誤食されやすい食用キノコ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/25 08:58 UTC 版)
「ツキヨタケ」の記事における「誤食されやすい食用キノコ」の解説
全体に地味な色調を持ち、少しも毒々しくみえないこと・縦によく裂けること・不快な臭いや味がないこと・しばしば1か所で大量に採取されることなどから、日本におけるきのこ中毒(原因となったきのこが確定されたケース)には、ツキヨタケによるものがもっとも多い。比較的幼い子実体はシイタケに、成熟したものはムキタケやヒラタケに類似している。特に、シイタケやムキタケとは1本の枯れ木上に混じり合って発生することがあり、誤食の危険が大きい。日本では2014年に道の駅で食用のヒラタケと間違えてツキヨタケをパック詰めし、それを食べた7人が食中毒の症状を訴えた。 食中毒報告状況(2000-2015年度)厚生労働省年度発生件数摂食者患者数死者数2000 13 61 67 0 2001 3 45 45 0 2002 19 110 91 0 2003 11 39 36 0 2004 16 53 52 0 2005 15 70 63 0 2006 17 65 61 0 2007 15 63 59 0 2008 19 78 70 0 2009 19 67 61 0 2010 18 64 62 0 2011 13 46 49 0 2012 23 85 74 0 2013 11 46 43 0 2014 14 66 62 0 2015 11 36 32 0 後三種は、子実体のいかなる発育段階においても、ひだに発光性を欠いている。また、シイタケでは肉がツキヨタケのそれに比べてより強靭であり、乾燥すると特有の香気を発する点が異なる。ムキタケはかさの表面に微毛を被るとともに、かさの表皮が容易に剥がれる点で区別される。ヒラタケは、柄にリング状の隆起(不完全なつば)がなく、ひだと柄との境界がより不明瞭なことで異なっている。さらに、ツキヨタケ以外の3種では、かさの表皮に塩基性化合物の水溶液を滴下しても緑色にならないこと、柄の肉に黒紫色のしみを生じないことも識別の上で重要な性質である。 ムキタケとの手軽な識別法として、グアヤク脂のエタノール溶液(グアヤクチンキ)や硫酸バニリン溶液(純水3ccに濃硫酸8ccを加え、バニリン1gを溶かす)を用いる方法があり、ツキヨタケはこれら2種類の試薬に対してなんら呈色を示さないが、ムキタケではグアヤクチンキで青緑色、硫酸バニリンで赤紫色の変色が起こる。ただし、これらの呈色が菌体中のいかなる成分によるものかは、明らかにされていない。 これらの相違点に加え、シイタケ・ヒラタケ・ムキタケにおいては、それらの胞子はツキヨタケのそれに比べてずっと小さく、類球形を成すこともない。なお、山形県下の一部の地方では、茹でた後に塩蔵保存し、流水にさらしてから食用とする習慣があるが、マウスを用いた実験によれば、熱処理したのみでは便重量の減少や消化管内容物の輸送の促進(ヒトの中毒時の下痢症状を示唆する)などがみられるのに対し、塩蔵(沸騰水中で10分間熱した後、菌体を1分あたり500mlの流速にて流水中に48時間さらし、水切りをしてから重量比で1.5倍量の食塩を加え、室温下で5週間保存)してから水中に投じて48時間の塩抜きを行ったツキヨタケのメタノールエキスを与えた実験区ではこれらの所見がなく、解剖時の胃の膨満や出血、あるいは消化管内壁の潰瘍性糜爛などもみられなかったという。
※この「誤食されやすい食用キノコ」の解説は、「ツキヨタケ」の解説の一部です。
「誤食されやすい食用キノコ」を含む「ツキヨタケ」の記事については、「ツキヨタケ」の概要を参照ください。
- 誤食されやすい食用キノコのページへのリンク