豆酘の赤米行事とは? わかりやすく解説

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豆酘の赤米行事(長崎県)

名称
豆酘の赤米行事

区分
記録作成等の措置講ず
無形の民俗文化財

所在地
長崎県下県郡厳原町豆酘

保護団体
仲間

公開日
旧12・510・12
6月10日,旧10月17
18日旧123・1928日
(旧12月が30日まである時は29日)

解説
長崎県厳原町豆酘に伝わる赤米祀り栽培する行事である。行事は頭仲間呼ばれる集団によって,旧暦1月2日から旧暦12月末に至る1年間わたって,頭受け,三日祝い田植えお吊り坐し初穂米,斗瓶酒,日の酒,餅つき初詣り,潮あび,家祓いなどの諸行が行われる。中心となるのは頭受けと呼ばれる頭役交替行事である。伝統的な祭祀形態を残すものとして貴重な行事である。


豆酘の赤米行事

名称: 豆酘の赤米行事
ふりがな つつのあかごめぎょうじ
種別1: 風俗習慣
保護団体名: 仲間
選択年月日 2002.02.12(平成14.02.12)
都道府県(列記): 長崎県
市区町村(列記): 対馬市豆酘
代表都道府県 長崎県
備考 旧暦1月2・510・12日、新暦6月10日旧暦10月17・18日、12月3・1928日12月30日までのときは29日
解説文: 豆酘の赤米行事は、長崎県下県郡厳原町豆酘に伝わる行事で、頭仲間呼ばれる集団によつて旧暦一月二日から旧暦十二月の末に至るまでの一年間にわたり行われる赤米祀り栽培する行事である。
 この行事が行われる豆酘は、対馬最南端部位置する集落で、平安期からその名前がみえ、『和名類聚鈔わみょうるいじゅうしょう】』には対馬下県四郷一つとして記載されている。豆酘湾は、北東には天道山【てんどうやま】とも呼ばれる竜良山【たつらやま】をひかえ、東西神崎【こうざき】、豆酘崎に囲まれて、南西方向に広がっている。
 行事伝える頭仲間は、明治時代以前には、宮座、一の窪、仲座、ちょん座の四つの組があり、豆酘のほとんどの家が加入していたといわれている。その後、頭仲間減り続け昭和四十五年(一九七〇)ころには一三戸、平成十年一九九八)までは八戸平成十二年(二〇〇〇)には三戸になっている
 この行事田植え除き現在も旧暦行われている。一年間主な行事には一月十日の頭受【とうう】け、一月十二日の三日祝い新暦六月十日田植え十月十七日のお吊り坐【ま】し、十月十八日の初穂米、十二月三日の斗瓶酒【とがめざけ】、十二月十九日の日【ひ】の酒【さけ】、十二月二十八日十二月三十日まであるときは二十九日)の餅搗き一月二日初詣り、一月五日の潮あび、家祓【やばらい】などがある。これらの行事中でも中心となる行事は、旧暦一月十日の夜から翌朝にかけて行われる頭受けである。
 頭受けは、赤米祀る当番である頭を次の当番の家に渡す行事で、渡す側はハライトウ、受ける側はウケトウと呼ばれる。頭受け当日、ウケトウの家では座敷口に塩筒をつけた斎【い】み竹【たけ】を立てる。行事行われる本座と呼ぶ座敷床の間には、赤米搗いた臼型の餅三個トコブシ盛りつけ松竹梅島台を飾る。天井赤米を吊す金具にはツリマシナワがかけられ本座には女性いっさい入れなくなる。
 ハライトウの家では、赤米の俵を吊していた座敷床の間に、島台、笠、ユリ中に入れ赤米の餅、濁り酒丸大根を飾る。ここで、オテイボウ、モリマシ、トモショウバンウタクチなどの各役が揃うと酒宴が始まる。しばらくするとウケトウの家から裃をつけた使い到着し、この使いに俵を受け渡す時間告げられるこの後、各役の者は一度家に引き返し夜中一時前に再び集まる。酒宴の後、モリマシが赤米入った俵の下に入り天井からはずされた俵を背負うと、ハライトウを先頭トモとともにウケトウに向かい縁側から本座に入る。
 ウケトウの家では、モリマシがツリマシナワで本座天井に俵を吊し、塩筒で清める送ってきた人たちとウケトウ側のオテイボウ、ショウバン座り甘酒や一二通り料理などが出され酒宴が始まる。酒宴最後にサンガワリと呼ばれる儀礼が行われた後、ウケトウが本座の床の前にハライトウに相対して座りウケトリワタシが行われる。明け方近く食膳出てウケトリワタシが済む。ハライトウたちは縁側から出て、庭の門松引き抜いて途中まで持ち帰る。外が明るくなりだしたころになるとウケトウはハライトウの家から運ばれてきた赤米の餅と、鍬を持って赤米田に行き水口みなくち】に埋めてくる。これで頭受けの行事終了する
 頭受けの際のトモツカイなどは、本来頭仲間務めるものであったが、現在では頭仲間三戸しかないため、頭の親戚知り合いなどが務めている。
 こうして天井に吊した赤米は、新暦六月十日田植え一か月ほど前に下ろして種籾とする。田植えには頭仲間の家から男女一人ずつが出て水口カヤヨモギ立て酒や赤米などを供え赤米田に田植えをする。この赤米収穫する新しい俵に入れて本座天井に吊すお吊り坐し行事をして、翌年の頭受けまで祀るこの後も、赤米氏神供える初穂米、赤米作った若酒【わかさけ】を氏神お供えする斗瓶酒、成酒【せいしゅ】を供える日の酒、赤米で臼型の餅を搗く餅搗き氏神への初詣りなどの行事が行われる。
 この行事は、伝統的な祭祀形態を残すものとして注目されるのである


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