蒸留酒の製造原理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/14 05:09 UTC 版)
詳細は「蒸留」を参照 酵母によるアルコール発酵で作り出される醸造酒のアルコール度数は16%~20%が限界であり、これ以上の濃度では酵母自身が死滅してしまう。そのためこれ以上度数を上げるにはエタノールの濃縮が必要になるが、1気圧におけるエタノールの沸点は約78.325℃、水の沸点は約100℃と差があるので、単純に加熱濃縮した場合はエタノールの方が気化しやすく、逆に度数が下がってしまう。そこで蒸発したエタノールの方を集めて濃縮する蒸留を行う必要がある。 醸造酒を蒸留器で加熱すると、沸点の低いエタノールが水よりも盛んに気化してくる。この蒸気を集めて冷却することで液体に戻すと、元の醸造酒よりもエタノールが濃縮されているため、アルコール度数の高い酒になる。これが蒸留酒であり、気化せずに残った液体は蒸留残液と呼ばれる。 蒸留を繰り返すことでさらに高いアルコール度数を得ることが可能である。ただし、共沸という現象により、蒸留ではアルコール度数96%までしか度数を上げられない。 一般に、連続式蒸留器を用いた蒸留では、単式蒸留器を用いた蒸留を何度も繰り返すことに相当する蒸留を行うことが多い。蒸留を進ませると、エタノール以外の成分の除去も進み、原料や発酵副産物に由来する風味は薄くなる。癖を除くため、蒸留でアルコール濃度を高めた後に加水することもある。 蒸留酒は貯蔵によって香りが変化する。蒸留直後は飲用に適さない香りであることも多く、通常は一定期間貯蔵し熟成させる。熟成には金属容器や陶器が用いられることもあるが、熟成に木製の樽を用いて、木に由来する香りや色をつけることもある。
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