自動ピアノの為の習作
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/03 08:37 UTC 版)
「コンロン・ナンカロウ」の記事における「自動ピアノの為の習作」の解説
当初の作品は、バルトークの配分法やジャズやブルースの影響が露になったままで、単純にスピードを上げて捲くし立てる作品しかなかったが、次第に一本の線の極端な比率によるカノンの追求へ至る。プリペアード自動ピアノの経験から、彼は自宅の自動ピアノのハンマーに金具のようなものを埋め込んでおり、そのピアノで録音されたものがWERGOによるリリースである。しかし、ユルゲン・ホッカーは普通のベーゼンドルファー・アンピコで全曲の録音をすることを計画し、ナンカロウの許可が下りて実現された。MD+Gからのリリースやヨーロッパ初演の演奏は全てこれによる。 作品後期は、声部が全ての可聴域を完全に埋め尽くし、巨大な音像を示す類も多くその時期がナンカロウの全盛期と思われている。無理数比のカノンも実現させた時点で、彼は世界で初めて「五線譜に書けないリズム」を改造とはいえ生楽器のために達成した。二台のピアノ同士のカノン、つまり「ネイピア数/円周率によるメタ・カノン」すら実行した。多くの作品で、計算尺で測ってプロポーショナル・ノーテーション上の該当地点に音符を記す独特な記譜法を使用している。譜面の印象は簡素でも、すべての声部に異なった比率を持つため、音楽的密度は非常に濃縮された印象を与えている。 最後の習作は51番だが、本人のつけたタイトルは3750番で、これは多くの習作をゴミ箱行きにしたという意味である。
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