鬼畜系/電波系ライター・村崎百郎の登場
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「鬼畜系」の記事における「鬼畜系/電波系ライター・村崎百郎の登場」の解説
村崎百郎は『月刊漫画ガロ』(青林堂)1993年10月号の幻の名盤解放同盟のフィールドワーク特集「根本敬や幻の名盤解放同盟/夜、因果者の夜」でメディアに初登場後、1995年からは「すかしきった日本の文化を下品のどん底に叩き堕とす」ために「鬼畜系」を名乗り、この世の腐敗に加速をかけるべく「卑怯&卑劣」をモットーに日本一ゲスで下品なライター活動をはじめると宣言。同年4月刊行の『ユリイカ臨時増刊号/悪趣味大全』において鬼畜系・電波系ライターとして本格的にデビューした後、青山正明と共謀して鬼畜本ブームの先駆けとなった『危ない1号』の編集・執筆に参加する。 翌1996年1月10日には『危ない1号』周辺のライターが総出演した、鬼畜系・悪趣味ブームの幕開けとなるトークイベント『鬼畜ナイト』が新宿ロフトプラスワンで開催される。主催者は村崎百郎で、大麻取締法違反で保釈されたばかりの青山正明が一日店長を務めた。このイベントには根本敬、佐川一政、柳下毅一郎、夏原武、釣崎清隆、宇川直宏、石丸元章、クーロン黒沢、木村重樹、吉永嘉明など30人以上の鬼畜系文化人が登壇し、キャッチコピーにある通り「誰もがいたたまれない気分に浸れる悪夢のトークセッション」を繰り広げた。イベントの模様は『鬼畜ナイト 新宿でいちばんイヤ〜な夜』(鬼畜ナイト実行委員会+東京公司)としてデータハウスから同年8月に書籍化され、7万部を売り上げる。また、この成功は創業まもない新宿ロフトプラスワンの名を世に広く知らしめるきっかけとなった。 1996年7月には、村崎百郎の処女単行本にして唯一の単著『鬼畜のススメ 世の中を下品のどん底に叩き堕とせ!! みんなで楽しいゴミ漁り』(データハウス/東京公司)が青山正明監修のもと刊行された。本書では、他人のゴミを漁ってプライバシーを暴き出す「ダスト・ハンティング」(霊的ゴミ漁り)が紹介されている。村崎はまえがきで本書のテーマを次のように語った。 徹底的に己の欲望に正直にさし向かい、本当に自分がやりたいのは何なのか、よく考えてみるがいい。/人は人としてこの世に生まれた限り、好きなことを好きなようにやるべきだ。/やりたくないことは、命をかけてもやらない。そんな生き方ができるなら、それだけでもたいしたもんだ。人はそういう生き方でも充分救われる。/まずは自分の中の、外に向かって取りつくろっているウソを一枚ずつ引きはがして潰していけ。そうやって少しずつ身軽になって人生を楽しめ。楽しくなけりゃあ人生なんてウソだからな。/己の欲望に忠実に・徹底的に利己的であれ。この本はそんな鬼畜的生き方の入門書として、俺の趣味のひとつである「楽しいゴミ漁り」を解説したものだ。/これだけは保証しよう。想像力や妄想力を働かせながら漁ったゴミと対話を続ければ、あんたらは必ず深い「他者理解」や「人間理解」が得られるだろう。/何をやるにしても「人間」を理解することは共通の基本テーマであるはずだ。やりたいことを貫きたい人間はまず、「人間」を深く学ばねばならない。/「たかがゴミ漁り」からどれだけのことが学べるか。それが本書のテーマである。 — 村崎百郎『村崎百郎のパンデミック時代を生き延びろ! (1)「鬼畜のススメ」世の中を下品のどん底に叩き墜とせ!!』より一部省略して引用(百郎文庫, 2020年7月, Kindle版, 位置No.全3934中 19-89 / 1-2%) 『鬼畜のススメ』刊行の2ヶ月後、村崎百郎は「電波系」にまつわる体系的な考察を行った単行本『電波系』(太田出版)を特殊漫画家の根本敬との共著で1996年9月に上梓した。これは『SPA!』1995年11月1日号の特集「電波系な人々大研究──巫女の神がかりからウィリアム・バロウズ、犬と会話できる異能者まで」に掲載された対談記事をもとに、膨大量の語り下ろし談話を加味して単行本化したものである。村崎は『電波系』のあとがきでも次のように語っている。「だから、もう電波に対してそんなに真剣に悩まなくてもいいんだ。好きに生きろよ」。
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