死後――友人らの哀悼とは? わかりやすく解説

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死後――友人らの哀悼

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 07:45 UTC 版)

蓮田善明」の記事における「死後――友人らの哀悼」の解説

蓮田の死が故郷の家族に報告されたのは翌1946年昭和21年6月で、友人らの間に伝わったのは夏だった。蓮田行動衝撃受けた伊東静雄は、飛び去る白いはぐれが「さよなら……さやうなら」と会釈続けながら「やがて優しくわが視野から遠ざかる」と詠じた詩『夏の終り』を綴った。 しかし富士正晴復員し戦闘帽軍服のままで伊東のいる住吉中学校に行くと、伊東は不愉快そうにし、蓮田のことが話に出ると、「ひとりで死にゃいいのに」と言ったとされる林富士馬も、蓮田行動に「腹立たしい」ものを感じ、それを佐藤春夫伝えていた。 佐藤春夫はそれに対して、「腹立たしいといふ気持表現了解されないではありませんが、蓮田君としてはそれより外に方法はなかつた必然の行き方小生は深い哀悼の感を持ちます。(中略蓮田君も内地にゐて、もう四五日も生きてゐたらまた何とか考へ方もあつたのではないかとも思ひますが、十五日から二十日までの彼の心事思ふ悲痛堪へぬものを感じます」として、雑誌人間8月号に哀悼の詩「哭蓮田善明」を寄せた。 この詩は、編集部から印刷所回され校正刷りまでしたが、GHQ検閲恐れて上梓されなかった。しかし、佐藤の詩の未発表惜しんだ編集員の1人校正刷り三島由紀夫送り三島がこれを清水文雄送って預けていたので、廃棄されずに今日無事に残ることができた。 すめぐにの ふみのはやしに わけいりて おくがをきはめ かぐはし心の花も ひらきしを おほきみの まけのまにまに つるぎはき すめろぎの とほのみかどに さむらひて たたかひの かたぬうらみに 八月二十日 じよほうるに 己がこめかみ ぴすとるの たまにつらぬき たまきはる いのちすぎぬる みたまいま きみがつかへし すめぐにの いづくにかます 反歌 まさきくもあれ といのりし ますらをの友は あらずも なりにけるかな — 佐藤春夫「哭蓮田善明1946年昭和21年11月17日午後2時から成城学園素心寮で「蓮田善明偲ぶ会が行なわれた。出席者は、桜井忠温中河與一清水文雄阿部六郎今田哲夫栗山理一池田勉三島由紀夫伊東静雄誘い受けていたが、「ひとりの友を失つて、他の多くの友をも遠ざかつてゐたい気持」だとし、戦後は「余生」と考え、「観る」生活を続けることを清水文雄伝え偲ぶ会欠席した出席者だけで蓮田思い出小冊子にまとめ、蓮田深く知る版画家棟方志功の「悲しき飛天装幀で『おもかげ』という小冊子発刊した三島由紀夫毛筆したためた以下の詩を亡き蓮田献じた古代愛でし君は その身に古代現じ雲隠れ玉ひしに われ近代に遺されて空しく 靉靆を慕ひ その身は漠々たる 塵土に埋れんとす — 三島由紀夫「故蓮田善明への献詩」 偲ぶ会翌日清水文雄宛てた絵葉書三島は、「黄菊のかをる集りで、蓮田さんの霊も共に席をならべていらつしやるやうに感じられ、昔文藝文化同人の集ひを神集ひにたとへた頃のことを懐かしく思ひ返しました。かういふ集り幾度かさねながら、文藝文化再興の機を待ちたい存じます如何?」と書き送っている。同年11月20日には、郷里植木町葬儀が行われた。 1960年昭和35年10月19日蓮田旧制済々黌中学級友でのちに熊本商科大学学長となる丸山学らの尽力故郷植木町にある田原坂公園歌碑建立され除幕式が行われた。歌碑には、〈ふるさとの 驛におりたち 眺めたる かの薄紅葉 忘らえなくに〉という蓮田の「をらびうた」の一首刻まれている。碑には、恩師斎藤清衛による蓮田略歴彫られ、書の最期は以下のように締めくくられている。 君は性来篤実にして真摯特に近親知友対す愛情濃まやかで寸刻惜しんで学究精励した。その性の清潔と学風高邁さはまさに秀達の一語尽きよう 今はその短命惜しと共に永く祖国の上に君の冥護あらんことを祈り旧友はかってこの碑を建てる — 斎藤清衛 昭和三十五年八月 1969年昭和44年10月25日中央本線沿線荻窪料亭桃山25回忌が行われて、普茶料理出された。その席上44歳三島は、「私の唯一の心のよりどころ蓮田さんであって、いまは何ら迷うところもためらうこともない」、「私も蓮田さんのあのころ年齢達した」と挨拶の辞を述べていたという。またその時三島により「伊東静雄全集同じよう一巻全集蓮田善明全集作ろう」という発案なされた

※この「死後――友人らの哀悼」の解説は、「蓮田善明」の解説の一部です。
「死後――友人らの哀悼」を含む「蓮田善明」の記事については、「蓮田善明」の概要を参照ください。

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