海面運河について過去の動きと提案
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/13 15:22 UTC 版)
「ソルトン湖」の記事における「海面運河について過去の動きと提案」の解説
ソルトン湖を救うための案が1955年以来評価されてきた。初期の概念には「パイプイン・パイプアウト」という案があり、カリフォルニア湾や太平洋から塩分濃度の低い海水を運び入れ、湖の塩分濃度の高い水を外に排出することだった。塩田として機能する蒸発池や、淡水湖と塩水湖に分離する大型ダムの建設という案もあった。他にもカリフォルニア湾から海面の高さの運河を引くという案もあった。ソルトン湖は海抜マイナス200フィート (-60 m) にあり、海面運河であれば大量の塩分濃度の低い海水を導くことができ、費用の高いポンプやパイプラインの必要性が無くなるものだった。この運河を大きなものにすればレクリエーション用途や大型の外洋船の航行も可能だった。海面運河には2つの目的があった。南カリフォルニアに内陸港を造ること、およびメキシコとアメリカ合衆国の大衆と野生生物にとってレクリエーションと環境に優しい資産を造ることだった。海面運河では湖の水面を予測可能な方法で制御する道筋も与えそうだった。しかし、塩分を外に出す方法が無ければ、塩分濃度は永久に上がり続けるのも事実だった。 1990年代にアメリカ合衆国下院議員の故ソニー・ボノ(英語: Sonny_Bono)によって湖への関心が高められた。その未亡人メアリー・ボノ・マックがボノの死去によって生じた空席を引継ぎ、レッドランズ選出の下院議員ジェリー・ルイスと共にソルトン湖に対する関心を喚起し続けている。1998年、ソニー・ボノ・ソルトン湖修復プロジェクトが始められた。 1990年代後半、地元の共同機関であるソルトン湖オーソリティとアメリカ合衆国土地改良局がソルトン湖を救うための案の評価と作成を始めた。起草された環境影響報告書と環境影響表明書は代案の中の優先案を示さないままに2000年に公衆の閲覧に供された。その時以来、ソルトン湖オーソリティが優先案を作成してきており、それには湖の北部と南部および西端にそって淡水湖を生むための水を湛える大型のダムを建設することが記されている。この計画は生態系の需要に応えられなかったことや、その計画を無効にする可能性のある断層があるという土木工学的な懸念のために、批判に曝されている。 ソルトン湖オーソリティが発表した優先案に対する批判には次のようなものがある。 厚さ200フィート (60 m) の堆積層があり、その上に石組みの構造を置くには耐えられないという土木上の欠陥 大型地震が近くのサンアンドレアス断層を襲った場合の地質的問題(サンアンドレアス断層は堤の東端から幾らも離れていない) 南側池から水が抜けて、柔らかい堆積層に北側池の水圧が掛かったときの物理的破壊の問題 大量のアルカリ分が地域に拡がり、南部盆地の穀物を壊滅させる可能性と、乾燥した塩分堆積物が露出して作物に被害を与え、人の呼吸器系の問題を増加させること 他にも多くの案が提案されてきた。塩水を外に出す手段としてメキシコのラグナサラダの湿地にパイプラインを引く方法や、アクアジェネシス社がカリフォルニア湾から海水を引き、地熱を利用して塩分を抜き、計画実現のためにその水を販売することなどである。この計画では全長20マイル (30 km) のパイプラインとトンネルを建設し、海岸部の水需要が増加しているので、南部海岸の都市に毎年100万エーカー・フィート (1.2 km3) の水を供給することになっている。
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