横軸ツインレバー型マスコン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/24 07:00 UTC 版)
「マスター・コントローラー」の記事における「横軸ツインレバー型マスコン」の解説
マスコン・ブレーキともに横軸としつつも、それぞれ独立して操作する形式である。 日本での導入は電車に先んじて国鉄キハ181系が嚆矢となった。キハ181系ではブレーキがダイヤフラム式のCLE電磁自動空気ブレーキとなったことに加え、他系列との併結を考えない形式であったため運転台用のブレーキ弁をコンパクトにできたことで実現した。しかし、キハ181系自体が国鉄形式としては少数に終わった他、同じ系統のブレーキ弁を装備する201系では101系・103系との混用の為、習熟の問題もありすぐには普及しなかった。 国鉄分割民営化の後、運転台に自動ブレーキ弁を設置する電車がほぼ皆無になり、さらに気動車までもが電気指令式ブレーキを採用するようになったため、ブレーキについても縦軸配置の意味が薄れた。一方でワンハンドルマスコンでは細やかな制御がしづらいことを嫌う事業者に普及することになった。 レバーの形状はデスクの横から伸びるL字形か、デスクの上下に伸びるT字形で、拳を横にして握る方式がほとんどである。変わった例としては、ハンドル形状が三度も変わった京阪3000系 (初代)で、2番目(ブレーキが全電気指令ブレーキに変わってから、8000系登場後ワンハンドルに更新されるまで)に採用されていた形状では、左のマスコンがT字形で手のひらにより上から押し込み、右のブレーキがI字形で手の甲を右側に向けて握った。 関西圏の各社線では、ブレーキ弁とマスコンを同時に操作して出発時の衝動を軽減するスキルが常用される例が多いことからこのマスコンを採用することが比較的多く、JR西日本221系以降の電車各形式や、私鉄では1990年代以降の新造車両(阪急電鉄・阪神ジェットカーを除く)、地下鉄ではOsaka Metro(堺筋線用の66系・千日前線用25系更新車・30000系2018年度増備車を除く)や京都市、神戸市(海岸線の5000系を除く)、関西以外ではJR四国(JR西日本223系5000番台と共通設計である5000系電車および2000系・1500形・2600系などの各気動車)や第三セクター鉄道の気動車、名古屋市営地下鉄の初期のVVVF制御車で採用例がある。関東の鉄道車両では新京成8800形、箱根登山鉄道1000形以降の新造車両がツインレバー型を採用している。かつては営団01系・02系や横浜市営地下鉄1000形・2000形、3000形(1次車のみ、ワンマン装置取り付け前)がツインレバー型を採用していた。新幹線電車ではJR西日本が開発した500系が唯一この形態を採っている。 近鉄26000系は横軸ツインレバー型マスコンであるが、他の横軸ツインレバー型マスコンはブレーキ装置が電気指令式ブレーキであるのに対し、この系列のみ電磁直通ブレーキになっている。ただし、操作方法は他の電気指令式ブレーキ車両と同じく、ブレーキハンドルにノッチが刻まれており、「7段の電磁直通ブレーキ」という扱いとなっている。 また更に後年に入ると、自動ブレーキを必須とする機関車においてもブレーキ弁の冶金技術高度化による更なる小型化や制御システムの統合電子制御化による間接化で、横軸ブレーキレバーの採用が可能となった。EF200形・EF500形を皮切りとしたJR貨物のVVVFインバータ制御の機関車はこの形態を採っている。
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