英国海外航空783便墜落事故とは? わかりやすく解説

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英国海外航空783便墜落事故

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/19 06:54 UTC 版)

英国海外航空 783便
事故機(G-ALYV)
出来事の概要
日付 1953年5月2日
概要 悪天候、パイロットエラー
現場 インドカルカッタ郊外
乗客数 37
乗員数 6
負傷者数 0
死者数 43(全員)
生存者数 0
機種 デ・ハビランドコメットMk.I
運用者 英国海外航空(BOAC)
機体記号 G-ALYV
出発地 カラン空港
第1経由地 ネータージー・スバース・チャンドラ・ボース国際空港
最終経由地 サフダージャング空港
目的地 ロンドン
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英国海外航空783便墜落事故(えいこくかいがいこうくう783びんついらくじこ)は、歴史上初めて発生した民間ジェット定期便の全損死亡事故(航空事故)である。

事故の概要

英国海外航空のコメットMk.I

1953年5月2日英国海外航空(BOAC)783便は、シンガポールよりロンドンへ向かうフライトプランの下、コメットMk.Iイギリスデハビランド製ジェット4発旅客機、機体記号G-ALYV)によって運航されていた。経由地であるインドカルカッタのダムダム空港をデリーへ向けて現地時間4時29分に離陸した。

離陸後、高度7,000フィート(2,133 m)付近を上昇中に強い雷雲に突入して機体が空中分解し炎上、カルカッタ北西約38 kmの西ベンガル地方ジャガロゴリ近郊へ墜落した。この事故で乗員6名乗客37名の合計43名全員が犠牲となった。この事故が商業路線に就航中のジェット旅客機としては世界初の航空事故となった。

事故原因

インド政府事故調査によれば、上昇中であった事故機が雷雲の中で下向き突風であるダウン・ドラフトに遭遇したものと推測された。この際の高度を維持しようとしたパイロット修正操作が過大であったため、機体エレベータ付根の支柱と主翼に設計限度を超える大きな荷重が加わったとされた。まず、水平尾翼(後縁がエレベータ)と主翼エンジン外側部分が脱落した。さらに、主翼の部品が垂直尾翼を直撃し破損させた上に主翼からは激しく出火して空中分解したとされた。

このようにパイロットの修正操作が過大となった原因として、コメット操縦系統が、操舵入力を油圧によって増大させる油圧式であったにもかかわらず、パイロットが従来の人力操舵によるレシプロ機と同様な操作をしたことが指摘された。結論として事故原因としては、悪天候が事故の主要な原因とされ、必要以上の操舵で機体を破壊したパイロットミスを誘発したとされた。

各論

一方で上記のような事故原因に対し、事故調査研究者の中には、事故機の燃料タンクに落雷があり、タンク内の気化した燃料に高圧電流が流れたため空中爆発したという説を唱えた者もいた。また、事故機となったコメットは後に与圧胴体に対する設計において、未知の欠陥があったため、巡航中に空中分解する事故があった。そのため、欠陥によって墜落した可能性も否定出来ないとされているが、いずれも確証を得ることが出来ず、この際機体にあった構造欠陥までは判明することはなかった。

参考文献

関連項目


英国海外航空783便墜落事故

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/14 03:34 UTC 版)

コメット連続墜落事故」の記事における「英国海外航空783便墜落事故」の解説

詳細は「英国海外航空783便墜落事故」を参照 1953年5月2日BOAC 783 便 Mk.I 8号機 G-ALYV はシンガポールからロンドンに向かう途中経由地のインド・カルカッタ(現コルカタ)のダムダム空港から次の経由地ニューデリー(現デリー)に向けて夕刻離陸した6分後の通信最後に強い雷突入して機体空中分解しカルカッタ北西約 38km の西ベンガル地方ジャガロゴリ近郊墜落した機体は 20km 四方散乱し残骸中には盗難遭って回収できなかったものもあった。乗員6名乗客37全員死亡したものと推定され商用路線就航中ジェット旅客機として初の有責死亡事故になったインド政府事故調査では、事故機は高度 10,000 ft (≒3,000 m) から上昇中にダウンバースト下向き突風)に遭遇し、この時、高度を維持しようとしたパイロット修正操作過大であったため、昇降舵取付部と、主翼想定超える捻り応力加わり最初に水平尾翼後縁昇降舵)と外翼部脱落し主翼から激しく出火して、更に主翼部品垂直尾翼直撃して破壊した、との推測立てられた。 操作過大誘因として油圧増力式の操縦桿が軽過ぎ、かつ反力が殆ど感じられないため、パイロット従来人力操舵機と同様の操作誤って行ってしまいやすいことが、パイロット労働組合から指摘された。それを抑止する人工感覚装置 ("Q-Feel" = artificial feeling device) の開発急がれたが、実用化は Mk.3 以降になった。 しかし、事故機の機長卓越した技量を持つベテランで、操縦過誤あり得ない、という立場から、事故機は積乱雲の中で被雷し、燃料タンク内の気化し燃料引火して空中爆発至ったのでは、という異説唱える専門家もあった。 結局原因断定されなかったが、このように当時悪天候説が有力で、コメット内在していた構造上の欠陥にまでは考えが及ばなかった。しかし現在では、下記連続空中分解事故一環として捉える見方一般的である。 連続事故スキャンダラス報道されたこともあって、「ジェット旅客機時期尚早」という世論が再び高まったため、デ・ハビランド社は同年1953年)のファーンボロー国際航空ショーにおける試作1号機引退飛行で、観衆頭上の超低空アクロバティックデモフライト敢行して、悪評打ち消し躍起となった

※この「英国海外航空783便墜落事故」の解説は、「コメット連続墜落事故」の解説の一部です。
「英国海外航空783便墜落事故」を含む「コメット連続墜落事故」の記事については、「コメット連続墜落事故」の概要を参照ください。

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