特別救助隊設置の法制化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/10 03:09 UTC 版)
「特別救助隊」の記事における「特別救助隊設置の法制化」の解説
白木屋火災の教訓から1933年に警視庁消防部(現在の東京消防庁)の神田消防署に主に火災現場での人命救助を重点とした専任救助隊が設置され、名古屋市消防局は1949年に本部直轄の救助部隊「局救助隊」(特別消防隊の前身)を設置、京都市消防局は1962年に専任救助分隊3隊を配置、大阪市消防局も1965年に人命救助を優先した消防特科隊を設置し、聖母の園養老院火災や金井ビル火災などの多数の死者がでた火災事故が相次いで発生したために1950年代から1965年にかけて主に火災現場での人命救助に重点を置いた救助隊が全国の消防本部にも創設され始めた。 1963年に横浜市消防局が救助研修を始め、1964年に人命救助の専門部隊として「消防特別救助隊」(通称:横浜レンジャー)を創設し、1966年に千葉市消防局は横浜市消防局に指導を受け特別救助隊を設置し、1969年に東京消防庁も麹町消防署永田町出張所に特別救助隊(通称:レスキュー隊、愛称:東京レスキュー)を創設し、それぞれ従来のように火災のみならずあらゆる災害での救助活動を行う目的の特別救助隊の運用を開始した。 1986年になると消防法の改正により『救助隊の編成、装備及び配置の基準を定める省令(昭和61年自治省令第22号)』が示された事により全国の消防に人命救助を専門とした救助隊と人口10万人以上の地域には救助隊よりもさらに高度な特別救助隊を設置する事が法制化された。 これを受けて全国の消防本部は、東京消防庁と横浜市消防局を参考に通称レスキュー隊とよばれ火災現場だけではなくあらゆる災害の人命救助にあたる救助隊・特別救助隊が創設された。 さらに総務省消防庁は、2006年4月1日に新潟県中越地震及びJR福知山線脱線事故などの経験と教訓、新潟県中越地震での東京消防庁の消防救助機動部隊(通称ハイパーレスキュー)の活躍(長岡市土砂崩れ現場での男児救出)から、全国的に高度な技術を持った救助隊の必要性を認識し、『救助隊の編成、装備及び配置の基準を定める省令(昭和61年自治省令第22号)』の一部を改正し、省令第5条、第6条で規定する「全国の中核市消防本部等に高度救助隊を、特別区が連合する消防(東京都)及び政令指定都市消防本部等に特別高度救助隊を設置した。これらの部隊は特別救助隊の中から特別な訓練を受けた高度な救出救助能力を持つ隊員を選抜して編成されている。 現在日本の消防救助隊は次の四段階構成になっている。なお、いずれ部隊も配置の基準を満たしていない自治体でも自主設置可能とされている。 区分救助資機材の基準車両の基準配置の基準隊員の構成救助隊救助活動に必要最低限の資機材 救助工作車又は他の消防車1台 人口が10万人未満の地域 人命救助の専門教育を受けた隊員5名以上で編成するように努める。いわゆる兼任救助隊。 特別救助隊救助隊よりプラスアルファの資機材 救助工作車1台 人口が10万人以上の地域 人命救助の専門教育を受けた隊員5名以上 高度救助隊高度救助資機材(電磁波人命探査装置、二酸化炭素探査装置、水中探査装置など一部の高度救助資機材は、地域の実情に応じて備える) 救助工作車1台 中核市もしくは消防庁長官が指定するそれと同等規模もしくは中核市を有しない県の代表都市を管轄する消防本部 人命救助の専門教育を受けかつ高度な教育を受けた隊員5名以上 特別高度救助隊高度救助資機材と地域の実情に応じてウォーターカッターと大型ブロアー 救助工作車1台と特殊災害対応車1台 政令指定都市および特別区が連合する消防(東京都) 人命救助の専門教育を受けかつ高度な教育を受けた隊員5名以上
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