遺伝子の影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/07 01:45 UTC 版)
すべての生物は、ウイルスを例外として、二重螺旋の染色体または DNA 上にある遺伝子の配置パターンによって、生物としての基本設計が決まっている。人間が二本の脚を持ち、一対の手(または腕)と直立型の体機制を持つことは遺伝子決定的である。他方、鳥類には基本的に翼があることや、魚類の四肢は手足としては発達・進化しておらず、鰭を持ち、鰓呼吸するなども同様である。 生物学における種の概念が、遺伝子のパターンと、それによる形質のありよう、体構造や更に生殖の可能性から決まっている。犬からヒツジの子供は産まれないし、馬や牛から人間の子供は産まれない。生物界における種の安定と多様性の秩序は先天的に決まっている。 動物の雌雄も遺伝子によって決定されるものが多い。魚類などには栄養状態や雌雄の性比などの環境条件で、雄と雌が自然的に性転換するものがいるが、哺乳類・鳥類などの雌雄は遺伝子で決定されている。また血液型とか色神なども遺伝子で決まっており、男女の内性器、外性器の発達なども遺伝子決定的であるが、性成熟の時期は環境(主に栄養状態)の影響を受ける。身長や体格なども遺伝の影響を強く受けることが分かっているが、環境の影響も同様に大きい。ミツバチの幼虫が働きバチになるか女王蜂になるかはエサによって決まる。つまり後天的に決定される。しかし「エサによってどのように育つかが決まる」という性質は先天的に決定されている。 人間の場合の人格の基礎をなす精神の気質的部分も、遺伝の影響を受けていると考えられる。また犯罪者を多数輩出した家系や、逆に、音楽家として著名なバッハ一族のように、音楽の才能において卓越した人物を輩出した家系の研究からは、ある種の人格の要素や音楽・数学の才能などは、遺伝子にある程度の決定性要因があることが想定されている[要出典]。これらは先天的な要因の存在を意味する。
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遺伝子の影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/09 08:57 UTC 版)
フランス・パスツール研究所の研究チームが、フランス国立医学研究機構およびスウェーデン・ヨーテボリ大学と行った共同研究では、自閉症者の脳内で遺伝子「シャンク3 (SHANK3)」に異常があることが指摘されている。ただし、研究チームからはシャンク3で自閉症の全ての症状を説明できるわけではないと警告が発せられており、主要な社会的障害についてある程度説明ができるかもしれないと述べるにとどまっている。また、ヒトの自閉症患者から見つかったシナプスタンパク質ニューロリギンの遺伝子変異を導入したマウスで自閉症症状が引き起こされることが確認されており、この発見からシナプス異常と自閉症との関連が注目されている。日本でも理化学研究所の研究チームが、神経細胞の生存や分化に重要な神経栄養因子の分泌を調節する遺伝子(CAPS2遺伝子)の異常が、自閉症の発症メカニズムに関係しているとの研究成果を発表している。
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