瑕疵
瑕疵(かし)とは、物品や建物などに存在する欠陥や不具合を指す言葉である。瑕疵は、目に見えるものや機能的なものなど、さまざまな形で現れる。瑕疵があることで、物品や建物の価値が低下することが一般的である。
瑕疵には、主に以下のような種類がある。まず、「表面瑕疵」は、物品や建物の表面に現れる傷や汚れなどで、目に見える形で現れる瑕疵である。次に、「構造瑕疵」は、物品や建物の構造に問題があることを指す。これには、設計ミスや施工不良などが含まれる。また、「機能瑕疵」は、物品や建物が持つべき機能を十分に発揮できない状態を指す。これには、故障や性能不足などが含まれる。
瑕疵担保責任とは、売買契約において、売主が買主に対して瑕疵のない物品や建物を引き渡すことを保証する責任である。瑕疵があった場合、売主は買主に対して修繕や交換、返金などの対応を行う必要がある。ただし、売買契約において瑕疵担保責任を免責する条項が設けられている場合もある。
瑕疵の有無を判断する際には、専門家による検査や評価が行われることが一般的である。不動産取引においては、建物の状態を評価するために、建築士や土地家屋調査士などの専門家による建物診断が行われることが多い。また、中古車の取引においては、自動車整備士による点検や評価が行われることが一般的である。
瑕疵
別表記:傷
瑕疵とは「きず」(傷)のことであり、欠点、欠陥、不足、不具合、といった意味で用いられる語である。とりわけ法律上の概念として、取引や契約における不備、あるいは契約履行における落ち度、を指す用語として用いられる場合が多い。
「瑕疵」の語を構成する「瑕」と「疵」の2字は、どちらも「きず」を意味するである。「瑕」は玉(宝玉)に付いたキズを意味する字であり、「疵」は生体に付いた創傷やその痕などを指して用いられることが多い字である。つまり「瑕疵」の語は「製作」「把握」「火炎」などと同様に類義語を並列的に並べた構成の熟語である。ちなみに現代中国語でも「瑕疵」の語は「欠陥」「短所」「不具合」といった意味で一般的に用いられている。
「瑕疵」は商品などに付いた具体的(物理的)なキズを指すこともあれば、契約・権利・行為あるいは意思表示といった抽象的(概念的)な事柄の中に見出される不備・不完全性を指す意味で用いられることもある。
民法上の「瑕疵」は、たとえば2004年の東京地方裁判所の判例では、次のように述べられている。
《民法570条の「瑕疵」とは、売買の目的物が通常備えるべき性能等を備えていないことをいう[...]》(「判例時報」1909号55ページ、東京地方裁判所平成16年4月15日、独立行政法人国民生活センターの掲載からの引用 http://www.kokusen.go.jp/hanrei/data/200612.html )
つまり、商品やサービスに対し当然備わっているものとして要求できる品質を満たしていない状態は「瑕疵がある」と表現できる。なお民法570条の条文では「隠れた瑕疵」という言い方が用いられており、隠れた瑕疵があった場合は566条の規定(契約解除や損害賠償の請求)をを準用できるとしている。
法律上の用語としては「瑕疵担保責任」という用語も多く用いられる。瑕疵担保責任は、取引上、注意を払っていても容易には気づけないような瑕疵(隠れた瑕疵)が潜んでいた場合に、売り主の側が買い主に対して負わなければならない責任のことである。
住宅・不動産取引の分野では、瑕疵のある物件を「瑕疵物件」と呼ぶ。住宅の瑕疵は「物理的瑕疵」「法的瑕疵」「環境的瑕疵」および「心理的瑕疵」に大別される。物理的瑕疵は、雨漏りがあったり家が傾いでいたりする物件を指し、法的瑕疵は建築基準法や消防法などに抵触している物件を指す。環境的瑕疵は住宅を取り巻く環境に騒音や悪臭などの問題がある物件を指す。そして「心理的瑕疵」は大多数の一般人が忌避感・嫌悪感を抱くような事情のある物件を指す。いわゆる「事故物件」や「いわく付き物件」は、心理的瑕疵のある物件に該当する。
瑕疵と似た意味合いで用いられる語としては「過失」なども挙げられるが、過失は「予見して回避することが可能だったにもかかわらず注意を怠ったために回避できなかった」ことを指す語である。
瑕疵と同じ種類の言葉
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