風向きの変化・次期総選挙への処遇
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「83会」の記事における「風向きの変化・次期総選挙への処遇」の解説
安倍総裁誕生の後、郵政造反組復党問題が持ち上がった。郵政民営化賛成を「大義」にして当選した83会の新人議員には、復党に批判的な意見が多かった。 2006年11月7日、自民党本部で開かれた衆参1回生議員の研修会「日本夢づくり道場」で「塾長」としてあいさつした武部勤は「皆さんが戦った相手は抵抗勢力で改革の敵。復党問題が出ているが後戻りすることは絶対ない」と述べた。しかし武部に続いてあいさつした小泉純一郎は「政治家は常に使い捨てにされることを覚悟しないといけない。甘えちゃいけない。使い捨てが嫌なら国会議員にならない方がいい」と述べ、郵政民営化法案の造反議員の復党に反対する一部議員を牽制した。復党に反対するグループはこの翌日「復党問題を考える会」の発足を予定しており、「日本夢づくり道場」を前哨戦と位置づけていた。小泉の後ろ盾を期待していた議員のなかには、この発言に戸惑いの表情を見せた者もいた。 結局、2006年12月4日、自民党党紀委員会で平沼赳夫以外の造反議員11人の復党が全会一致で認められた。 詳細は「郵政造反組復党問題」を参照 その後で造反組である藤井孝男の参院選推薦や衛藤晟一の復党が認められた(藤井は2007年参院選当選後に復党)。 2007年7月の第21回参議院議員通常選挙での自民党大敗を受け、8月に党幹事長に就任した麻生太郎は、83会議員を副幹事長などの党役職から退けた。 2007年9月10日の党代議士会では、中川泰宏や川条志嘉が、党執行部や郵政造反組平沼赳夫の動きを「復党が自民党支持率降下の一因であるにもかかわらず、反省がない」と批判した。また、菅義偉選対総局長なども「次の衆院選には勝てる候補だけを公認する」と述べ、復党組と選挙区が重なる議員は選挙区変更も予想された。 また、9月には麻生の主導により平沼の復党が再燃したが、この動きを小泉改革の事実上の否定と受け取って反発する者も現れた。安倍が首相として内閣改造を行った際には、郵政造反復党組の森山裕と今村雅弘を副大臣に起用するなど、公然と要職へ復帰させるようになった。この時期、安倍は麻生と相談のうえで内閣改造を行ったとされ、このような麻生主導での1回生議員への待遇変更・郵政造反組の復権に関して、83会議員の不満が募った。 このような状況下で、9月12日に安倍首相が突如辞任を表明したことを受け、83会の一部議員は次期総裁に小泉純一郎前総裁の再登板を望む会を発足させ、小泉の総裁選立候補の署名を集めるなどの活動を始めたが、小泉本人は「再登板は100%ない」と否定し、福田康夫支持を表明した。 また、総裁選の候補者である麻生太郎が、上記のように、1回生議員を冷遇したり、小泉改革の否定ともとれる行動をとっていたりしたため、83会議員の中に麻生へ不快感を示す者も出てきた。さらに、福田が平沼復党に慎重論を出し、小泉の福田支持と平沼復党問題の対応から、反麻生票として福田へ投票する議員が増えたと見られている。 しかし、1回生冷遇の流れは止まらず、党総裁・首相に就任した福田は、郵政国会で小泉を強く牽制し郵政民営化法案を棄権した古賀誠を党選挙対策本部長に任命した。また、片山は党広報局長を更迭され、郵政造反復党組の野田聖子が後任に起用された。 古賀は、郵政造反組であり野中広務の後継者である田中英夫の会合への出席、郵政造反無所属議員の平沼赳夫との接触を行っている。また、古賀も、菅と同様、「次の衆院選には勝てる候補だけを公認する」とし、支持基盤の弱い83会議員を優遇しない方針を打ち出している。 こうした執行部の姿勢に対して、83会議員を中心にした新会派「新しい風」を設立した武部は、「党が公認しないのなら、彼らを応援するために自分が党を出るしかない」と離党をほのめかす発言を行っている。 2008年1月16日、森喜朗元首相が都内のホテルで講演を開き、「小泉さん(元首相)は『次(第45回衆院選)の保証など絶対誰にも言ってない』と言っていた」と、小泉元首相との会話を披露し、チルドレン達は「親」である小泉元首相から庇護を十分に受けられない現状が明らかとなった。 それぞれ北海道1区、岐阜1区からの出馬の動きを見せていた杉村太蔵、佐藤ゆかり両議員については、党本部や都道府県連が彼らを公認せず、それぞれ長谷川岳、野田聖子を公認することで決定した。このように、1回生議員の一部は、無所属での出馬や選挙区変更を余儀なくされる厳しい立場に立たされた。
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