近世、近代から現代へ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 09:59 UTC 版)
「キリスト教徒」の記事における「近世、近代から現代へ」の解説
近代のキリスト教信仰の歴史は、その多様化から言っても、各宗教運動ごとに研究を進めていくべきである。西洋では、ルネサンス(文芸復興)運動を背景とした宗教改革によって教会と国家の関係がしっかりと調整されたことにより、教義の自己解釈や、目に見える統一体(普遍教会)という考えに対する公然たる批判が始まった。その結果として生じたプロテスタント諸教会の共通したモットーは「聖書のみ」「恵みのみ」「信仰のみ」という標語で表される。中でもイギリスでのプロテスタント宗教改革の原因は純粋に宗教的なものでなく、国王ヘンリー8世の離婚問題が発端であったが、結果的に組織化された教会は国王を首長とする監督教会(聖公会)となった。 北米の植民地では、啓蒙時代の思想から来る知的刺激に引き起こされて宗教運動が起こった。大覚醒(Great Awakening)と呼ばれ、北米のプロテスタント教徒の大部分の信仰活動の基本となっている。 『マタイによる福音書』28章19-20節にあるイエスの言葉に応え、キリスト教の全教派が伝道団(Mission)を各地へ送ったため、今日世界のほぼどこへ行ってもキリスト教徒が見付かるようになった。 一部のキリスト教徒は、原始教会やキリスト以前の預言者にみられるような預言者的コミュニケーションや異言(そのままでは意味不明の声を発する、一種のカタルシス現象)、奇跡の神癒に熱心に参加している。これらの教徒はペンテコステ派に区分されるが、カリスマ運動(Charismatic Movement)、カトリック・カリスマ刷新など他の教派にも存在する。 今日のキリスト教圏には、エマージェント・チャーチ(emergent church)、キリスト教根本主義、復古正統主義、メシアニック・ジュダイズム、自由主義神学、ハウスチャーチ(House Church)といった運動がある。 現在もなお、キリスト教徒の生き方は新約聖書に書かれたイエスという人物を信じることが根本である。完全に整った霊的状態は神の好意で与えられることによってしか実現しないといった教えにも見られるが、「人間の力では到底得られないものが神の憐れみによって与えられる」神与(天与)の恩恵(Divine grace)という考えもまた、カトリック教会の秘跡(プロテスタント教会では聖礼典と呼ばれる)と並んで、いまだキリスト教徒特有の概念である。八巻正治は「私は当然ながら『神学』と『信仰』は別だと思っています。何よりも信仰とは<疑うことではなく信じること>です。そして<信じることは委ねること>なのです。ですから<神学は語れても信仰は語れない>敗北的なクリスチャンたちがこの国には多くいるのです。」と一部の日本人クリスチャンを批判している。
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