魔法書の歴史とは? わかりやすく解説

魔法書の歴史

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/24 07:33 UTC 版)

グリモワール」の記事における「魔法書の歴史」の解説

キリスト教徒とイスラム教徒ユダヤ教徒文化共存していた12-13世紀イベリア半島シチリアでは、アラビア語書物盛んにラテン語翻訳された。その中には中世アラビアヘレニズム魔術集成した『ガーヤト・アル=ハキーム』や、自然魔術的な内容を含む偽アリストテレスの『秘中の秘』などもあった。中世ユダヤ魔術書天使ラジエルの書』もこの時期ラテン語訳作られている。こうしてもたらされ占星術魔術知識ヨーロッパキリスト教徒刺激与えキリスト教要素をもつ新し魔術書ヨーロッパで生み出されることとなったロジャー・ベーコンアルベルトゥス・マグヌスといった中世著述家残した記述から、フランスドイツ当時出回っていたさまざまな魔術書の名を知ることができる。12世紀キリスト教背景として13世紀頃までに生まれた中世キリスト教的な魔術ジャンルアルス・ノトリア」については、50種類上の写本伝存している。 中世においてはこうした書物主として聖職者学者学生など、ラテン語読み書きができる多少なりとも教養のある人々読まれ写本の形で流布していた。これらの書物記され儀式魔術識字者による識字者のための魔術であり、民間口承伝えられる民衆魔術対比されるそのことは、ヨーロッパ中世において儀式魔術担い手多く聖職者であったことを意味する儀式魔術悪霊交渉する異端的なものとしてトマス・アクイナスなどの神学者から非難されていたが、一部聖職者魔術手を染めていた。たとえば12世紀ヘンリー2世の頃の学僧ソールズベリージョン英語版)は少年の頃、鏡を使った魔術を行う神父霊視者の役をさせられたという。降霊術行った廉で告発され聖職者宗教裁判記録数多く残っており、その中には司教含まれる修道士下級聖職者小教区司祭助任司祭といった末端聖職者は、神学には比較無知であったかもしれないが、キリスト教典礼通じており、その知識儀式魔術転用することができた。中世宗教史研究者リチャード・キークヘファーは、下位聖職階級のひとつであった祓魔師叙階されたことのある者の中には、道を外れて悪魔呼び出そうとする者もいたのではないか指摘している。冬の間だけ大学学び、夏は流浪し農民魔術の力を吹聴してイカサマを働く貧乏放浪学生もいた。 魔女狩り時代には大っぴらにグリモワール作った所持することはできなかったが、異性の愛を得る、財宝発見するなどの世俗的な目的魔術人々の間で需要があった。17世紀から18世紀宝探し盛んな時代であったが、隠された財宝精霊幽霊守られているとの伝承があり、宝探しには魔術が有効と考えられていた。そのため一獲千金狙えグリモワール高値取引されたという。近代には一般民衆識字率上がり種々のまじない寄せ集めた通俗的な魔術本が出版されるようになったかつては聖職者大学人宮廷人のものであった魔法書は、16世紀頃から医師弁護士軍人といった新興インテリ層にも広がり始めさらには職人商人といった一般の人々所持する民衆的書物となったイングランドカニングマン呼ばれたような民間占い師治療師も、グリモワール図示された護符などを利用するようになったフランスでは17世紀から18世紀行商人によって「青本」という民衆本売りさばかれたが、その中には通俗的な魔術書の類も多かったドイツでは18世紀一般民衆対象とした「家父長のための書物」と呼ばれる実用書出版盛んになったが、その一環として魔術書出回るようになった。しかし魔法書自分筆写したものなければ力あるものとならないという考え根強く印刷されたものでない手書き写本魔法書多く用いられていた。

※この「魔法書の歴史」の解説は、「グリモワール」の解説の一部です。
「魔法書の歴史」を含む「グリモワール」の記事については、「グリモワール」の概要を参照ください。

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