重整備工事の施工
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 07:10 UTC 版)
「名鉄3400系電車」の記事における「重整備工事の施工」の解説
1960年代後半に至り、先頭車モ3400形・ク2400形については車齢30年を経過して各部の劣化が進行したことから、1967年(昭和42年)から翌1968年(昭和43年)にかけて、本系列全編成を対象に重整備工事と称する大規模な車体更新修繕工事が施工された。重整備工事の施工に際しては、前面の貫通構造化および下部スカートの撤去も検討されたものの、最終的には構体に大きく手を加えることなく、各部の補修および近代化に主眼を置いた内容となった。 なお、施工に先立つ1967年(昭和42年)3月に日本車輌製造において車体更新設計図面「7C-6715」が作成され、実際の工事は名鉄鳴海工場において概ね図面にて図示された内容に従って施工された。 先頭車であるモ3400形・ク2400形については、従来窓間柱によって3分割されていた前面窓を2本のピラーによって区切った連続3枚窓構造に改め、同時に前面窓上の通風器を埋込撤去した。また、標識灯を車体一体型の角型タイプのものに交換したほか、屋根上パンタグラフから床下への高圧配線の引き通し位置変更に伴って前位寄り客用扉の開閉方向を車体中心側から車端側に変更した。車内では運転台仕切り壁を天井鴨居部まで延長し、延長部分にはガラス窓を設けた。 その他、全車を対象として、客用扉の上辺のアーチ形状を廃して一般的な直線形状に改造し、客用扉下部の内蔵ステップを廃止して客用扉の下辺が車内床面高さまで引き上げられ、客用扉そのものも鋼製扉へ交換された。側窓は上隅部を直角形状に改め、窓枠をアルミサッシ化し、前面窓や戸袋窓といった固定窓についてはHゴムによる固定支持とした。 車内は床面のロンリューム仕上げ化のほか壁面を淡緑色のアルミデコラ張りとし、座席配置についてはモ3400形・ク2400形の先頭寄り、および全車の各客用扉直近の側窓1枚分の座席をロングシートとしたほかは全て転換クロスシートとした。 主要機器面では、制御装置の発電制動機能を完全撤去して型番がES-532-Nと変更され、編成内の連結器を従来の密着連結器から棒連結器に交換した。 重整備工事は編成単位ではなく2両単位で施工されたため、遊休車両が発生した場合に備えて3800系3821編成を専用編成として貫通幌などを整備し、本系列2両と連結して運用した。また、重整備工事施工の途上においては施工済の2両と未施工の2両が混在した状態で運用される編成も存在した。 1967年(昭和42年)7月に竣功した初回出場車である3401編成モ3401-サ2451の2両のみは下半分マルーン・上半分ピンクの従来塗装で出場したが、次いで同年11月に竣功した3401編成モ3451-ク2401より、車体を黄色がかったクリーム(ストロークリーム)地に赤帯・スカート部を灰色とした、当時の名鉄におけるクロスシート車の標準塗装に変更された。以降に施工された3402編成・3403編成も同様の塗装で竣功したほか、のちにモ3401-サ2451についても同塗装へ変更された。 本系列は重整備工事施工に伴って外観が大きく変化したことから、施工後については「原形の優美な印象が一掃された」とも、「近代的でスマートな外観となった」あるいは「更新前とはまた違った魅力を備えた」とも評されるが、本系列の特徴である流線形の前面形状と下部スカートは変わらず維持された。
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