自動ブレーキ弁
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/16 07:55 UTC 版)
機関車において自動ブレーキを制御するためには、運転席にある自動ブレーキ弁(自弁)を使用する。自弁には「緩め」「運転」「保ち」「抜取」「重なり」「常用ブレーキ」「非常ブレーキ」の各位置があり、運転士がこの位置を変えることでブレーキを取り扱う。 自動ブレーキ弁の代表例としては機関車用のK14・KE14と電車用のM23・M24の2系列が挙げられる。 これらはいずれもオリジナルはWABCOの設計であり、日本ではライセンス供与先である三菱電機と日本エヤーブレーキ(現・ナブテスコの前身)の2社によって大量に供給された。 ブレーキ弁の操作位置は以下の7位置がある。 緩め 元空気溜の圧縮空気(主に890kPa≒9kgf/cm2)を直接ブレーキ管および釣り合い空気溜に込める位置である。列車のブレーキを急速に緩める時やブレーキ管の貫通確認に使用する。 運転 ブレーキ管および釣り合い空気溜に圧縮空気 (490kPa≒5kgf/cm2) を込める位置である。運転中は常にこの位置に自弁を置き、被牽引車両に圧縮空気を込めている。機関車のブレーキが緩むのは自弁が「運転」位置であることに加え、単弁(単独ブレーキ弁)も「運転」位置であることが必要である。 保ち 機関車のブレーキを保ったままブレーキ管に圧縮空気を込めて被牽引車両のブレーキを緩める位置である。下り坂において機関車のブレーキを残して速度を抑えながら走行する時や、ブレーキ緩解時の衝動を無くすために使用される。 抜取(ぬきとり) ブレーキハンドルを着脱するための位置である。車輛によっては重なり位置を抜取位置と共用するものもある。 重なり ブレーキ管の圧力を保持するための位置である。ブレーキ管の減圧も増圧も行わない。「常用ブレーキ」位置により減圧後、この位置に置く。車両間のブレーキ管のつなぎ目からわずかに空気がもれるため、実際には少しずつブレーキが強くなる。これを防ぐ為の方法として補給制動がある。 常用ブレーキ ブレーキ管の空気を大気中に排出して管内圧力を低下させ、被牽引車両にブレーキを作用させる位置である。この位置に置く時間によって減圧量、すなわちブレーキ力が変わってくる。 非常ブレーキ ブレーキ管の圧力を急激に大気へ排出することで、被牽引車両に非常ブレーキを作用させる位置である。直ちに停止しなければならない状況が発生した時に使用する。M三動弁やA動作弁などの場合は、通常の補助空気溜からの空気圧供給に加え、付加空気溜に蓄えられた空気圧をバイパス弁経由でブレーキシリンダーに送り込むことで常用ブレーキよりも大きな力でブレーキを動作させるようになっている。ブレーキ管圧力を一気に放出するため「シャーッ」という大きな音がする。当然ながら常用ブレーキ使用時に比べてブレーキ管の内圧は大きく降下するため、緩解のための加圧には非常に時間がかかる。
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