祭祀・お祭り・民俗宗教
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「政教分離原則」の記事における「祭祀・お祭り・民俗宗教」の解説
皇室の執り行う大嘗祭について。平成14年(2002年)7月に最高裁判示によると大分県の平松知事らが大嘗祭関連儀式に公人として参列し、日当などが公費から支出された件について、目的・効果基準から合憲判断を示し(7月9日)、同7月11日には鹿児島県の土屋知事らについての同様の訴えについても合憲判断を示した。 神社の例大祭について。東京都世田谷区は、神社の祭に区幹部職員が参加して公費で玉串の奉納をしていたことを「憲法の政教分離の原則に疑念を生じさせる、不適切な行為であった」と認め、職員から公費の自主返納があったことが平成28年7月29日の区議会で報告された。この件に関する住民監査請求の勧告措置 への対応として、宗教法人等が行う祭礼に職員が公費で参加する場合は、宗教的色彩のある式典への参加はしないことになった。 宗教法人が開催する節分会追儺式について。真言宗智山派の大本山である高尾山薬王院が開催する節分会追儺式 に東京都主税局職員が職務命令で参加して電子申告制度の広報活動と称して護摩祈祷 と大本堂での豆まき後に、薬王院参道で「平成27年度 節分会追儺式 年男年女 修行者」として「八王子都税事務所長」と掲示が一年間あり、その様子を都税事務所が写真付き印刷物にして庁内および他の事務所で回覧させた事案について、東京高等裁判所は、護摩祈祷の間は職員は座布団に座っていたので受動的参加であり、豆をまけば電子申告制度の広報になる、薬王院の追儺式参加者の大多数は芸能人目当てで信仰心のある信徒はいないから世俗行事である、等の理由により政教分離に違反しないと判示した。 文化財保護や地域の民俗史に関わる重要な有形・無形財産の保持にしばしば政教分離原則が関わった。地域の「お祭り」については戦後すぐから伝統的行事としての祭事に公金が一切支出されなくなり各地で混乱が発生した。GHQ統治時代に緑風会議員の議員立法により成立した「文化財保護法」では、国家神道体制を助長するような要素は極力排除された。1975年の改定による「民俗文化財」の創設について無形民俗資料とされたものの多くは神社に関わる祭礼行事であり戦後憲法の「政教分離」に抵触しかねないものばかりであった。文化庁は1999年4月から「伝統文化を生かした地域おこし」プロジェクトや1992年交付の「地域伝統芸能等を活用した行事の実施による観光及び特定地域商工業の振興に関する法律」などから地域振興策としての「お祭り」を見直す方向にかじを切り、2000年11月には「ふるさと文化再興事業」として約20億円の予算配分がされた。
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