東京都による購入計画
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「尖閣諸島国有化」の記事における「東京都による購入計画」の解説
「東京都尖閣諸島寄附金」も参照 2008年12月8日、中華人民共和国は海洋調査船「海監46号、海監51号」2隻を、沖縄県・尖閣諸島の日本領海内に侵入させた(尖閣諸島中国船領海侵犯事件)。そして2010年9月7日の尖閣諸島中国漁船衝突事件(以下、漁船衝突事件)以降は、ほぼ毎月の頻度で、農業部漁業局(BOF)の「漁政」や国務院国家海洋局(SOA)海監総隊の「海監」などの公船を尖閣周辺海域に派遣したり、領海侵犯を繰り返し、尖閣諸島の日本の有効支配を打破するための攻勢を強めていた。それらの動きを受け、2012年4月16日(日本時間17日未明)、当時の都知事石原慎太郎はワシントンのヘリテージ財団主催のシンポジウムで行った講演で、尖閣諸島を地権関係者から買い取る方向で基本合意したことを明らかにした。購入の動機については、島に港湾施設などを整備して日本の有効支配を確たるものにするためとした。 地権関係者は埼玉県さいたま市在住 で、1970年代から所有者となっていた。石油関連企業や政治家から売却の話が持ち込まれていたが、全て断っていた。 石原、地権関係者、地権関係者と30年来の友人である山東昭子参院議員の仲介により半年にわたる三者の極秘交渉の末、「個人で所有するには限界がある」「政府に買い上げてもらいたいが、今の政府は信用できない」などと感じた地権関係者が都に売却を決断したとされていた。 東京都は購入資金を捻出するために東京都尖閣諸島寄附金を募集し、2012年5月18日までに56,239件、7億6609万3340円が、8月14日までに約9万7千件、計14億円超が、9月11日の国有化直後の9月13日までには102,622件、14億7327万円の寄附が集まった。そして「購入する前に上陸調査をする必要がある」として政府に上陸を申請したが許可されず、9月2日に海難救助船「航洋丸」をチャーターし尖閣諸島を洋上から視察した(東京都尖閣諸島現地調査)。 この東京都による購入計画が浮上すると、丹羽宇一郎駐中大使は6月7日付け『フィナンシャル・タイムズ』によるインタビューで、「購入が実行されれば日中関係に重大な危機をもたらすことになる」として、日本政府関係者として初めて反対を明言した。これに対して石原都知事は不快感を示し、藤村修官房長官は「領土問題は存在しない」とする日本政府の立場から「政府の立場を表明したものでは全くない」と批判した。また、関連して、同年5月4日に横路孝弘・衆議院議長(旧社会党)と習近平国家副主席との会談に同席した丹羽が、「(尖閣諸島購入を支持する)日本の国民感情はおかしい、日本は変わった国なんですよ」と発言していたことも判明した。丹羽はこの件で改めて与野党やメディアから批判を浴び、その後更迭された。
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