目的、管掌等
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/29 14:41 UTC 版)
「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」の記事における「目的、管掌等」の解説
この法律は、法の下の平等を保障する日本国憲法の理念にのっとり雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を図るとともに、女性労働者の就業に関して妊娠中及び出産後の健康の確保を図る等の措置を推進することを目的とする(第1条)。この法律においては、労働者が性別により差別されることなく、また、女性労働者にあっては母性を尊重されつつ、充実した職業生活を営むことができるようにすることをその基本的理念とし、事業主並びに国及び地方公共団体は、この基本的理念に従って、労働者の職業生活の充実が図られるように努めなければならない(第2条)。 「法の下の平等を保障する日本国憲法の理念」とは、国民の国に対する権利として「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において差別されない」と規定した日本国憲法第14条の考え方をいい、同規定自体は私人間に直接適用されるものではないものの、その理念は一般的な平等原則として法の基礎となる考え方である。 「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を図る」には、企業の制度や方針における労働者に対する性別を理由とする差別を禁止することにより、制度上の均等を確保することのみならず、法第2章第3節に定める援助により実質的な均等の実現を図ることも含まれる。 「労働者」とは、雇用されて働く者をいい、求職者を含むものであること。 事業主の具体的義務の内容としては、法第2章に規定されているが、事業主は、それ以外の事項についても第2条の基本的理念に従い、労働者の職業生活の充実のために努力することが求められる(平成18年10月11日雇児発1011第2号)。 国及び地方公共団体は、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等について国民の関心と理解を深めるとともに、特に、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を妨げている諸要因の解消を図るため、必要な啓発活動を行うものとする(第3条)。厚生労働省では毎年6月を「男女雇用機会均等月間」と定め、職場において男女がともに能力を発揮できる社会の実現を目指して、男女雇用機会均等法等への社会一般の認識を深める機会としている。 厚生労働大臣は、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する施策の基本となるべき方針(男女雇用機会均等対策基本方針)を定めるものとされ(第4条1項)、現在、運営期間を2017年度からおおむね5年間とする「第3次男女雇用機会均等対策基本方針」が制定されている(平成29年厚生労働省告示第72号)。男女雇用機会均等対策基本方針は、男性労働者及び女性労働者のそれぞれの労働条件、意識及び就業の実態等を考慮して定められなければならず、厚生労働大臣は、男女雇用機会均等対策基本方針を定めるに当たっては、あらかじめ、労働政策審議会の意見を聴くほか、都道府県知事の意見を求めるものとする(第4条3項、4項)。 男女の雇用機会の均等については、本法が制定される以前から裁判所による政策形成によって「どのようなケースが男女の雇用機会均等に反するか」といった体系ができあがっていて、本法は、施行当時はこの裁判所が作り上げた体系を越える内容は盛り込まれなかった。例えば、裁判所は定年、解雇に対しては積極的に新たな判断基準を示していった一方で、採用などの男女間の差に対しては、特にアプローチをしていなかったが、本法も定年や解雇については男女間の差別を禁止する一方で、採用などで努力規定しか盛り込んでいない。
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