食材としてのサメ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/23 04:39 UTC 版)
詳細は「サメ肉」を参照 サメは食材としても用いられ、身肉はすりつぶして蒲鉾やはんぺんなどの魚肉練り製品に加工されることが多い。サメの肉は低カロリー、低脂質、高タンパク質、骨はすべて軟骨質であるため子どもから老人までに適した食材であり、これまで食用の習慣のなかった地域でも見直される動きもある。サメは体液の浸透圧調節に尿素を用いており、その身体組織には尿素が蓄積されている。そのため、鮮度が落ちるとアンモニアを生じてしまい、一般の魚のような料理には向かない。ただし、アンモニアがあるために腐敗が遅く、冷蔵技術が進む前の山間部では海の幸として珍重されていた場合もある。幼魚は蓄積された尿素の量が少ないため意外と美味である。 古代の日本では記紀の因幡の白ウサギにおける記述から、サメ(当時はワニと呼んでいた)の獰猛性について深い知識がうかがわれ、そういった背景のもと三河国から平城京へサメを送った木簡が出土しており、愛知県知多郡南知多町の北地古墳群からはサメ漁に用いられたと考えられる釣り針や石錘が出土している。『ものと人間の文化史35 鮫』(矢野憲一著、法政大学出版局発行)によれば『延喜式』にサメを食材とした記述があり、斎宮寮に鮫の楚割 (さめのすわやり、干物と考えられている)が支給された記録があるという。この鮫の楚割が伊勢神宮の神饌として供えられる干鮫であり、後述する三重県のサメのタレと同じものという話があるが、市販されるサメのタレの大部分は20世紀に改良された加工法で作られているのでまったく同じものではない。『ものと人間の文化史35 鮫』によれば、伊勢土産としてのサメのタレは、1773年(安永2年)の『宮川夜話草』に記され、サメを神饌とする神社は伊勢神宮のほかに千葉県香取市の香取神宮や愛知県津島市の津島神社があるという。 近年の日本では、マグロなどの延縄漁の外道として水揚げされるサメを有効に利用するため、後述する中華料理のフカヒレに加工し、国内消費のほかに主に中国に輸出することが多くなった。中国の経済発展に伴い出荷量が増え、これに合わせフカヒレの材料となるサメの水揚げが増えたため、近海物の減少など資源の枯渇が懸念されている。詳細は本記事の#保護の項目を参照。 なお、アメリカの食品医薬品局(FDA)は、有機水銀が蓄積されている可能性が高いとして、2004年に妊婦や授乳中の女性および子どもはサメを摂取しないよう勧告を行っている。
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