踊りの流れ
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伝統的なバラタナティヤムのアランゲトラム公演は、7-8部からなる演技構成を順序どおりに行なう。この設定構成はマーガム(margam)と呼ばれる。 プシュパンジャリ アランゲトラム公演は、典型的にプシュパンジャリ (Pushpanjali) と呼ばれる舞踊から始まり、この語は「献花」と訳される。この踊りで、演者は敬意の証しとしてヒンズー教の神々、指導者、そして観客に花と挨拶を捧げる。踊りの出だしは祈願を象徴しており、ここからダンサーは残りの公演を始めていく 。 アラリップ 公演は、アラリップ (Alarippu) と呼ばれるリズミカルな祈り(vandana)から始めることもできる。神々や女神たち、指導者、集まった演者隊からの祝福に対する感謝と祝福の祈りを兼ね備えた純粋な舞踊である。またメロディーのない予備的なウォーミングアップの踊りとして機能し、ダンサーが自分の体を緩め、気が散るものから離れて、一心不乱に焦点に向かえるようにしている。 ジャティスワラム 公演の次なる段階はアラリップの動きにメロディーが追加されたもので、これはジャティスワラム(Jatiswaram)と呼ばれる。踊りは予備的な技術パフォーマンス(ヌリッタ)のまま、形式は純粋で文章を表現することはない。任意のカルナータカ音楽のメロディに合わせてドラムが叩かれる。それらが一連のビートのリズム(Korvai)を奏で、音楽とリズムと動作の一体化を観客に提示する。 シャブダム 公演の流れとしてはその後シャブダム(Shabdam)が追加され、訳すと「表現された文章」である。これは表現が導入されるマーガムの最初の項目である。ソロダンサーと歌手と音楽隊は、作品のこの段階で言葉と意味を伴う短い構成を雰囲気を込めて提示する。 ヴァルナム 公演はその後ヴァルナム(Varnam)の段階に入っていく。これは公演における秘儀の核心部分が来たことを表す。最も長い箇所でありヌリッティヤである。伝統的なヴァルナムは30-45分、時には1時間に及ぶ。ヴァルナムは即興で時間枠も幅広く、経験豊富なダンサーは望ましい長さにヴァルナムを延ばすことができる。演者は劇や主題の構成を提示し、全ての動作を披露し、音楽と調和しつつ、体系化された身振りや脚運びを通して物語を静かに伝える。ダンサーは、2つの速度で韻文を表現するなど、複雑な動作を演じる。ダンサーの手と体は、愛と憧憬であったり善悪の戦いなどの物語を伝え、音楽家は適切な雰囲気を醸した曲調でそれらを包み込む。 パダム 次がパダム(Padam)である。これは、厳粛な精神的メッセージや献身的な宗教的帰依者(バクティ)の純真さ・敬虔さの表現(abhinaya)段階である。音楽は軽快で、唱和は親密で、踊りは感情的である。振り付けはラサ(感情的な味つけ)と雰囲気を表現しようしており、この独演ではキールタナム(献身の表現)やジャバリ(神の愛の表現)ほかの構成が含まれる場合もある。 ティラーナ 公演の流れは、最高潮のティラーナ (Tillana) で終わる。ヌリッティヤ部分を完了して、その動作は表現力豊かな寺院の舞踊を出てヌリッタ様式に戻り、ここでは一連の純粋な動作と音楽がリズミカルに演奏される。これをもって公演が終了する シュローカムまたはマンガラム ティラーナの後、ダンサーはシュローカム(Shlokam)又はマンガラム(Mangalam)と呼ばれる第7部に進むこともできる。ダンサーは、周りの皆様に祝福を呼びかける。 バラタナティヤムの全体的な流れは、かくして「単なる拍子から、次にメロディと拍子、続いて音楽と意味と拍子。ヴァルナムの中核部分でその拡張がある。その後は拍子のない音楽と意味。[中略]最後に拍子の無い歌」という流れであり、「我々はこの芸術の中で最も素晴らしい完全性と対称性を見ることになる」と、バラサラスワティは述べている。
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