本館改修工事
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松山市は2002年度から2005年度まで「道後温泉本館保存修復計画検討委員会」を設置し、本館修復方法等を検討した。100年以上もの間公衆浴場として使われ、長年に渡る劣化のため、基礎部分の大規模修復が必要となっていることが、芸予地震後の調査で明らかになった。他に替えがたい道後温泉のシンボル施設であるため、たとえ長期的な観点から大規模改修が必要とはいえ、改修期間中は共同浴場としては使用できず、また、期間も長期化することが予想されたことから、観光産業関係者は修復期間中に観光客の足が遠のくことを懸念した。検討委員会は2006年3月に最終報告を提出している。この中では工事を三期に分け、総工費は約20億円と試算された。 2012年1月、松山市長の野志克仁は本館の改修工事について、ドラマ『坂の上の雲』や本館創建120年の集客効果を考慮し、2013年末まで着手しないことを明らかにした。2012年5月に松山市は「道後温泉活性化計画審議会」を発足させ、改修計画について具体的な検討に入った。2013年1月、審議会は工事中の代替施設として、市営のもう一つの外湯である「椿の湯」を改築することを盛り込んだ第一次答申を市に提出した。地元である道後地区からは「第三の外湯」を設置する意見が出されていたが、答申では採用されず、審議会に参加した道後地区の委員も答申には「市の提案に地元の意見が網羅されている」として反対しなかった。 2014年の時点で、改修工事は愛媛県で開催される2017年の第72回国民体育大会後に着手して2024年までの完了を目指すと報じられていたが、野志市長は2014年1月の記者会見で、2020年の東京オリンピック開催期間中は工事を中断し、外観だけでも観覧できるようにしたいとの意向を示した。 2014年7月、改修中の代替施設として「椿の湯」の隣接地に建設される温泉施設の地元設計案がまとまり、外装を木質化したり、女性向けの「女帝の湯」を設置するなどの構想が盛り込まれていると報じられた。施設名は2017年1月に「道後温泉別館 飛鳥乃湯泉」と決定した。「飛鳥乃湯泉」は2017年9月26日にオープンした(施設全体のグランドオープンは12月26日)。 2016年8月、松山市道後温泉活性化計画審議会は、改修工事期間中は部分的な閉館にとどめて営業を継続し、観光客の減少を抑える案を決定した。 2017年3月、松山市の野志市長は本館の改修工事着手は早くても2018年になるとの見解を示した。着工に先立ち、松山市側は工事自体を観光資源とすべく、南側にある冠山の遊歩道に観覧スペースとして足湯や休憩所を設置する方針であると2018年に報じられ、「空の散歩道」として2019年にオープンした。 2018年11月1日に松山市は改修工事の一般競争入札を実施し、門屋組・成武建設・富士造型共同企業体(JV)が19億1800万円で落札した 2019年1月15日に本館保存修理工事が着工された。工事に伴い、本館の建物は工事用の素屋根で覆われている。 工事期間中は、松山市・手塚プロダクション・ポニーキャニオンによる「道後REBORNプロジェクト」が実施され、手塚治虫の漫画『火の鳥』をモチーフとしたコラボレーション(工事用素屋根の外壁ラッピングやオリジナルアニメのプロジェクションマッピング、チケットへの採用)などがおこなわれている。
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