科学者の社会学とは? わかりやすく解説

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科学者の社会学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 06:39 UTC 版)

科学社会学」の記事における「科学者の社会学」の解説

科学社会学創始者ロバート・Kマートンであるといわれるマートンアメリカ代表的な社会学者一人であり、主著社会理論社会構造』に見られるように、その研究対象多岐にわたっているが、彼の研究者としての出発点は、学位論文十七世紀英国における科学・技術社会」(1938年)に見られるように、科学についての歴史社会学研究にあった。『社会理論社会構造』においても4章構成のうち1章科学社会学研究当てている。 科学という営みは、科学知識生産し、それを応用して社会的技術的課題の解決努めたり、社会必要に応じて科学知識若い世代伝達したりしている科学者たち科学者集団(英語: scientific community)」によって担われている。また、この科学者集団また、一般社会によって支えられ影響与えられている。つまり、科学もまた一つ社会制度他ならない1930年代ハーバード大学大学院社会学研究始めたマートンは、科学史研究者ジョージ・サートン(英語: George Sarton)の指導をうけながら、科学認知的発展と、それを取りまく社会-文化構造との相互関係が、基本的な問題だとみなして前述学位論文執筆した。 しかし科学社会学研究1940年代から1950年代にかけて、アメリカ社会学界でも決し大きく花咲ことはなかった。これには,科学知識社会との相互作用主題とする研究は、学界を含むアメリカ社会では左傾的だとみなされる傾向があり、第二次大戦後の冷戦体制の中タブー視されていたという事情があった。 マートン科学社会学研究大きく方向転換し学位論文科学社会相互作用総合的に問題とする研究関心からシフトないし後退し自律的な社会システムとしての科学者集団内部構造・機能的な分析研究限定するようになったマートン科学社会学研究は、科学者集団してまた個人として律する規範構造 (normative structure of science) への分析向かっていった。マートンによれば科学という営みは、確証された知識増大という目標達成するのに相応しい独自のエートス倫理観)に支えられている。こうして現代科学知識発展普及の主要因として抽出されたのが、科学者たちの間に共有される普遍主義公有主義利害超越性・系統的懐疑主義」という4つ規律いわゆるマートン・ノルム英語版)」(後述)である。 こうしてこの時代科学社会学は、マートンこうした研究引き継いだ構造・機能主義的な科学社会学研究としては、例えWarren O. Hagstrom (ウォーレン・ハグストロム)『科学者集団 The Scientific Community』やNorman W. Storer (ノーマン・ストーラー)『科学社会システム The social system of science』があげられる。またデレク・プライス(英語: Derek J. de Solla Price)らによる数量的科学社会学も『リトルサイエンス・ビッグサイエンス』という顕著な成果生み出した。これは科学者の数、科学論文数などといった数量的指標でみた場合に、科学という営みは、17世紀以来一貫して指数関数的な増大傾向示してきたという事実を明らかにしたものである。 マートン研究受け継ぐこれらは、科学者報酬体系研究施設についての制度分析論文の間の引用分析などを主としながら科学理論内実そのものブラックボックス入れて取り扱わないという一線守り通したこのためこうした科学社会学研究総称して「科学者の社会学」と呼ぶことができる。これに対するのは、科学理論内実にまで踏み込み、むしろ科学知識社会との関係中心にすえた科学社会学となるだろう。次節紹介する科学知識の社会学(英語: Sociology of Scientific Knowledge):SSK はまさにそうしたものであった

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