朝鮮半島についての報道と批判
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 04:36 UTC 版)
「世界 (雑誌)」の記事における「朝鮮半島についての報道と批判」の解説
北朝鮮による日本人拉致問題については、朝鮮民主主義人民共和国に対する報道姿勢は「冷静に臨む」との旨を宣言している。 1973年から1988年までの長期間、T・K生という韓国在住を装った匿名の筆者によるレポート『韓国からの通信』が連載され、後に岩波新書で一部がまとめられたが、途中(第4巻『軍政と受難―』)で単行本化は中止された。その理由について、現在まで岩波書店は明解な説明をしていないため、様々な臆測がなされている。筆者の正体も長い間謎とされ、一時は当時の安江編集長が韓国人を騙って書いていたのではないかとも推測がされていた が、2003年になり、当時東京女子大学教授として日本滞在中だった池明観が、T・K生であったと公表している(安江の関与もみとめている)。 重村智計は、2002年の著書『最新北朝鮮データブック』(講談社現代新書)において、「雑誌『世界』は、1970年代から80年代にかけ『韓国からの通信』という記事を掲載した。あたかも韓国から書簡が送られてきたかのような体裁を取った論文は、多くの関心を集めた。…著者は『TK生』と記された。…北朝鮮の立場に立っていると思われてもしかたのない論文や記事を掲載しつづけた。韓国の独裁を批判し、民主化支援を叫びながらも、北朝鮮の独裁や民主化、人権問題についての批判は行わなかった。『TK生』論文については、故安江良介編集長(後に社長)が執筆していた、というのが朝鮮問題の専門家たちの判断である。ジャーナリストの基準からすれば明らかに『捏造』である。『拉致否定』掲載は、日本を代表する出版社である岩波書店にとっては『TK生』に次ぐ歴史的な『汚点』である」(19〜20ページ)と記述しており、『世界』編集部は、『韓国からの通信』は、韓国キリスト者の地下グループが集めた情報を日本に運び、亡命韓国キリスト者池明観が執筆したのであり、安江は著者を守るために、原稿を書き写して執筆したのであり、「重村氏の記述は、これを安江氏が執筆したとした上で、『捏造』と誹謗し、原著者の名誉、安江氏の名誉、雑誌『世界』の名誉を毀損しました」と講談社に抗議文を送っている。 韓相一(国民大学教授)は著書『知識人の傲慢と偏見』で、『韓国からの通信』(第4巻)は「『世界』が韓国の民主化に寄与したと確信している」と称しているが、「韓国に対する否定的イメージを極大化しただけでなく、日本の戦後世代に韓国に対する否定的イメージを植え付けることに決定的な役割を果たした」と評している。
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