鎮火を待つ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/06 23:13 UTC 版)
午後11時26分ころに、ブルックリン消防署のチーフエンジニア トマス・ネビンズが、劇場に到着した。彼はすぐに、建物が失われている、自分の仕事は監禁の仕事だ、と判断した。ワシントン・ストリートとジョンソン・ストリートの角にあるダイアター・ホテルは劇場よりも低く、その広い平らな屋根は、炎をあげている残骸の魅力的な標的であった。劇場の南にあるファースト・プリーシンクト警察署は、乾いた木製の支柱が付いた古いレンガ造りの建物であった。燃えさかる劇場の向かいにあるフラッズ・アリのブロックに、今にも崩れそうな木造の建物複数が広がっていた。その時点で、卓越風は西風で、煙と燃えがらを東に運び、これら古い構造に燃え木を落とした。警察署の南にある郵便局は、紙の郵便物でいっぱいであった。ネビンスは、火事に向かう途中で第2と第3の警報を鳴らしていた。追加の機器が到着したとき、彼は隣接する建物に火花や燃えている残骸がないように、ブロックの周りにエンジンを配備した。 真夜中までに、火災は頂点に達し、見物人約5000人を引きつけた。それは午前1時ころまで手に負えないままに燃え、そして深更に、フラッズ・アリぞいの壁が崩壊し、路地を残骸で満たした。午前3時までにそれは燃えつきた。ネビンズは、炎は今や一部制御されている、と考えた。 多くの生存者は、ファースト・プリーシンクト警察署に一時的な避難所を見つけた。『Brooklyn Eagle』のある記者はワシントン・ストリート口近くでケイト・クラクストンが茫然としているのを見つけたのち、彼女をそこに連れて行った。彼女は薄い演劇の服だけをまとって、警察署の中でちぢこまった。巨大災害が彼女の心に小さな不調和な破片となって思い浮かぶことになる。キャプテン・スミスの事務室に静かに座っていた彼女は、突然、失われた衣類数点、アザラシ皮のバッグあるいは宝石を悲しみ嘆くことになる。ずっとのちに、財布を失い、無一文であるという考えが、彼女に取り憑いた。ときどき人々が中に入ることになるし、彼女は、H・S・マードックについて彼らに尋ねることになる、彼は最後の数分間彼女とともにステージに立っていて、上着のために楽屋に急いでいた俳優であった。だれも彼の姿を見ていなかった。彼女はその人に彼を探しに行くように頼むことになる。結局のところ彼女のために防水クロークが見つかったし、彼女はピエールポイント・ハウスの自分の部屋に追いやられた。 多くの人が他の人について尋ねているにもかかわらず、朝の時間帯に受けた通念は、すべてではないにせよ、ほとんどの人が生きて出てきた、というものであった。警察と消防士らの間で、この考えは主に地区エンジニア ファーリーの最後の調査から生じた――平土間と平土間後方席には誰の姿も見られなかった。ドレス席には誰の姿も見られなかった。たしかにだれもギャラリーを物理的にチェックしていなかったが、しかし人々はそこで呼び出し、返事はなく、動きの音もなかった。最高のものを期待する傾向があった。たしかに、チャールズ・ヴァインが天井桟敷から降りたとき、まだ何百人もの人々が階段でもがいていたが、ヴァインは深い切り傷のために医療援助を求めていたために、彼が知ったのは全般的な知識ではなかった。朝刊が印刷に回されたとき、どれも死傷者のニュースは伝えなかった。 午前3時過ぎに、チーフ・ネビンズは最初の出撃を劇場のベスタビュールに試みた。ファーリー地区長が3時間以上前に出発して以来、誰もそこにいなかった。彼の最初の試みは失敗したが、しかし最終的に彼はベスタビュールの中に向かって進んだ。 ロビーに通じるドア複数の外で、彼は女1人の胴体、脚複数が部分的に焼け落ち、顔と腕複数が変形しているのを見つけた。彼女は南壁に背をつけてまっすぐに座っていた。ネビンズは、その時点でもっと多くの遺体が見つかる可能性が高い、と判断した。彼はそのニュースを彼の上級地区エンジニアに限定し続け、愛する人を探している人々の壊れやすい劇場に群集事故を起こしたくなかった。
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