第3年とは? わかりやすく解説

第3年

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/21 08:04 UTC 版)

巡礼の年」の記事における「第3年」の解説

《第3年》(Troisième année, S.163)は1883年出版された。多くリスト挫折し精神的に憔悴しきっていた1877年作曲されており、1840年頃にほとんどの原曲があるこれまでの作品集とは40年ほどにもおよぶ隔たりがある。各曲には晩年リスト特徴である不協和音レチタティーヴォ風の単旋律使用宗教的禁欲的な雰囲気表れている。 リストはこの巻に《糸杉棕櫚》の題を与えよう考えていたことがあったが、糸杉は「喪(死)」、棕櫚は「殉教」の象徴とされている。音楽学者野本由紀夫は、リストがこれらの楽曲に「死と救済」の思い託しており、曲集のうち第2,3,5,6曲は哀歌(死)、第1,4,7曲は宗教による慰め性格を示すとしている。 アンジェラス守護天使への祈り Angélus! Prière aux anges gardiensアンジェラスとは朝・昼・夜に行うカトリックお告げ祈り、またはその時知らせる鐘のことで、冒頭聞こえ旋律がそれである。ダニエラ・フォン・ビューロー(ハンス・フォン・ビューローコージマの娘、リスト孫娘)に献呈エステ荘の糸杉にI:哀歌 Aux cyprès de la Villa d'Este I: Thrénodieエステ荘ローマほど近いティヴォリに建つ城館で、リストホーエンローエ枢機卿からその数室を貸し与えられていた。1877年にここを訪れたリストは、庭園糸杉の下で3日間を過ごしながら、「強迫観念駆られ枝葉歌いむせび泣く声を聞き、それを五線譜書き留めた」。糸杉は「喪」の象徴である。なお、この曲がマリー・ダグー伯爵夫人の死(1876年)を悼んだものだとする説は誤りである。 エステ荘の糸杉にII哀歌 Aux cyprès de la Villa d'Este II: Thrénodieミケランジェロ植えた伝えられていた糸杉印象から作曲されたが、後にそれが誤りであることが分かったため、リスト自身ミケランジェロの名を題名から外している。 エステ荘の噴水 Les jeux d'eaux à la Villa d'Esteリスト代表作一つ数えられ晩年の作品中ではとりわけ演奏機会が多い。巧みアルペジオ水の流れ描写し華麗な曲調晩年の作品の中では異例みなされることが多いが、他の作品同様に宗教的な要素含んでいる。ラヴェルの『水の戯れ』やドビュッシーの『水の反映』がこの曲に直接的に触発され作曲されたという点で、フランス印象主義音楽多大な影響を与えた作品とされる後年ブゾーニ聞いたところによると、この曲を聴いたドビュッシーはそのあまりに印象主義的響き顔色失ったという。曲の半ばに「私が差し出したは人の中で湧き出でる泉となり、永遠の生命となるであろう」というヨハネ福音書からの引用掲げられている。 ものみな涙あり/ハンガリー旋法Sunt lacrymae rerum/En mode hongrois「ものみな涙あり」はヴェルギリウス『アエネーイス』におけるトロイア陥落場面現れる一節である。この曲は元々は〈ハンガリー哀歌〉という曲名であったことから、トロイア陥落ハンガリー革命(1848-49年)の失敗重ね合わせて、国に殉じた者たちに捧げた哀歌考えられている。ハンス・フォン・ビューロー献呈葬送行進曲 Marche funèbre1867年に銃殺されメキシコ皇帝マクシミリアン1世追悼のための葬送音楽で、皇帝死後すぐに書かれている。 心を高めよ Sursum corda「心を高めよスルスム・コルダ)」はミサの序誦の一節から採られたものである。その名の通り終曲にふさわしい荘厳な曲になっている

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