曳山の構造・外観
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/21 03:00 UTC 版)
「土崎神明社祭の曳山行事」の記事における「曳山の構造・外観」の解説
台車はケヤキ等の材料で枠組みされ、外枠の横に町名が掘り込まれていて、化粧板、または前後に雲状の模様が施されていることから「雲板」と呼ばれている。木製の車軸に組木された木製の車輪。回転を補助するために軽油にサラダ油やひまし油、天ぷら油等を混ぜたものを注ぐ。その結果、独特の軋む音と匂いを発する。これも曳山の特徴の一つである。 曳山は武者人形の乗る合戦場面の人形側と岩の後ろに組んだやぐら側のどちらにも曳く為の綱を出せるようにしてあるが、神明社に参拝に向かうときには人形側を前にするという決まりがあり、神明社に向かう方を優先するという決め事から人形側を前方としている。 台車の中央部後ろよりに黒木綿で木組みを覆った男岩と女岩を配し、その中央からは滝を流す。そのために場面の前方には波しぶきを配することが多い。人形が乗るステージを「ザル」と呼び、そこには人形や飾り付けのほかに下記の縦長の札が取り付けられる。 外題札(げだいふだ) … 合戦の場面の題名(外題)が書かれている。 <例>「野望打ち砕く忠臣の誉れ」 人形札 … 人形の人物名を表す。一体につき一枚。 <例>「羽柴秀吉」、「明智光秀」 町名札 <例>「旭町一区」 号車札 … 御幸曳山のときに先頭となる相染町の曳山から順に数えた連番が書かれている。 <例>「第壱號」 号車札では四や九が付く番号は除外されるので、たとえば曳山の台数が20台であれば、最後尾の曳山は25号車(第弐拾五號)である。 また、町内によっては合戦の場面を解説する文章が書かれた、縦長ではない解説札を乗せるところもある。 人形は勇壮な武者人形で通常曳山1台につき2 - 3体が設置され、港衆の魂の表れとして合戦の場面や歴史的な場面を表現する。裸人形(半裸あるいは上半身裸の武者人形)、鎧を着た武者人形(騎乗の場合あり)が多く、また、化け物(大蛇など)や獣(虎など)の人形も用いられる場合がある。その中でも、裸人形は人形師のメンテナンスが大変なため、高級とされる。 古くは組み立てには全て縄を使用していたので、かけ師と呼ばれる組み立て専門職人もいたが、昨今の事情で釘やネジ、番線、結束具も使用するようになり自町内で組立てるようになった。ザルの周りには山ツゲを配し、ツゲを刺す部分と岩の中には柳を使用し、ゴツゴツ感を出す。そのツゲと柳も独特の匂いを発する。岩の中央には杉の枝、両側には松の枝という配置をすることが多い。 曳山の後部(つまり岩の裏)には箱型のやぐら(お囃子所)が組まれ、そこに太鼓が設置される。やぐらを囲むように赤を基調とした角灯篭が設置され、そのワクの中に囃子の奏者達が乗る。 やぐらの上には、時事を風刺する七五調の文が書かれた見返し札が乗り、隣に風刺人形として、おとぼけ人形を乗せる。なお、祭りに先立って、見返しの文を競う「見返しコンクール」が行われ、最優秀1町内、優秀2町内には、受賞したことを表す札が与えられる。その札をもらった町内は、見返し札の横に設置する。 曳山の高さは、現在では電線やケーブルに掛からないよう、4.7m以内という規定を設けているが、通常は岩の高さ5mを基準に組み立てられ、町内によって通過する場所が違うのでできるだけ高くするために岩組みの頂上を可動式にしてる町内もある。巾も岩組みの最大巾で3m以内から4m近いところもあるが、細い小路を通るかどうかで町内によって大きさは様々である。
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