栄養と健康への効果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/26 02:40 UTC 版)
ミルクの成分構成は、動物の種によって大きく異なる。例えばタンパク質の種類や、タンパク・脂肪・糖質の割合、ビタミンやミネラルの比率、乳脂肪滴の大きさ、カードの濃度など、違いは様々な要因において見られる。例えば、 人間の乳の平均的組成は、タンパク質1.1%、脂質3.5%、糖質7.2%、ミネラル0.2%。100グラム当り65kカロリー。この成分構成は馬乳も近い。糖質含有比は哺乳動物中で最も高く、これは脳の発達速度の早さに関係する。 牛乳の平均的組成は、タンパク質3.3%、脂質3.8%、糖質4.8%、ミネラル0.7%。100グラム当り67kカロリー。牛乳の成分含有量は、哺乳類の乳の中で中間的な値を取る。人間の乳よりもタンパク質やミネラルに富む理由は、ウシの成長速度が人間よりも早いためである。 ロバやウマの乳は含有脂肪分が低く、逆に鰭脚類やクジラの乳は高脂肪で含有率は50%を越える。 乳糖の割合は、カンガルーで7.6%、ネコで4.8%、イヌで3.1%、クジラで1.3%、ウサギで0.9%などバラツキが見られる。 ミルクの成分分析(100g当り。成分単位ウシヤギヒツジ水牛水分 g 87.8 88.9 83.0 81.1 タンパク質 g 3.2 3.1 5.4 4.5 脂肪 g 3.9 3.5 6.0 8.0 炭水化物 g 4.8 4.4 5.1 4.9 カロリー kcal 66 60 95 110 エネルギー kJ 275 253 396 463 糖質(乳糖) g 4.8 4.4 5.1 4.9 コレステロール mg 14 10 11 8 カルシウム mg 120 100 170 195 飽和脂肪酸 g 2.4 2.3 3.8 4.2 モノ不飽和脂肪酸 g 1.1 0.8 1.5 1.7 ポリ不飽和脂肪酸 g 0.1 0.1 0.3 0.2 このような成分構成は、種、個体、授乳期のどのタイミングかによっても変わる。以下、乳牛の種による差異を示す。 ミルク中の脂肪含有比乳牛の種%(近似値)ジャージー種 5.2 コブウシ 4.7 ブラウン・スイス種 4.0 ホルスタイン種 3.6 これら4種の牛乳に含まれるタンパク質は3.3-3.9%、ラクトースは4.7-4.9%である。 ミルクの脂肪率は、酪農家が家畜に与える飼料の構成によっても左右される。また、乳腺炎に感染するとミルクの脂肪含有率は低下する。 飲用したミルクから人体が吸収するカルシウムの量に関しては、さまざまな見解がある。乳製品から得られるカルシウムは、ホウレンソウのような高いカルシウム-キレート物質を持つ野菜よりも、生物学的利用能が高い。その一方で、ケールやブロッコリーなどシュウ酸塩をあまり含まないアブラナ属の野菜と比較すると、得られるカルシウムの生物学的利用能は同等以下である。
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