電装機器・制御系
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/20 07:08 UTC 版)
「国鉄781系電車」の記事における「電装機器・制御系」の解説
電装機器の配置は、国鉄新性能電車の標準構成である電動車の2両ユニット方式を採らず、「電動車・電源搭載付随車ユニット」(M+TAユニット)を組む。本系列では、パンタグラフ・主変圧器・主整流器・主平滑リアクトルなど、電源供給に関する機器を制御車・付随車側に搭載し、制御電動車・電動車側には主制御器などを設けている。これは特急列車用として車体設備や機器設計を再検討した結果、711系に比して重量増となったこと、および 床下に機器を極力配置しないとする耐雪設計のためで、「Alternating Current」(交流)の頭文字である「A」を含んだ「TAc'」と「TA」の記号(「'」は偶数形式を表す)が、国鉄で初めて用いられている。このことから、新造特急形車両としては初めての制御電動車である、クモハ781形が設定されている。 主変圧器(TM13D形)主整流器(RS39B形)は非PCB仕様として新たに設計され、主電動機は711系と同様の他力通風方式で、417系電車で採用された絶縁強化仕様の直流直巻電動機MT54E形を用いる。 制御方式は711系を基本とするサイリスタ位相制御である。同制御方式では力行制御用の抵抗器は不要で、711系では発電ブレーキを省略していた。本系列では屋根上にブレーキ専用の抵抗器を搭載して高速域から強力に作用する発電ブレーキを装備し、711系で問題のあった制輪子・車輪の摩耗低減を図った。 歯車比は急行形電車と同一の 1:4.21 で、711系と同様に弱界磁制御は行わない。これは 120 kW / 375 V 定格で設計された MT54形電動機を最大500 V で使用し、弱め界磁制御を行わない新たな定格を定めたことで、ほぼ電圧比例の 150 kW を定格とする MT54A形(711系)/ MT54E形(781系ほか)の実用回転域の高速側が拡大したためのものである。ちなみに本系列の場合、定格速度は84 km/h に達する。 直流であれば供給電圧 1,500 V(1電動機当たり 375 V = 1ユニットあたり8電動機 / 1,500 V)が上限となって、それ以上の加速には弱め界磁制御が求められるが、界磁磁束に比例するトルクが速度反比例で低下する定出力領域(≒ 120 kW)となる。一方交流 20,000 V では、さらに高い電圧を与えることができ、電圧比例でより大きな出力(≒ 150 kW:500 V 動作)が得られる。この場合弱界磁制御は、高電圧による整流悪化などで界磁制御範囲が狭まることから、採用する必要性が薄い。タップ制御の新幹線0系も同じく弱界磁制御を行わない。 なお、北海道の深刻な雪害への対策は、冷却気循環系に負圧部を作らないことで実現している。485系1500番台ではそれが不徹底で、北海道の乾燥した粉雪に対応しきれず、隙間から舞い込んだ雪が機器の熱や装備されたヒーターで解ける浸水絶縁不良で運行できなくなったが、本州転属(復帰)後は支障なく運行している。
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