潮招とは? わかりやすく解説

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しお‐まねき〔しほ‐〕【潮招/望潮】

読み方:しおまねき

《「しおまねぎ」とも》スナガニ科甲殻類甲幅27ミリほど。雄の一方のはさみ脚がきわめて大きく潮が引く上下動かして潮を招くような動作をする。和歌山県以南分布がん漬けとして賞味される。《 春》

潮招/望潮の画像
撮影おくやまひさし

潮招

読み方:シオマネキ(shiomaneki)

スナガニ科カニ

学名 Uca arcuata


潮招

読み方:シオマネキ(shiomaneki)

スナガニ科カニで、干潮の際のはさみを動かす姿が潮を招いているかのように見えるためこの名がある

季節

分類 動物


シオマネキ

(潮招 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/29 19:11 UTC 版)

シオマネキ
シオマネキ Tubuca arcuata, オス
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
亜門 : 甲殻亜門 Crustacea
: 軟甲綱 Malacostraca
亜綱 : 真軟甲亜綱 Eumalacostraca
上目 : ホンエビ上目 Eucarida
: 十脚目(エビ目) Decapoda
亜目 : 抱卵亜目(エビ亜目)
Pleocyemata
下目 : 短尾下目(カニ下目)
Brachyura
上科 : スナガニ上科 Ocypodoidea
: スナガニ科 Ocypodidae
亜科 : Gerasiminae
学名
Tubuca,Austruca, Gerasimus, Paraleptuca,・・・
和名
シオマネキ(潮招、望潮)
英名
Fiddler crab
本文参照

シオマネキ(潮招、望潮)は、エビ目(十脚目)・スナガニ科のうち、オスの片方の鋏脚(はさみ)が大きくなることで知られるカニの総称である。かつてシオマネキ属 Uca に分類されていたが、2010年代になって分類の見直しが行われて約10属に細分されている[1]

日本ではこの中の一種 Tubuca arcuata (De Haan1833) に「シオマネキ」の標準和名が充てられる。

特徴

横長の甲羅をもち、甲幅は20mmほどのものから40mmに達するものまで種類によって差がある。複眼がついた眼柄は長く、それを収める眼窩も発達する。地表にいるときは眼柄を立てて周囲を広く見渡す。歩脚はがっちりしていて逃げ足も速い。オスの片方の鋏脚とメスの両方の鋏脚は小さく、をすくうのに都合がよい構造をしている。

成体のオスは片方の鋏脚が甲羅と同じくらいまで大きくなるのが特徴で、極端な性的二形のためオスとメスは簡単に区別がつく。鋏脚は個体によって「利き腕」がちがい、右が大きい個体もいれば左が大きい個体もいる。生息地ではオス達が大きな鋏脚を振る「ウェービング(waving)」と呼ばれる求愛行動が見られる。和名「シオマネキ」は、この動作が「潮が早く満ちてくるように招いている」ように見えるためについたものである。英名 "Fiddler crab" の "Fiddler" はヴァイオリン奏者のことで、やはりこれもウェービングの様子を表した名前といえる。

中国では、古来から「招潮子」(潮を招くもの)の名称で知られており、『太平御覧』巻943引『嶺表録異』では、「招潮子、また蜞蟛の属にして、殻白色を帯ぶ。海畔の潮多きに、潮来るを欲すれば、皆坎を出でて螯を挙げて望むが如し。故に俗に招潮と呼ぶなり。」(招潮子は岩ガニの仲間であり、殻は白色を帯びている。海辺の潮間帯で、満潮が訪れようとする際、皆穴を出て鋏脚を挙げて満潮を待ち受けるようである。そのため俗に潮を招くものと呼ぶのである。)との記述がある。

熱帯亜熱帯地域の、河口付近の海岸穴を掘って生息する。種類ごとに好みの底質があり、干潟マングローブ砂浜・転石帯でそれぞれ異なる種類が生息する。巣穴は通常満潮線付近に多く、大潮の満潮時に巣穴が海面下になるかどうかという高さにある。潮が引くと海岸の地表に出てきて活動する。食物は砂泥中のプランクトンデトリタスで、鋏で砂泥をつまんで口に入れ、砂泥に含まれる餌を濾過摂食する。一方、天敵はサギシギカラスなどの鳥類や沿岸性の魚類である。敵を発見すると素早く巣穴に逃げこむ。

海岸の干拓埋立浚渫などで生息地が減少し、環境汚染などもあって分布域は各地で狭まっている。風変わりなカニだけに自然保護のシンボル的存在となることもある。

日本に分布する種類

日本産シオマネキ類は10種類ほどが知られるが、九州以北では西日本にシオマネキとハクセンシオマネキの2種類だけが分布する。南西諸島では多くの種類が見られる。

シオマネキ Tubuca arcuata (De Haan1833)
甲長(縦の長さ)20mm、甲幅(横の長さ)35mmに達し、日本産シオマネキ類の最大種。ハクセンシオマネキに比べて左右の眼柄が中央寄りで、甲は逆台形をしている。オスの大鋏表面には顆粒が密布し、色はくすんだ赤色だが、泥をかぶり易く色が判別しにくいこともある。
静岡県以西の本州太平洋岸、四国九州南西諸島朝鮮半島中国台湾の各地に生息地が点在する。泥質干潟のヨシ原付近・泥が固まった区域に生息するが、人間の活動が大きな脅威となり生息域が減少している。環境省2000年に発表した無脊椎動物レッドリストでは準絶滅危惧(NT)とされていたが、絶滅のおそれが増大したとの判断から2006年の改訂で絶滅危惧II類(VU)となった。
有明海沿岸地方ではタウッチョガネ、ガネツケガニ、マガニなどと呼ばれる。アリアケガニやヤマトオサガニなどと共に漁獲され、「がん漬」という塩辛で食用にされる。
ハクセンシオマネキ Austruca lactea lactea (De Haan1835)
甲幅18mmほどで、シオマネキよりだいぶ小さい。神奈川県以西の本州太平洋岸、四国、九州、朝鮮半島に分布し、河口付近の泥まじりの砂浜や転石海岸に生息する。オスのウェービングが白い扇子を振って踊るように見えるためこの和名がついた。環境省レッドリストではシオマネキと同じく準絶滅危惧から絶滅危惧II類に改訂されたが、21世紀初頭の時点ではシオマネキより生息地が多い。
亜種オキナワハクセンシオマネキ A. lactea perplexa (H. Milne Edwards1837) は、南西諸島からフィリピンバヌアツまで分布するが、独立した種 A. perplexa とすることもある。
ヒメシオマネキ Gelasimus vocans (Linnaeus1758)
甲幅20mmほど。オスの大きなはさみは上半分が白色、下半分が橙色をしている。オスの大鋏は噛みあわせに小さな歯があるが、闘争などで鋏が脱落すると噛み合わせに歯がない大鋏が再生する。南西諸島から台湾フィリピンパラオまで分布する。
ミナミヒメシオマネキ Gelasimus jocelynaeShih, Naruse and Ng, 2010
甲幅25mmほど。ヒメシオマネキに似てオスの大鋏の下半分は橙色。沖縄県のマングローブ付近に生息する。 
ベニシオマネキ Paraleptuca chlorophthalma crassipes (Adams et White, 1848)
甲幅25mmほど。和名通りオスの大鋏が鮮紅色をしている。甲羅もいが、ほぼ全面が赤い個体から全面が黒い個体まで個体差が大きい。脚は黒い。インド洋と西太平洋の熱帯域に広く分布し、日本では南西諸島に分布する。マングローブ地帯に生息する。
オガサワラベニシオマネキ Paraleptuca boninensisShih, Komai and Liu, 2013
甲幅25mmほど。オスの大鋏が鮮紅色をしている。小笠原諸島父島のマングローブ付近に生息する。
ルリマダラシオマネキ Gelasimus tetragonon (Herbst1790)
甲幅25mmほど。和名のとおり甲羅は鮮やかな水色で、青い小斑点が散在する。鋏脚はくすんだ橙色、脚は黒色や赤色。インド洋・西太平洋の熱帯域に分布し、日本では奄美大島以南の南西諸島に分布する。小石の多い砂浜海岸に生息するが、個体数は少ない。奄美大島では条例により採集が禁止されている。
ヤエヤマシオマネキ Tubuca dussumieri (A. Milne-Edwards, 1852)
甲幅25mmほど。オスの大鋏の下半分が赤いことが特徴。奄美大島以南のマングローブ付近に生息する。奄美大島では条例により採集が禁止されている。
リュウキュウシオマネキ Tubuca coarctata (A. Milne-Edwards, 1852)
甲幅25mmほど。ヤエヤマシオマネキに似る。奄美大島以南のマングローブ付近に生息する。奄美大島では条例により採集が禁止されている。
シモフリシオマネキ Austruca triangularis (A. Milne-Edwards, 1873)
甲幅15mmほど。甲羅は白っぽく黒い小さな水玉模様がある。脚は黒い。奄美大島以南のマングローブに生息する。

参考文献

外部リンク

脚注

  1. ^ Hsi-Te Shih et al 2016 Systematics of the family Ocypodidae Rafinesque, 1815 (Crustacea: Brachyura), Based on phylogenetic relationships, With a reorganization of subfamily rankings and a review of the taxonomic status of Uca Leach, 1814, Sensu lato and its subgenera. The Raffles Bulletin of Zoology 64:139-175





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