祭祀と祭礼
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 05:33 UTC 版)
祭祀と祭礼に厳密な区分はなく、便宜的な区分である。 「まつり」は、超自然的存在への様式化された行為である。祈願、感謝、謝罪、崇敬、帰依、服従の意思を伝え、意義を確認するために行われた(祭祀の段階)。祭祀は定期的に行われるとは限らないが、年中行事や通過儀礼と関連して定期的に行われるものが多い。このことによって、「まつり」は、日常生活のサイクルと深く結びつき、民俗学でいう「ハレとケ」のサイクルのなかの「ハレ(非日常性)」の空間・時間を象徴するものとなった。社会的に見れば、共同体全体によって行われ、共同体統合の儀礼として機能した(祭礼の第一段階)。共同体が崩壊し、都市が出現すると、都市民の統合の儀礼としての機能を強め、宗教的意味は建前となり、山車の曳行や芸能の披露といった娯楽性が追求されるようになった。「まつり」を行う者と、「まつり」を鑑賞する者の分化が生じた(祭礼の第二段階)。大衆統合としての機能と娯楽性のさらなる追求の結果、元来の宗教的意味は、忘却され、あるいは機能を喪失し、世俗的な催事としての「まつり」が登場した。 例えば大相撲も本来は神道としての奉納の祭りであり、神事でもあるが、宗教への関心の薄れなどから、大相撲のように「神事や祭礼としての祭りである」ことが忘れられたり、祭祀に伴う賑やかな行事の方のみについて「祭」と認識される場合もあり、元から祭祀と関係なく行われる賑やかなイベントについて「祭」と呼ばれることもある。規模が大きく、地域を挙げて行われているような行事の全体を指して「祭」と呼ぶこともある。
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