基礎となる考え方
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/27 14:51 UTC 版)
反「実質主義」 実質主義(実質課税の原則)とは経済的な意義・実質に即して税法解釈・課税要件事実認定を行い、租税負担の公平を図る原則。法律的実質主義に対応する呼び方として経済的実質主義とも言う。この原則の下では、税法解釈の場面では目的論的解釈、事実認定の場面では目的論的事実認定が用いられることになる。経済的思考に則し、表面上は租税公平主義・担税力負担と親和性が高い。 一方で、実質主義には租税法律主義を破壊する危険性が伴う。第一次世界大戦後のドイツ(ヴァイマル共和国)では実質主義に相当する経済的観測法が唱えられた。これはライヒ租税基本法4条に基づき、租税調整法1条3項(1934年)によって明文化された。さらにナチスが政権を獲得したことや第二次世界大戦の勃発で財源が必要となったこともあり、租税官庁に絶大な「自由」裁量が与えられることになる。 現在の租税法律主義には実質主義を抑え込むために、厳格な解釈の要請(文理解釈)、法的実質主義、私法関係準拠主義などの原則が存在する。 租税債務関係説 納税義務を法律要件(課税要件)の充足によって法律上当然に成立する法定債務として構成する考え方。租税法律関係は公法上の債権債務関係として性格づけられる。租税法律主義と結びつきが強い。 第二次世界大戦以前は、租税法律関係を権力関係として捉える考え方(租税権力関係説)のもと、租税法は行政法の一部(財務行政法)にとどまっていた。戦後は租税法律主義が貫徹されるに従い、租税法は租税債務関係説を理論的基礎として新たに体系化、行政法とは異なる独特で厳格な法治主義として独立・確立する。 租税債務関係説は租税法律主義において、課税要件明確主義・要件裁量否定論を要求し、納税義務の成立において税務官庁の形成的・裁量的判断余地を法理論上完全に排除している。課税要件の不確定法概念は裁判所の審査に服し、税務官庁の要件裁量余地は全く認められない。
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