朝鮮半島における人糞の水薬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/04 14:55 UTC 版)
「トンスル」の記事における「朝鮮半島における人糞の水薬」の解説
生薬では人(またはその他の動物)の大便・小便が薬または薬の原料として一般的に用いられるが、中国から中国医学が伝わった朝鮮半島でも、人糞を使った水薬として用いていた。それは「破棺湯」またの名を「野人乾水」というもので、熱病で発狂したときに飲むべしとされ、乾燥させた人糞を焼き、水に溶かしたものである。人糞を乾燥させ粉末にしたものを「ヤインゴン, (야인건/野人乾)」と呼び、それを煎じたものを「ヤインゴンス, (야인건수/野人乾水)」と呼ぶ。「傷寒発狂」という重い症状(現代で言えば腸チフス等からくる循環器系疾患および意識障害)の時にも用いる三番目に厳しい薬で、ちなみに(発狂を治す)最も厳しい治療法は火の中に顔を突っ込んで鼻の穴から炎を吸い込むという火却法。15 - 16世紀に李氏朝鮮時代の女医・大長今が、第11代朝鮮国王・中宗に解熱剤として処方したことで知られる。 また朝鮮では、民間療法としてヒトに由来する生薬を多く用い、人糞を薬用としてきた。『東医宝鑑』によると、「肉を食べて中毒になった時、人糞汁を飲食させればよい」と書いてあり、「毒キノコ中毒になった時、人糞を一升食べさせる」と書かれてあり、朝鮮の昔の歌手がのどを通すために人糞水を飲んだという話も伝わっている。 日韓併合時代の韓国の風俗を蒐集した『朝鮮風俗集:全』には、二日瘧の治療として「人糞を黒飴に包み三日間夜霧にさらした丸薬を飲む」、腫れ物の対処として「人糞に塩を混ぜて貼る」、チフス(熱病)の治療として「人糞を瓦に塗って熱して水に入れその水を飲む」、虫歯の対処として「人糞を焼いて歯に含む」などの人糞療法の記録が残っている。 「糞#人糞」、「ヒトに由来する生薬#排泄物およびその関係品に由来する生薬」、および「便微生物移植」も参照
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