発祥と語義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/29 19:32 UTC 版)
「童貞を殺す服」は、2015年(平成27年)7月上旬の頃から、Twitter上で話題になり始めたとみられている。当時は、ブランド「NO.S PROJECT(ノスプロジェクト)」の白いブラウスとハイウエストのスカートの組合せが「童貞を殺す服」の例として挙げられ、「美しい」「持ち上げ方が上手い」といった反応があった。女性の体形を強調する画像だったこともあり、女性の体形に夢に見がちな童貞の男性も刺激を受けて「大好きです」「これは殺される」など、共感の声も挙がった。 「童貞を殺す服」という言い回しがユーザーの心を捉える上に憶えやすいため、Twitter上では「大好き」「自分はこういう服のほうが好きだ」などの想いが交錯し、大きな話題となった。「童貞を殺す服」はハッシュタグにもなり、自分の思う「童貞を殺す服」の披露が続出し、ゴスロリやアニメのキャラクターの服装などの画像も投稿された結果、リツイートが1万件を超えることもあった。また、『Fate/stay night』や『艦隊これくしょん -艦これ-』といったゲームをもとにした画像も投稿された。中でも『艦これ』のキャラクター「電」のイラストは、ニコニコ静画に投稿されて以来、2日間で閲覧数が6万8000回以上に昇った。この当時の「童貞を殺す服」の概念は、フリル付きのブラウスとコルセットスカートのような服装、または白いブラウスと膨らみのあるスカートなど、清純なイメージの服と考えられている。 一方、Twitterでは「どうやって脱がすかわからない服だと思っていた」など、当時よりすでにユーザーごとの解釈の違いが存在していた。「脱がせる方法がわからない服」が当初の意味合いであったが、先述のようなTwitterの拡散に伴って「童貞が好む服」との意味合いが定着しつつある、とも分析されていた。 翌2016年(平成28年)6月に、めちゃコミックで「童貞を殺す服」が紹介された際には、その意味が「清楚な雰囲気と女性らしさを強調する服装」「清楚とセクシーを兼ね備えた服」と定義された。その例として、可愛らしさを残しつつも胸とくびれを強調するハイウエストコルセットタイプのスカート、清楚なブラウスとフリルを多用した可愛いスカート、清楚で上品な印象と大人の色気を兼ね備えたノースリーブニットなどが挙げられた。 同2016年7月、一迅社が書籍『童貞を殺す服の描き方』を刊行した。一迅社では、すでにこの言葉が様々なイメージを持って広がっていることを認めた上で、この書籍ではあえて「童貞を殺す服」の意味を「一見して構造を把握しにくいデザイン」「清楚ながらも体形を強調し、魅力的に見せる形状」「女性経験の少ない男性の脅威になる服装」と定義されており、代表例としてブラウスとスカートの組み合わせ、ワンピースが挙げられている。この定義は、「経験の少ない男性にとっては、服の構造の把握が困難で、特定状況下において脱がせるのに困難を極めるため、羞恥に耐えきれず死を覚悟する服」、「いざという場面で脱がせ方がわからないから死んでしまう」とも解釈されている。これに近い意見として、「童貞絵師には構造がわからなくて描けないから(童貞がばれて)死んでしまう」という解釈もある。 この一迅社の定義を機に、「そもそも『童貞を殺す服』とは何を指すのか」について、インターネット上で物議を醸した。「単純に『見た目が愛らしすぎて萌え死んでしまう』という意味ではないか」との指摘も出た。具体的には、先述のハイウエストスカートのほか、フリルを多用した白いブラウス、柔らかく膨らんだスカートなど、清純なイメージの服装などが挙げられ、ハイウエストでコルセットタイプのスカートが原点との説もある。ドワンゴのニコニコ大百科でも「チェリーボーイ(童貞)の心臓を打ち抜いてしまう服・ファッション」「女性の愛くるしさを感じさせる服装」と定義されており、フリル付きのブラウスやコルセットスカートが代表例に挙げられている。この他、「露出は抑えられているものの、エロティシズムと可愛らしさを両立させた服」「清楚感がありつつも、程良いエロティシズムも兼ね備えている服」などの解釈もある。 一迅社のように「脱がせにくい複雑な構成の服」、隠しボタンのあるブラウスや、ボタンが非常に多いワンピースのように「脱がせるのに困る服」が本来の意味だったという説もある一方で、「童貞なら確実に目を惹かれて惚れてしまう」というものが本来の解釈だったとの説もある。ブラウスやスカートなど、想定する服装の傾向については共通認識ができているが、明確な定義付けはされていないというのが実状と見られている。
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