10kmリレー
2月7日

蛯沢克仁
今井博幸
堀米光男
神津正昭

アンドレイ・ゴロフコ
Nikolay Chebotko
ドミトリー・エレメンコ
マクシム・オドゥノドゥボルツェフ

Li Geliang
Han Dawei
チョウ・セイヨウ
Qu Donghai
女子5kmクラシカル
2月2日
スベトラーナ・マラホワ オクサナ・ヤツカヤ エレーナ・アントノワ
女子10kmフリー
2月4日
オクサナ・ヤツカヤ スベトラーナ・マラホワ 侯玉霞
女子4×5kmリレー
エレーナ・アントノワ
オクサナ・ヤツカヤ
Daria Starostina
スベトラーナ・マラホワ

夏見円
福田修子
横山寿美子
曽根田千鶴

Luan Zhengrong
侯玉霞
Li Hongxue
Liu Hongyan

スキージャンプ

Event
個人ノーマルヒルK90
2月4日
船木和喜 東輝 チェ・フンチュル
団体ノーマルヒルK90
2月6日

キム・ヒュンキ
チェ・フンチュル
チェ・ヨンジク
カン・チルグ

東輝
渡瀬雄太
柴田康宏
船木和喜

Radik Zhaparov
Pavel Gaiduk
Maxim Polunin
Stanislav Filimonov

フリースタイルスキー

Event
男子モーグル
2月6日
益川雄 下山研朗 イワン・シドロフ
女子モーグル
2月6日
上村愛子 イリーナ・コルミシェワ 久保田裕美

スノーボード

Event
男子ハーフパイプ
2月2日
村上大輔 中井孝治 韓振培
男子回転
2月4日
川口晃平 池明坤 鶴岡剣太郎
男子大回転
2月3日
川口晃平 藤本光海 鶴岡剣太郎
女子ハーフパイプ(デモンストレーション競技)
2月2日
山岡聡子 吉見茉保 岩渕千代子
女子回転(デモンストレーション競技)
2月4日
飯田蘭 家根谷依里 竹内智香
女子大回転(デモンストレーション競技)
2月3日
飯田蘭 竹内智香 家根谷依里

バイアスロン

Event
男子10kmスプリント
2月3日
目黒宏直 能登直 笠原辰己
男子12.5kmパシュート
2月5日
目黒宏直 能登直 菅恭司
男子4×7.5kmリレー
2月7日

能登直
目黒宏直
笠原辰己
菅恭司

Son Hae-Kwon
Kim Kyung-Tae
Shin Byung-Gook
Park Yoon-Bae

Qiu Lianhai
Zhang Hongjun
Zhang Qing
Wang Xin
女子7.5mスプリント
2月3日
田中珠美 孔穎超 劉顕英
女子10kmパシュート
2月5日
孔穎超 劉顕英 孫日波
女子4×6kmリレー
2月7日

孔穎超
劉顕英
孫日波
于淑梅

高野早苗
田中珠美
築館郁代
目黒香苗

Yelena Dubok
Olga Dudchenko
Inna Mozhevitina
Viktoriya Afanasyeva

スピードスケート

Event
男子500m
2月2日・3日
清水宏保 川田知範 加藤条治
男子1000m
2月5日
李奎爀 清水宏保 中嶋敬春
男子1500m
2月3日
李奎爀 文俊 呂相樺
男子5000m
2月2日
野崎貴裕 ラジク・ビクチェンタエフ 宮崎今佐人
男子10000m
2月5日
平子裕基 宮崎今佐人 安田直樹
女子500m
2月2日・3日
王曼利 渡邊ゆかり 大菅小百合
女子1000m
2月5日
外ノ池亜希 王曼利 新谷志保美
女子1500m
2月3日
田畑真紀 外ノ池亜希 白恩妃
女子3000m
2月2日
田畑真紀 白恩妃 石野枝里子

ショートトラックスピードスケート

Event
男子500m
2月6日
李佳軍 西谷岳文 宋錫雨
男子1000m
2月7日
安賢洙 李野 寺尾悟
男子1500m
2月6日
安賢洙 李佳軍 李承宰
男子3000m
2月7日
宋錫雨 李承宰 李佳軍
男子5000mリレー
2月7日

西谷岳文
寺尾悟
有野美治
末吉隼人
女子500m
2月6日
楊揚 王濛 リ・ヒャンミ
女子1000m
2月7日
楊揚 付天余 趙海利
女子1500m
2月6日
崔恩景 趙海利 高基玄
女子3000m
2月7日
楊揚 崔恩景 金敏智
女子3000mリレー
2月7日
韓国 北朝鮮 日本

フィギュアスケート

Event
男子シングル
2月2日・3日
本田武史 李成江 張民
女子シングル
2月3日・4日
荒川静香 村主章枝 中野友加里
ペア
2月2日-4日
申雪&趙宏博 龐清&佟健 マリナ・アガニナ&アルテム・クニャゼフ
アイスダンス
2月2日-4日
張維娜&曹憲明 渡辺心&木戸章之 有川梨絵&宮本賢二

カーリング

Event
男子 韓国 日本 中国
女子 日本 韓国 中国

アイスホッケー

Event
男子 日本 カザフスタン 中国
女子 カザフスタン 日本 中国

脚注

  1. ^ 点火者は陸上女子の福士 青森冬季アジア大会”. 共同通信 (2003年1月31日). 2012年5月21日閲覧。[リンク切れ]
  2. ^ 第5回アジア冬季競技大会 青森2003聖火リレー出発式”. 氷都・八戸デジタルアーカイブ (2003年). 2020年9月8日閲覧。
  3. ^ 青森県議会議事録 平成15年第235回定例会(第5号)2003年9月26日
  4. ^ 青森県議会議事録 平成15年第235回定例会(第3号)2003年9月24日
  5. ^ 青森県議会議事録 平成12年度決算特別委員会(第4号)2002年1月17日
  6. ^ 青森県議会議事録 平成9年第210回定例会(第3号)1997年6月24日
  7. ^ 青森県議会議事録 平成15年総務企画委員会 本文 2003年9月30日
  8. ^ 青森県議会議事録 平成17年第24回定例会(第5号)2005年6月27日
  9. ^ 青森県議会議事録 平成17年度予算特別委員会(第2号)2005年3月14日
  10. ^ 青森県議会議事録 平成14年第232回定例会 2002年12月2日
  11. ^ 青森県議会議事録 平成14年第229回定例会(第3号)2002年3月4日
  12. ^ a b c 青森県議会議事録 平成14年第230回定例会(第3号)2002年6月21日
  13. ^ 青森県議会議事録 平成14年第230回定例会(第4号)2002年6月24日
  14. ^ 青森県議会議事録 平成14年第230回定例会(第4号)
  15. ^ a b 青森県議会議事録 平成14年第232回定例会(第3号)2002年12月3日
  16. ^ 青森県議会議事録 平成14年第231回定例会(第4号)2002年9月19日
  17. ^ 青森県議会議事録 平成14年第232回定例会(第5号)2002年12月5日
  18. ^ 青森県議会議事録 平成15年文教公安委員会 本文 2003年9月30日
  19. ^ 青森県議会議事録 平成13年第225回定例会(第9号)2001年3月23日
  20. ^ 青森県議会議事録2005年第235回定例会(第1号)2003年9月16日
  21. ^ 青森県議会議事録 平成14年第229回定例会(第9号)2002年3月22日
  22. ^ 青森県議会議事録 平成14年第231回定例会(第5号)2002年9月20日
  23. ^ 主な式典におけるおことば(平成15年)”. 宮内庁. 2012年5月21日閲覧。
  24. ^ いのちの森 みらいへ/白神山地世界遺産10年 -第1部・いま山では-”. 東奥日報 (2003年11月20日). 2012年5月21日閲覧。

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