波浪・潮位に関する用語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/26 14:47 UTC 版)
波浪に関する用語用語区分説明波浪 海洋表面の波動のうち、風によって発生した周期が1~30秒程度のもの。風浪とうねりからなる。 備考 a) 音声伝達では「波」を用いる。b) 注意報、警報の名称に用いる。 波 「波浪」と同じ 用例 波が高くなる。波がおさまる。多少波がある。 しけ 強風のため海上が荒れること。 風浪 その場所で吹いている風によって生じた波で、個々の波は不規則で尖っている。発達した風浪ほど波高が大きく、波長や周期は長い。 うねり 遠くの台風などにより作られた波が伝わってきたもので、滑らかな波面を持ち、波長の長い規則的な波。 備考 a) 予報の対象となる波浪は「うねり」と風による「風浪」の重なったものである。b) 強い風がおさまるとともに、「風浪」はなくなるが「うねり」のみが残ることがある。c) 波長が100m以上、周期が8秒以上のものが多い。 波長 波の山(または谷)から次の波の山(または谷)までの長さ。 周期 波の山(または谷)が来てから次の波の山(または谷)が来るまでの時間。 波高 波の山から谷までの高さ。 備考 音声伝達では「波の高さ」を用いる。波の高さの表現は波浪表による。 波高1.5m 備考 音声伝達では「波の高さは1メートル50センチ(メートル)」を用いる。 有義波高 ある地点で一定時間(例えば20分間)に観測される波のうち、高いほうから順に1/3の個数までの波について平均した波高。これは目視観測による波高に近いと言われている。 備考 波の高さの予報は「有義波高」を対象とする。 最大波高 ある地点で一定時間(例えば20分間)に観測される波のうち最大のもの。 備考 統計的には、観測される波のうち「1000に1」の割合で有義波高の2倍近い波が出現すると言われている。 高波 波浪注意報・警報の対象になる程度の高い波。 船舶 「船」と同義。 洋上 → 海上。 潮位に関する用語用語区分説明潮位 基準面から計った海面の高さで、波浪など短周期の変動を平滑除去したもの。防災気象情報における潮位は「標高」で表す。「標高」の基準面として東京湾平均海面(TP)を用いるが、島嶼部など一部では国土地理院による高さの基準面あるいはMSL(平均潮位)等を用いる。 高潮 主に台風など強い気象じょう乱に伴う気圧降下による海面の吸い上げ効果と風による海水の吹き寄せ効果のため、海面が異常に上昇する現象。 吹き寄せ(効果) 海岸に向かって吹く風によって、海水が沿岸に吹き寄せられて潮位が高くなること。 吸い上げ(効果) 台風など強い気象じょう乱に伴う気圧降下によって、海水が吸い上げられて潮位が高くなること。 異常潮位 潮位が比較的長期間(1週間から3か月程度)継続して平常より高く(もしくは低く)なる現象。府県より広い範囲に及ぶことが多く、原因として暖水渦の接近、黒潮の蛇行等があげられるが、様々である。 副振動 日々くり返す満潮・干潮の潮位変化を主振動としてそれ以外の潮位の振動に対して名づけられたものであり、湾・海峡や港湾など陸や堤防に囲まれた海域等で観測される、周期数分から数10 分程度の海面の昇降現象をいう。主な発生原因は、台風、低気圧等の気象じょう乱に起因する海洋のじょう乱や津波などが長波となって沿岸域に伝わり、湾内等に入ることにより引き起こされる強制振動である。強制振動の周期が湾等の固有周期に近いものであれば、共鳴を起こして潮位の変化が著しく大きくなる場合がある。 満潮 主として月と太陽の起潮力によって潮位が極大となった状態。多くの海岸で1日2回ずつ現れる。 干潮 主として月と太陽の起潮力によって潮位が極小となった状態。多くの海岸で1日2回ずつ現れる。 大潮 朔(新月)及び望(満月)の頃、満潮と干潮の潮位の差が大きくなった状態。 既往最高潮位 各検潮所で、潮位の観測開始から現在までの期間に記録された最高の潮位。 → 過去最高潮位 過去最高潮位 各検潮所で、潮位の観測開始から現在までの期間に記録された最高の潮位。 潮位偏差 天体の動きから算出した天文潮(推算潮位)と気象などの影響を受けた実際の潮位との差(ずれ)。 潮位の観測基準面(DL) 各検潮所毎に設定された潮位を観測する基準面。通常、観測値が負にならないように設定する。Datum Line 東京湾平均海面(TP) 標高(海抜高度)の基準面。水準測量で使用する日本水準原点はTP上24.3900m と定義されている。Tokyo Peil 平均海面水位(MSL) ある一定期間の海面水位の平均値。一定期間として1年や5年が用いられることが多い。Mean Sea Level 暖水渦 周囲より水温が高く、北半球(南半球)で時計回り(反時計回り)の循環をもつ渦を暖水渦と呼ぶ。暖水渦の中心では、水位が周囲に比べて高いという特徴がある。 冷水渦 周囲より水温が低く、北半球(南半球)で反時計回り(時計回り)の循環をもつ渦を冷水渦と呼ぶ。冷水渦の中心では、水位が周囲に比べて低いという特徴がある。
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