軟式野球

スポーツ辞典

軟式野球

歴史と沿革

軟式野球は、大正時代中期に日本で考案されたゴム製ボールを用いてプレーする野球で、硬式ボールの野球よりも危険性が少なく、より幅広い年齢層で普及し、野球の大衆化に貢献してきました。

野球がアメリカから日本に伝わったのは明治5年。徐々に人気が高まり、大正時代になって全国中等学校優勝野球大会、春の全国選抜中等学校野球大会などがあいついで開催されたことで青少年の間にも野球は広まっていきました。しかし、革製の硬式ボールでのプレーは危険性も高いことから、少年たちの多くはテニスボールやスポンジボールなどを使っていたため、ボールのスピード感や耐久性に問題がありました。少年たちに手軽に野球を楽しんでもらいたいという思いから、硬式ボールより危険性が低く、安価なゴム素材のボールが新たに開発され、「軟式野球」が生まれたのです。

普及が加速したのは全国大会の開催です。まず、第2次世界大戦後の昭和21年に「全日本軟式野球大会」が16チームの参加で初開催されました。同大会は昭和23年以降、「天皇賜杯全日本軟式野球大会」となり、各都道府県から代表1チームが参加する形に改められ、人気を後押ししました。また、昭和45年には少年野球が組織化され、少年1部（高校生）、少年2部（中学生）、少年学童部（小学生）の3部門別に全国各地で大会が開催されています。

さらに、国民体育大会や日本スポーツマスターズなどにも採用されるなど、軟式野球はさまざまな世代で広く親しまれています。現在、全日本軟式野球連盟の加盟チーム数は社会人約37,000、少年約20,000。他に大学協会や専門学校、還暦連盟加盟のチームなども加えると、競技人口は約120万人に達します。

● 全日本軟式野球連盟
日本における軟式野球を統括する団体として、昭和20年に発足しましたが、当時は占領下にあっためGHQの見解に従ってソフトボール部会も傘下においた、「Japan Softball Baseball Association」（略称：JSBB）という名称でスタートしました。

ソフトボール部会は昭和24年、日本ソフトボール協会として独立しています。現在の全日本軟式野球連盟の英語名は、ゴム製ボールを使う野球という意味の、「Japan Rubber Baseball Association」に変わっています。また、連盟のロゴマークはJSBBを図案化した図柄の周囲をJapan Rubber Baseball Associationというローマ字が囲んだマークを使っています。

競技方法・ルール

基本的に『公認野球規則』に則って行われます。これは、日本における野球の公式ルールを定めた文書で、アメリカのプロ野球ルールである“Official Baseball Rules”を翻訳したものに、日本独自の注釈を加えた内容になっています。また、軟式野球関係者の教本のひとつとして、『競技者必携』を刊行し、正しい軟式野球の普及・発展に努めています。

＊より詳しい競技説明やルール、用具等の規定については以下をご参照ください。
● （財）全日本軟式野球連盟規定

グラウンドや用具など

主な規定を以下にまとめました。より詳しい内容は、こちらをご参照ください。

● グラウンド

• 内野の区画：一辺が90フィート(27.431メートル）の正方形

• 外野の区画：本塁を起点として外野フェンスなどの境界まで1塁線および3塁線を延長した長さが250フィート(76.199メートル）以上あれば、左右均等の必要はなく、各球場の状況に応じて設定できる。

• ベース：本塁ベースは五角形の白いゴム板で、左右の一辺は17インチ(43.2センチ）。各塁のベースは15インチ（38.1センチ）四方の正方形で、厚さは3～5センチ(7.6～12.7センチ）。最近の主流はゴム製やウレタン製のものなど。

● 用具

• ボール：軟式ボールはゴム製で、A、B、C、D、H号の5種類。A号は一般用、B、C、D号は少年用の中空ボール。H号は中に空洞のない一般用の準硬式ボール。

• バット：アマチュア野球では木製、金属製、木片または竹片の接合バットの3種類が使用できる。ただし、軟式野球連盟主催の試合では、金属製または接合バットの場合、「JSBB」マークのついた公認バットに限る。

参照リンク：

財団法人　全日本軟式野球連盟
http://www.jsbb.or.jp/