蒸留法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 06:53 UTC 版)
水蒸気を利用した蒸留法 水蒸気を利用した蒸留法には、熱水蒸留法(英:hydrodistillation 水蒸留法、直接蒸留法、ハイドロ式蒸留法、らんびき式蒸留法、煮だし式蒸留法)、水蒸気蒸留法(英:steam distillation スチーム蒸留法、常圧水蒸気蒸留)、水拡散法、低温真空蒸留法(英:hydrodiffusion 減圧水蒸気蒸留法)などがある。水蒸気を利用した蒸留は古代から用いられた方法で、原理や作業も単純である。精油のほとんどが水蒸気で分離できることから広く利用された。熱水蒸留法では材料植物を水と混ぜて撹拌し、これを蒸留器(アランビック、らんびき)に入れて沸騰させる。植物を煮るため、エステルなどの化合物は分解される。熱水蒸留法は、ローズオットーの抽出などに用いられる。水蒸気蒸留法では、植物に下から蒸気を吹きかける。精油の製造で主に利用されるのはこの方法である。熱水蒸留法・水蒸気蒸留法では、精油成分を含む蒸気は蒸留器上部から伸びる水冷管で冷却し、精油と水蒸気は別の容器に集められる。精油は疎水性であるため、水と分離している。(詳細は「水蒸気蒸留」を参照。)水拡散法は水蒸気蒸留法とほとんど同じやり方だが、冷却水を節約するために、上記の吹き出し口が蒸留器の上部に、凝縮器への排出口が下部にある。これら蒸気を用いた方法は、100℃以上の熱がかかるので、熱により香りが変質する精油の採油方法としては適切でない。 真空低温蒸留法は近年開発された新しい方法で、植物内の浸透圧で遊離した油分を低温(70- 80℃)・低圧(0.1バール)で蒸留する。低い温度で蒸留できるため、従来の方法より良質の精油を得ることができる。 抽出時間が短いほど香りのよい精油が得られ、長くなるほどグレードは下がる。 これらの方法では、蒸留後の蒸留水に水溶性の芳香物質が微量に含まれており、芳香蒸留水(ハイドロゾル、フローラルウォーター)と呼ばれる。含有する精油成分は微量であり、芳香蒸留水の香りは精油とかなり異なる場合もある。バラ精油のように生産にコストがかかるものの場合、芳香蒸留水は蒸留装置に戻されたり、溶剤抽出法を使うなどして、水溶液中の精油も回収されることが多い。 高温乾留法(英:Dry/destructive distillation) 分解蒸留法、乾燥蒸留法、乾留とも。蒸溜装置の中に網を張って、その上に材料植物を載せ、乾燥した高温空気を下から通す方法。香りの成分が膨張して分離・蒸発し、容器上部の冷却管を通って冷却され、集められる。熱水蒸留法では精油成分に加水分解が起こるため、乾燥した状態のままで精油を抽出する方法として考案された。松根油の抽出などに利用される。(詳細は「乾留」を参照。) 分別蒸留法(英:Fractionation distillation) 分離蒸留法、部分蒸留法、分留とも。抽出された香気成分を、さらに細かく分離する方法。精油からテルペンを分離すること(精油の脱テルペン化)などに用いられる。(詳細は「蒸留」を参照。) 低温真空抽出法 21世紀に日本で開発された新しい抽出法で、溶剤や水を利用しない。真空ポンプでタンク内を減圧状態に保ち、マイクロ波で植物を加熱する。蒸発した植物中の有用成分を冷却凝縮器で液体に戻し、回収器で集める。有効成分を低温・短時間で抽出でき、有用成分の回収率・品質が高く、オール電化で操作も簡易である。ハイドロゾルの作成も可能である。
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蒸留法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/12 17:36 UTC 版)
ベースの蒸留酒と香味原料を混合、または水と香味原料を混合し、それを蒸留釜で蒸留して香味成分だけを残す方法。蒸留後、甘味料や着色料を加えることもある。濁りのない澄んだリキュールを作ることができ、高級なリキュールはこの方法で作られることが多い。ただし繊細な芳香を残したい場合や、ベリー類の果実のように加熱によって変質してしまう香味原料を使用する場合には向かないという欠点がある。
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