音楽様式としてのロックンロール
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「ロックンロールの起源」の記事における「音楽様式としてのロックンロール」の解説
オックスフォード英語辞典によると、音楽様式を説明する際における「ロック」という単語の初期の使用は『Metronome』誌における1938年7月21日の批評で「ハリー・ジェイムスの「Lullaby in Rhythm」が実にロックである」と書かれていた。1939年には、アンドリューズ・シスターズとビング・クロスビー共演による「Ciribiribin」と「Yodelin' Jive」への批評が『The Musician』誌に掲載され、この曲たちが「厳格な4分の4拍子で進行される、留まることを知らない熱意を孕んだロックンロール」だと書かれていた。 1940年代初頭までに、「ロックンロール」という用語はビルボード記者のモーリー・オロデンカーによるレコード批評でも使用された。例えば1942年5月30日号では、「Rock Me」でのシスター・ロゼッタ・サープのボーカルを「ロックンロールな黒人霊歌の歌唱(rock-and-roll spiritual singing)」と評しており、1942年10月3日号ではカウント・ベイシーの「It's Sand, Man!」を「楽器をかき鳴らす人達ながら、[中略]正しいリズムに打ち込んでいる時にはロックンロールの才能が見られる」と評した。1945年4月25日号で、オロデンカーは「Caldonia」のアースキン・ホーキンス盤を「正しくリズミカルなロックンロールの音楽」と評し、1946年にはジョー・リギンズの「Sugar Lump」に対する彼の批評でも全く同じフレーズが繰り返された。 皮肉めいた二重の意味が一般に知られるようになったのは、最初のロックンロール・レコード候補の1つであるロイ・ブラウン (ブルース歌手)の「Good Rocking Tonight」(1947)である。これは1948年にワイノニー・ハリスによって荒々しい感じでカバーされ、そこでの「ロッキング」とは表向きダンスに関するものだったが、実際には性行為を薄いベールで覆った隠喩だった。こうしたダブル・ミーニングの言葉はブルース音楽で十分に確立されていたが、ラジオ放送では新しいものだった。「Good Rocking Tonight」の成功後、ほか大勢のR&Bアーティストが1940年代後半に似たような題名を使用した。この時期に「Rock and Roll」という題名の曲が少なくとも2曲(1947年のポール・バスコムと1948年のワイルド・ビル・ムーア)録音されている。1948年5月、サヴォイ・レコードはブラウニー・マクギーの「Robbie-Dobey Boogie」を"It jumps, it's made, it rocks, it rolls"というキャッチコピーで宣伝した。曲を通して例のフレーズが繰り返されたもう一つのレコード「Rock and Roll Blues」は、アーリン・ハリスによって1949年に録音された。これらの曲は一般に黒人音楽(race music)に分類され、1940年代後半からはR&Bとされ、白人の聴衆に知られることは稀だった。 しかし1951年、クリーブランドのDJアラン・フリードが様々な人種の聴衆に向けてR&Bやカントリー音楽を放送し始めた。数十年前の音楽に精通していたフリードは、ラジオで流した音楽を説明するのに「ロックンロール」というフレーズを使用した。この使用は彼のスポンサーだったレコード店主レオ・ミンツの功績でもあり、彼がフリードにその音楽をラジオで流すよう勧めていた 。 幾つかの資料は、フリードがビリー・ワード&ヒズ・ドミノズのレコード「Sixty Minute Man」でこの用語(性行為の婉曲表現)を発見したことを示唆している。ただフリード自身はその示唆を認めておらず、インタビューでこの用語について「ロックンロールとは、本当のところスイングの現代的な名称です。民俗音楽を取り入れたもので、ブルースとリズムに特徴があります」と説明している。 1991年にフリードがハリウッド・ウォーク・オブ・フェームで星の栄誉を手にした後、同組織のウェブサイトは「彼は欧米のラジオ番組でロックンロールという名のもと、アフリカ系アメリカ人のR&B音楽を宣伝して国際的に知られるようになった」とのコメントを出した。数年後、当時ロックンロールの殿堂の常任理事だったグレッグ・ハリスは「白人と黒人の子供たちに同じ音楽を聴かせることによって、1950年代の米国ポップ文化で人種の壁を打ち破ることになるフリードの役割は、ラジオパーソナリティの先駆けとなったもので彼を「本当に重要な人物」にした」とCNNに語った。
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