適用除外・適用猶予
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 08:06 UTC 版)
新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務については、専門的、科学的な知識、技術を有する者が従事する新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務の特殊性が存在する。このため、限度時間、三六協定に特別条項を設ける場合の要件、1か月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間の上限についての規定は、当該業務については適用しない(第36条11項)。 「新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務」とは、専門的、科学的な知識、技術を有する者が従事する新技術、新商品等の研究開発の業務をいい、既存の商品やサービスにとどまるものや、商品を専ら製造する業務などはここに含まれないこと(平成30年9月7日基発0907第1号、平成30年12月28日基発1228第15号)。 事業者は、「新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務」に従事する労働者であって、その労働時間が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める時間(1週間当たり40時間を超えて労働した時間が月100時間)を超える者に対し、労働者からの申出の有無にかかわらず、医師による面接指導を行わなければならない(労働安全衛生法第66条の8の2)。 以下の事業・業務には、その性格から直ちに時間外労働の上限規制を適用することになじまないため、猶予措置を設けたものであること(第139〜142条、施行規則第69条、71条、平成30年9月7日基発0907第1号)。労働者派遣事業を営む事業主が、これらの事業又は業務に労働者を派遣する場合、派遣先の事業又は業務について適用されることとなり、派遣元の使用者においては、派遣先における事業・業務の内容を踏まえて三六協定を締結する必要がある(平成30年12月28日基発1228第15号)。 工作物の建設等の事業令和6年3月31日までの間、第36条3項〜5項まで及び6項(第2号及び第3号に係る部分に限る。)の規定は適用しないこととし、同年4月1日以降、当分の間、災害時における復旧及び復興の事業に限り、第36条6項(第2号及び第3号に係る部分に限る。)の規定は適用しないこととしたものであること。 自動車の運転の業務令和6年3月31日までの間、第36条3項〜5項まで及び6項(第2号及び第3号に係る部分に限る。)の規定は適用しないこととし、同年4月1日以降、当分の間、時間外労働の上限規制として1年について960時間以内の規制を適用することとしたものであること。 これについては別途、自動車運転者の労働時間等の改善のための基準により規制されている。 医業に従事する医師医師法に基づく応召義務等の特殊性を踏まえた対応が必要であることから、令和6年4月1日から時間外労働の上限規制を適用することとし、具体的な規制の在り方等については、現在、医療界の参加の下で有識者による検討を行っているものであること。 2024年からは、残業時間は月あたり月45時間未満(臨時では100時間未満)、勤務間インターバル9時間とする方針が示された。 「医師#医師の働き方改革」も参照 鹿児島県及び沖縄県における砂糖を製造する事業令和6年3月31日(同日及びその翌日を含む期間を定めている三六協定に関しては、当該協定に定める期間の初日から起算して1年を経過する日)までの間、三六協定に特別条項を設ける場合の1か月についての上限、1か月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間の上限についての規定は適用されないものであること。また、規則第17条1項3〜7号までの規定は適用されないものであること。同年4月1日以降は、第36条の規定が全面的に適用されるものであること。 中小事業主(その資本金の額又は出資の総額が3億円(小売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については5千万円、卸売業を主たる事業とする事業主については1億円)以下である事業主及びその常時使用する労働者の数が300人(小売業を主たる事業とする事業主については50人、卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については100人)以下である事業主をいう。以下同じ。)の事業に係る三六協定(第139条2項に規定する事業、第140条2項に規定する業務、第141条4項に規定する者及び第142条に規定する事業に係るものを除く。)については、令和2年4月1日から改正法による第36条の規定を適用する(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律第3条)。 改正法の規定(第139条2項、第140条2項、第141条4項及び第142条の規定により読み替えて適用する場合を含む。)は、平成31年4月1日以後の期間のみを定めている三六協定について適用する。平成31年3月31日を含む期間を定めている三六協定については、当該協定に定める期間の初日から起算して1年を経過する日までの間については、なお従前の例によることとし、改正前の第36条、労働基準法施行規則及び限度基準告示等が適用される(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律第2条)。
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