本通達制定後の国語表記の動向
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「公用文作成の要領」の記事における「本通達制定後の国語表記の動向」の解説
本通達制定後も国語表記改革の作業は進められ、その成果として以下のような様々な告示・訓令・通達等が発出され続けた。 1954年(昭和29年)11月 法令用語改善の実施要領 1956年(昭和31年)7月 同音の漢字による書き換え 1959年(昭和34年)7月 送り仮名の付け方 1973年(昭和48年)6月 (改定)送り仮名の付け方、当用漢字音訓表 1981年(昭和56年)10月 常用漢字表 1986年(昭和61年)7月 (改定)現代仮名遣い 1991年(平成3年)6月 外来語の表記 2000年(平成12年)12月 表外漢字字体表 2010年(平成22年)11月 (改定)常用漢字表 これらの告示・訓令・通達等の中には本通達で定められている事項について、本通達が定めた内容と異なると見られる内容を定めているものも含まれていたため、それらとの整合性が問題となった。通常の法令の場合、制定後に内容が矛盾する別の法令が制定されたような場合には改正や廃止の手続きがとられており、例えば1981年(昭和56年)10月1日に内閣告示及び内閣訓令によって当用漢字に代えて常用漢字が制定された際には、当用漢字に関する内閣告示及び内閣訓令は廃止され、本通達と同じように当用漢字に関連する規定を含んでいたいくつかの告示・訓令は改正されたり新たに制定し直されたりした また通達についても、同日の事務次官等会議において「公用文における漢字使用等について」が申し合わされ、「法令用語改善の実施要領」(昭和29年11月25日法制局総発第89号)は「法令用語改正要領の一部改正について(通知)」(昭和56年10月1日法制局総発第142号)によって必要な改正が行われている。 しかしながら本通達については本通達は当用漢字を定めた内閣告示・内閣訓令に基づいて「第1 用語用字について」の「2 用字について」の中で使用しても良い漢字を当用漢字に限る旨の定めがあったにも関わらず常用漢字制定時を含めて制定以後一度も直接には改正されず、廃止もされなかったため、これらとの関係は解釈に委ねられることになった。 通常、ある時点で定められた法令の内容とそれより後に定められた法令の内容が両立しない場合、「後法は前法を破る」とする原則により後に制定された法令が優先されるため、本通達の規定うち本通達以後に制定された告示・訓令・通達等に反する内容の部分は効力を失ったと考えられるが、国語表記全般に適用される規定を定めた告示や通達に対して公用文の表記を定めた本通達は特別法にあたると考えることも出来ることから、上記の原則より優先される「特別法は一般法に優先する」との原則により後に制定された一般法よりも先に制定されていた特別法が優先されるため、本通達以後に制定された告示・訓令・通達については「公用文における漢字使用等について(通知)」(昭和56年10月1日内閣閣第138号)のような公用文を適用対象として明記してある通達等が無い限り(またはそのような解釈が成り立たない限り)特別法として制定されている本通達の規定が優先されるべきであるという解釈が成立する余地も存在した。
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