科学者による不正行為
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 05:14 UTC 版)
詳細は「科学における不正行為」を参照 上記の構図の中で心理的に追い詰められた科学者の一部が起こす一連の病理的な行動はpublish or perish syndrome「発表するか死か 症候群」などと呼ばれることがある。 科学者の一部には、功を焦るあまりに不正行為を行う者がいる。不正行為の内容としては、実験データの改ざん・捏造、アイディアの盗用、論文の盗用、試料の窃盗、実験データ記録媒体の窃盗などがある。このような不正行為は、内容によっては科学界を揺るがす事件となったり、さらにはマスコミを通じて広く一般の人々にも知られることもある。 また論文の成立に何ら直接貢献していない者が、ただ研究室の責任者の立場にいるというだけで論文の共同執筆者として名を連ねるという不正行為がある。このように立場の強い者が陰に陽に政治的影響力を行使して名を連ねさせる場合もあれば、逆に論文執筆者側が、誰かから何らかの利益が供与されることを期待して共同執筆者として名を表示する機会を提供している場合もある。また同一グループ内の複数の科学者が共犯的に相互の論文の共同執筆者として名を連ね、互いの業績数を水増しするようなことも行われることがある。これらの共同執筆者に関わる不正行為は科学者の間ではその不正な性質を隠蔽する形でhonorary authorship「名誉のオーサーシップ」やgift authorship「ギフトオーサーシップ」などと呼ばれることがある、が名称は何であれ不正行為には変わりないというのが公的機関の公式見解である。 また、科学者が既得権益者となってしまった場合、新しい研究成果に照らして考えを変えることは特に困難である。これは別に法的な不正行為ではないが、結果として学界に不利になる。科学革命によれば、科学活動全般が進歩する中で、研究手法や科学全体の大前提が変わるというパラダイムシフトがしばしば起こる。そして、この大前提の変化は、たいてい若者や他分野の専門家によってもたらされる。このため、若手や他分野の専門家は特に有用であるはずだ。 例えば各省庁や関連の公的機関に対して提出する研究費申請書類に上記のような不正を利用し、それにより支給された研究費を使った場合などは、もはや科学という学問内部の規範の問題では済まず、公文書偽造および公金横領という重大な違法行為、明らかな犯罪行為であるので、そのようなことを行った者は逮捕・処罰される可能性がある。 最近の科学者による不正行為の例として、「ファン・ウソク」や「ヘンドリック・シェーン」、「小保方晴子」の項が参照可。
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