現代における調査
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 08:35 UTC 版)
「フィニアス・ゲージ」の記事における「現代における調査」の解説
2008年末までに、それまでは知られていなかったゲージの公衆前での公演の広告が発見された。また彼がチリにいた時期の身体状態・精神状態の報告書、そこでの乗合馬車の御者としての日常業務とおぼしきものの記述、さらにより最近になってから二回目の大衆公演の広告が見つかった。この新しい情報は、環境にほとんど順応できないとハーロウが記述したようなゲージは、事故後の限られた期間のみ存在していただけであったということを示唆する。すなわち、ゲージは結局、負傷したにもかかわらず「どのように生きるかを考えついた」ということであり、その後の人生では以前に考えられていたよりもずっと機能的に動き、社会にもずっとうまく適応していたということである。 マクミランは、同様の負傷をしながら「誰か、また何かが、彼らの人生に、失われた社会的・個人的能力を学び直させるような十分な構造(ゲージの事例であれば、チリでの高度に構造化された雇用状態)を与えた」ような人々を引き合いに出し、この変化はゲージが時を経るにしたがい経験した「社会復帰」を表すものであると仮説を立てている。もしそのとおりなら、マクミランによれば 、理論的にありうる効果とともに、「現時点での確証に、治療が難しくて長期にわたっている症例でさえもリハビリの効果があるかもしれないということが付け加えられる」ということになる。しかし彼は、ゲージが医学的管理なしでそのような回復を達成できたのなら、「正式なリハビリテーションプログラムを行なっている人にとっての限度とは何か?」という疑問を呈している。 2009年には、ゲージのダゲレオタイプの肖像写真(左)が彼のものであると同定された。ゲージの姿かたちを写し取ったものとしては、1850年ごろに取られたライフマスク以外で初めて世に知られたものと言える。これには「姿は損ねられているがそれでも堂々としている」ゲージの姿が映っている。片眼を閉じ、傷痕ははっきり見え、「身だしなみは良く、自信ありげで堂々とすらしており」、例の鉄の棒を手にして、彫り込み(上述)のある部分が見えるようにしている。(この写真の持ち主は、長年の間これが銛を手にしたクジラ獲りの漁師を写したものだと考えていた。) この写真が真正であることは、肖像上で見えている彫り込みの写真をハーバード大学のウォーレン解剖学博物館にある実物の突き棒の彫り込みと重ねあわせて比較したり、また同様に、肖像画で映っている傷をライフマスクに保存されているものと照合したりして確認された。マクミランは、このダゲレオタイプの写真を、前述の社会復帰仮説と矛盾のないものとして引用している。疑問点をより深く理解するために、マクミランと共同研究者らはゲージの人生と行動に関するさらなる確証を精力的に探し求め、読者が注意を払っていてくれることを期待していくつかの種類の歴史的文書 - 例えば、ゲージが会ったかもしれないと調査で指摘されている医師たちの、またはゲージが行ったかもしれない場所にいた人たちの手紙や日記といったもの - を記載している。 2010年には、ゲージの2枚めの写真が同定された(記事冒頭を参照)。この新たな写真は、複製がゲージ家の少なくとも二つの異なる分家の所有物となっているが、スミソニアン協会から相談を受けたゲージの研究者によれば、2009年に同定されたダゲレオタイプと同じ題材を扱っている。
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